第1章 27話 急な別れと夏澄の想い

「飛雨、お願いできるかしら」

「ああ」


 飛雨は、風花と瞳を合わせないように歩み寄ってくる。

 また指先が透明に近い水色に光っていた。


 ……ねえ、わたしも夏澄くんを助けたい。一緒に夏澄くんの故郷を元にもどしたい。


 飛雨の指が近づいてくる。

 水色の光がきれいで、泣きたくなった。


「さよなら、夏澄くん」


 飛雨の指先はやけにまぶしかった。風花は思わず目を閉じる。


 だが、飛雨の指が額に当たったとき、風花は体勢を崩していた。


 飛雨の指は狙いを外し、風花の髪をかすめる。

 なぜ、そうなったか、一瞬分からなかった。だが、誰かが風花の腕を強く引いたからだと気づいた。


 夏澄が空間を超えて、風花を引き寄せたのだ。宙に浮かんだ風花を抱きかかえ、夏澄は地面に下ろした。


「ねえ、風花の記憶、このままじゃだめかな?」


 遠くで、スーフィアたちが慌てたように、辺りを見回している。


 夏澄はそんなスーフィアたちに、まっすぐ向きなおった


 青い瞳を震えるように揺らしていた。


 そんな夏澄は、幻のような儚げだった。

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