第2章 11話 夏澄のいる場所へ
長い坂道を、風花は自転車で登っていた。
やっと見えた駐輪場に滑り込み、自転車を停める。呼吸を整えながら、顔をあげた。
風花が向かう先には、小さな公園がある。
橋を渡ると、ぬかるんだ地面が続く。大きな湧き水の泉がある公園だ。
木道を渡っていくと、その泉につき当たる。
周りは木々に囲まれ、鬱蒼としている。
湿気を含んだ空気と一緒に、水の香りが漂っていた。
泉は、夏澄たちと待ち合わせした霊泉だ。
風花がさっきまでいた図書館からは、自転車で一時間かかる。しかも、道の半分は登り坂だった。
山の裾野の、人家が途切れる辺りに霊泉はあった。
見かけは、湧き水の湧く小さな公園だ。藤原の御泉公園と呼ばれている。
「風花っ!」
明るい、弾んだ声がした。
夏澄が泉の横に立って、風花に微笑んでいた。
後ろに、スーフィアたちもいる。
夏澄の水色の髪と青い瞳が、陽射しを受けてきらきら輝いていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます