第1章 20話 飛雨の自慢話

……。


「そ、そうだね。飛雨くん、人間って感じもあんまりしないよ……」


 風花は笑顔をつくった。


「鋭気があるっていうか、澟としてるっていうか。足とかすごく速かったし、身体能力がすごいよね」


「だろ?」

 あっという間に、飛雨の目元は緩む。


「あの疾走力は、身につけるのに苦労したんだよ。オレの元々の霊力は攻撃系で、夏澄の役に立たないものばっかりだったから」


「え、攻撃はだめなの……? 夏澄くんは弱いんでしょ? さっきいってたよね。だったら攻撃は、飛雨くんがするんじゃないの?」


「弱いなんていってないぞ」

 

 飛雨は語気を強める。


「夏澄は自分では身を護れないって、いったんだ。水の精霊は仁愛でできてるんだ。だから相手を攻撃しない。防御に徹するんだよ、なあ、スーフィア」


 飛雨は自慢げにいう。瞳をきらきらさせていた。


 飛雨の言葉に、スーフィアもうれしげにうなずく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る