第1章 15話 風花の初体験

「俺と風花は手前から。飛雨とスーフィアは向こう側から癒そう。飛雨の霊力はスーフィアに送ってくれる?」


 飛雨たちは戸惑い気味だったが、すぐに枝に手を当てる。

 四つの手が枝を包んだ。


「……あの、これってわたしの霊力を、夏澄くんが使っているってことですか?」


「残念だけど、あなたに霊力はないはずよ。気持ちで一緒に癒してくれるだけでも助かるのよ」


 桜の枝が三つの青い光に包まれる。


 夏澄たちの霊力の色はそれぞれ違う。


 飛雨は透明に近い水色、スーフィアは海色、夏澄は澄んだ水色だ。


 風花はひたすらに光を見つめていた。なぜだか嬉しくてたまらなかった。


 枝を繋げるのは、風花の傷を治すよりずっと難しいようだった。

 夏澄たちはずいぶん長い間、光を放っていた。


 やがて、夏澄の合図で手を離す。

 

 名残り惜しかったが風花も木から離れた。

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