第2章 14話 精霊の休みかた

「癒やしの霧なのよ」


 スーフィアが霧を見つめ、触れる。


「私たちの疲れを癒やしたり、もたれさせてくれたりするの。私たちは夜、ここで休むのよ」


 風花はゆっくり、霧の中に入った。


「そっとしたもたれるようにすわるんだよ。分かる?」

「ううん……」


 夏澄が立ちあがった。風花の肩に手を添え、腰を落とすように促す。


 すわる風花の背中を、ずっと支えた。


「そう。ゆっくりね。体の力を抜いて、霧が支えてくれるのを待つんだよ」


 すこしすると、体が浮きあがるような感覚がした。夏澄が手を離す。ふわふわとした霧に、寄りかかることができた。

 体の力が抜けていくのが分かった。本当に、癒してくれるのだ。


 どこか夏澄を想わせる霧だった。

 風花は目を閉じて、深くもたれた。


「それでさ、風花……」


 やがて、夏澄が口を開いた。


「昨日の話の続き、いい? 本当に俺たちを手伝ってくれるの?」


 少し緊張しているような声だった。

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