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二〇二七年 八月一三日
一週間に渡る激戦の末、この日の夕刻ついに箱根陣地が陥落。
帝国陸軍第三軍は戦線を一気に小田原まで押し上げた。前後して第二軍の先鋒第13旅団が高崎へ到達。帝国軍は南北両方で関東平野侵攻への足がかりを得る。
同日中に人民軍は軍管区総司令部を立川から霞ヶ浦へ移転。政府も同地へ機能を移し、帝国軍に対する徹底抗戦を改めて宣言した。しかし、首都市街地には未だに八〇〇万の住民が取り残されていた。
甲府、新潟、厚木、横須賀の駐日ソ連軍はなおも沈黙を続けていた。
死者、行方不明者数の総数、帝国側一六四三〇名に対し人民共和国側三〇八〇〇名。
第二次日本戦争は二一世紀に生起した二つ目の大規模国家間戦争であった。
一度目は一六年前の第一次日本戦争であったが、その結果を踏まえて軍用義体と戦術情報網による大規模火力の統合運用を推し進めて来た二つの日本軍は、一度目をはるかに上回る速度で敵に損害を与え、自身もまた損害を被った。
それは二度の世界大戦や欧州危機の最も激しい戦闘に迫る烈度であり、人類の軍事史に機動歩兵部隊の猛威という新たな一頁を書き加えるものであった。
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