第1章 3話 鋭い目の少年

「おい、お前っ!」


 ふいに背後で声がした。 ぱん、と、風花は現実にもどされる。


 鋭い瞳の男子が仁王立ちしていた。


 きらきらしていた風景が、いきなり変わる。風花は呆けてしまった。


「お前、いい加減にしろよっ。何度も何度も夏澄かずみの周り、徘徊しやがって!」


 夏澄……。あの精霊さんのこと?


「七回目だそ、七回目っ。なんで何度もオレたちの前に現れるんだよ」


 風花はもう一度精霊を見た。


 逢ったことなんてあるはずない。いくら記憶を辿っても、思い当たらない。


「あの、人違いなんじゃ……?」


「んなわけあるかっ」


 彼は小石を風花の足元に投げつけた。


「お前、動くなよ!」


 地面を蹴って飛びかかってくる。風花は悲鳴をあげて駆け出した。彼は腕を伸ばして、風花の頭を掴もうとする。


 間近まで迫った手にぎゅっと目を閉じる。そのとき、女の人の声が響いた。


「激高しすぎよ、飛雨ひう


 風花の目の前の空間が青く光って、少女が姿を現す。


 なにもなかったところに、人が現れた。


 少女は風花の腕を引いて、背後にかばった。


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