第108話 乃百合さんと俺の二人だけの世界

「乃百合さん、ありがとうございます」


 俺は乃百合さんを抱きしめる。


「海定くんこそ、ありがとうございます」


 微笑む乃百合さん。


 かわいくてしょうがない。


 もうこれだけでも心は沸騰し始めていく。


「乃百合さん、好きです」


 俺は乃百合さんに唇を近づける。


「海定くん、好きです」


 乃百合さんは、うっとりした表情で、俺の唇に唇を近づけていく。


 重なり合う二人の唇と唇。


 幸せ……。


 しばらく唇と唇を重ね合わせた後、一度、お互いの唇と体を離した。


「乃百合さん、これから俺たちは、さらなる段階へ進みます。俺はあなたにすべてを捧げます。よろしくお願いします」


 リビングの時も、最上級に近い恥ずかしい言葉を言った俺だったが、この言葉はそれを越えるほどのものだった。


 恥ずかしくてたまらない。


 乃百合さんもさすがに少しうつむいていたが、やがて、


「わたしは海定くんのものです。恋人としての次の段階に進みたいです。わたしの方もすべてをあなたに捧げます。よろしくお願いします」


 と言ってくれた。


「俺は乃百合さんをこれからもずっと愛していきます。そして、結婚しましょう」


 俺がそう言うと、乃百合さんは、


「『結婚しましょう』と言ってくれて、これほどうれしいことはないです。ありがとうございます。わたしも海定くんをずっと愛していきます」


 と涙声になりながら言った。


 俺も胸が熱くなる。


「これから二人だけの世界に入っていきましょう」


 俺がそう言うと、乃百合さんは甘い声で、


「お願いします」


 と応えた。


 俺は乃百合さんを再び抱きしめる。


 そして、唇と唇を重ね合った後、二人だけの世界に入っていく。


 恋人としての新たな次の段階。


 それは、俺たちの心を甘くとろけさせていき、幸せいっぱいになっていくものだった。




 翌日の朝。


 俺が目覚めると、隣に寝ていたはずの乃百合さんは、既に目覚めていた。


 そして、


「おはようございます」


 と微笑みながらあいさつをする。


「おはようございます」


 俺もあいさつををした。


 しかし、乃百合さんがかわいいので、朝から心が沸き立ってくる。


 俺と一緒に、二人だけの世界に入ってくれた。素敵な女性の乃百合さん。


 その女性が、今、俺のそばで微笑んでいる。


 俺は乃百合さんのことがますます好きになってくる。


 これは夢ではないんだ。


 俺は乃百合さんと恋人としての次の段階に進むことができた。


 その喜びが俺の心の中から湧き上がってくる。


 ああ、幸せ……。


 それだけ俺にとっては素敵な時間だった。


 乃百合さんも同じ思いだといいなあ……。


 そう思っていると、


「わたし、海定くんとこうしてずっと一緒にいられて、幸せな気持ちでいっぱいです」


 と乃百合さんは甘い声で言ってくる。


 俺は心がますます沸き立ってきた。


「俺も乃百合さんと昨日からずっと一緒にいられて、とても幸せです」


「このままずっと海定くんと一緒にいたい気分です」


「俺も同じ気持ちです」


「海定くん……」


「乃百合さん……」


 俺たちは唇と唇を重ね合う。


 そして、このまま恋人どうしとしての仲を深めていきたい。


 俺は唇を乃百合さんから離すと、


「俺、乃百合さんとまた二人だけの世界に入っていきたいです」


 と言った。


 恥ずかしい。


 これからたくさん、乃百合さんに対して言うことになる言葉。


 でも言う度に、恥ずかしい気持ちになるのだと思う。


 それに対し、乃百合さんも、


「わたしも一緒に入って行きたいです」


 と恥ずかしながら応えてくれる。


「乃百合さん、大好きです。乃百合さんに俺を捧げていきます」


「わたしも海定くんが大好きです。わたしは海定くんのものです」


 俺たちは唇と唇をもう一度重ね合わせた。


 そして、二人だけの世界に入っていった。

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