第2章 7話 うまくいかないこと
「実はさ、私もうまく行ってないんだよね……」
ふいに香夜乃が声をかすらせた。
深くベンチにもたれたて、ため息をつく。
「なんか、思ってたのと違うんだよね。先生が厳しすぎてさ」
「え? 香夜乃のほうもだめなの?」
「ちょっと姿勢崩すと、すぐに怒鳴られるんだよね。私がわるいんだから仕方ないけど、あんなに厳しい世界だとは思わなかった」
「香夜ちゃんが我慢できないなんて、怖いトコだね。……もう。せっかく高校生になったのに、どうしてこうなるんだろうねー」
香夜乃とひろあは、ぐったりとベンチにもたれる。
そのまま空を眺めていた。
「でも、やめるのはもったいないよ。香夜ちゃん、着物似合うし」
香夜乃は長い黒髪が似合う日本美人だ。
時代劇の姫のように立ち居振る舞いがきれいで、特に歩く姿が人目を引く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます