第1章 21話 もし、霊力が持てたら

 スーフィアは水輪を両手で包むようにして、目の前で浮かべていた。


 光がスーフィアの金の髪に反射している。


「夏澄の霊力は、私たちの十倍はあるわよ。水の精霊は、精霊たちの中では、一、二を争う強大な霊力を持つの」


「でも、防御は攻撃よりずっと難しいんだよ。だから、オレとスーフィアは夏澄を補助して、夏澄を護っているんだよ」


「だから、新しい霊力を持ったんだ」


「ああ、何年もかかったけどな」


 風花は息をつめて飛雨を見つめた。


 ……人が、精霊みたいに霊力を持つ。

 わたしもそんな風にできたら、どんなにいいだろう。


 さっきの夏澄くんみたいに、傷を治したり、浄化したり。

 もし、そんなことができたら、いろんな生き物を救える。あの桜みたいに枝が折れても治せる。


 そして、本当にもしかしたら、わたしにも夏澄くんが護れるかもしれない。

 

 そうしたら夏澄くんの仲間になれる。

 記憶を消せとも、きっと、いわれない。

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