第2章 3話 学校帰りの図書館

 高校からの帰り道の途中に、図書館がある。


 その図書館の広場に、風花たちはよく寄り道した。


 石畳に赤いベンチ、見渡す限りの樹木と、庭園のような広場で、お気に入りだ。


 風花たちは駐車場のベンチに、並んですわっていた。

 欅の葉を眺めながら、風花は夏澄のことを想い出していた。


 昨日、夏澄が記憶は消さないといったとき、風花はぼんやりしてしまった。


 すぐ意味を理解できなかった。


 夏澄の言葉を聞いたスーフィアは無表情になり、飛雨はかなり戸惑った表情をした。だが、結局許してくれた。


 風花にとっては夢のような話だった。


 急に体の力が抜けて、動けなくなったくらいだ。


 昨日は、夏澄ともっと話したかった。聞きたいことがたくさんあった。


 だが、あまり話せなかった。辺りがすっかり暗くなっていたので、家に帰るように勧められたからだ。


 その代わり、今日、夏澄たちが住処としている霊泉の前で、逢うことになっている。

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