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 二〇二七年 八月一四日 午後〇時三〇分

 日本人民共和国 人民党 宣伝部 嘉納美文人民党書記長演説


 日本人民共和国の同志諸君!


 党員の諸君、三軍の将兵諸君、政治将校諸君、人民兵団の奉仕者諸君、国家工場の工業労働者諸君、食糧生産特区の農業労働者諸君、アカデミヤ、大学、論壇、その他の戦線で戦う知識労働者の諸君、そして、列島の西側でゲリラ戦に身を投じている、栄えある南日赤軍やその他の革命的日本人の諸君!


 旧大日本帝国の圧政に蜂起した我らの父祖が人民共和国を建国してより八十年、今、祖国にかつてない危機が迫っている。神戸傀儡政権の卑劣な不意打ちにより、軍事境界線は再び踏み躙られたのだ。少なからぬ人命が、国土が、街と村が、我々が建設して来た多くの成果が失われた。


 人民共和国は土台の腐った納屋であり、人民軍は最初の一撃で潰走すると神戸政権は考えていたのだろう。だが、それは決定的な誤りだ。一九四二年のハリコフ、一九四六年の北京、一九六五年の欧州各国、そして二〇一一年の日本。帝国主義者の野望が社会主義者の抵抗で打ち砕かれるのは、歴史が示す社会科学的な真理である。


 同志諸君、どうか安心して欲しい。


 人民軍の将兵達は己が命を惜しまず果敢に戦い、今この瞬間も侵略者達から労働者の国を守ろうとしている。侵略軍の攻撃は精強な人民軍によって幾たびも退けられ、敵はそのたびに膨大な損失を重ねて来た。それは全て、我らが戦略参謀本部の聡明なる将校達の作戦の通りである。愚かなる侵略軍は自らの身が術中にあることにも気付かず、略奪と破壊、そして虐殺に及んでいたのだ。


 先ほど、人民共和国の各基地からソビエト連邦軍が出動した!


 最多の経験と人員を、最高度の兵器と戦術を、唯一の戦略兵器を持つ世界最強の軍隊が我々の戦列に加わったのだ。懐深く入り込んだ侵略軍は、ソ連軍によって補給路と退路を絶たれ、反転攻勢に打って出た人民軍との挟撃により殲滅されつつある。


 神戸政権は緒戦の不意打ちに戦力の過半を投入した。その戦力は目下、壊滅しつつある。だが我が人民軍にはまだ装備と人員の余裕があり、友邦ソ連の参戦によって趨勢はもはや確定的となった。そしてソ連だけではない。亜細亜の、欧州の、アフリカと全世界の人民が米国と神戸の帝国主義者達に反対しており、我々の味方である。我々の頭上には革命の旗が翻っている。


 この瞬間から、今次の日本戦争は祖国統一戦争へと転換する。


 日本人民共和国の同志諸君! 立ち上がれ! 武器を取って隊伍に加われ!


 我々が八十年待ち侘びたときが、列島解放と民族統一のときがやって来たのだ!


 人民党は諸君を頼りにしている。社会主義の正しさを知る全世界の人民もまた諸君らを頼りにしている。そして、不当な侵略戦争へ動員された神戸政権占領地域の日本人民達もまた、諸君らを圧政からの解放者として頼りにしている!


 我々の戦争は解放戦争である。正義の戦争である。日本人民党、万歳!!!

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