第2章 13話 結界の中はきれいだね

「ごめーん。でも、すごくきれい」


 波紋はそっと押しただけでも、広がっていく。ゆらゆらと虹色になっていく。



「夏澄くんたちって、本当にすごいよねー」


「だろー」

 飛雨が自慢げに、風花のとなりに立つ。

「すごいだろ、完璧な結界なんだぜ。霊泉が夏澄に力を貸してくれたんだ。夏澄がいるから、協力してくれるんだぜ」


「さすが、夏澄くんだね」


「ああ、さすが夏澄だよ。……こっち来いよ、風花」


 泉のほとりに、霧にけぶっている場所があった。飛雨はその方向に歩き出し、霧の中にすわる。


 夏澄とスーフィアも同じようにすわっていた。


「おいでよ、風花」


 夏澄が微笑む。


 霧は、泉の下にある小川のほうから流れてきていた。

 泉からあふれた水が、集まっている小川だ。小川はすぐ段差に流れ込み、そこが小さな滝になっている。

 その滝の水しぶきが、霧に変わっていた。


 霧は小川を遡って、泉のほとりに集まっていた。

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