第77話 仲が深まっていく
イケメン先輩との対決以降、俺と乃百合さんの仲は深まり始めた。
依然として、教室では話をすることはなかなか難しい。
しかし、放課後は、乃百合さんが部活の日以外は、一緒に帰るようになり、おしゃべりをするようになっている。
そして、毎日のルインでのやり取り。
俺は最初のやり取り以来、毎回、
「俺は夏浜さんのことが好きです」
と書いて送付をしていたが、対決の日の夜、
「俺は乃百合さんのことが好きです」
と名前呼びで送付をした。
名前呼びにすることによって、より一層、俺の想いを込めていた。
乃百合さんの方は。それまで俺に対して、
「ありがとうございます」
と返信していて、「好き」と返すことはなかったが、この日、
「わたしも海定くんのことが好きです」
と名前呼びで返信してくれた。
俺はその時、踊り出したくなるほどのうれしさを味わった。
それ以降は、俺の「好き」に対して、必ず「好き」と返信してくれている。
俺にとってもう一つうれしいことは、乃百合さんがアニメ好きだということだ。
アニメには興味がないものと思っていた。
しかし、ある日の放課後。
乃百合さんと一緒に歩いている時に、趣味の話になった。
俺は、
「アニメを観るのが好きなんです。いろいろな分野のものを観ていますが、最近はラブコメものを中心に観ることが多いですね」
と言った。
乃百合さんもアニメが好きだといんだけど、無理な話かもしれないなあ、と思っていた。
乃百合さんはそれに対し、
「わたしもアニメを観るのが好きなんです。わたしもいろいろな分野のものを観ています」
と微笑みながら応えた。
俺はその時、急激にうれしさがこみあげてきた。
「趣味が同じでうれしいです。よろしければこれからは、アニメのことを語っていきたいと思っています」
「海定くんと趣味が同じでわたしもうれしいです。わたしも海定くんとアニメのことを語っていきたいと思っています」
こうして俺たちは、アニメのことを話すことになった。
乃百合さんは、俺の想像以上にアニメについての知識が深く、話をしていて楽しい。
乃百合さんの方も楽しそうだった。
ただ今のままだと時間が少ない。
休日、デートに誘って、そこでおしゃべりをするのが一番いいと思っている。
しかし、デートに誘えるほど仲は深まっていない。
もう少し仲を深めていく必要がある。
またもし誘うことができるようになったとしても、体調の問題がある。
デートとなると、長い時間になる為、その間に体調が急激に悪化しないとは限らない。
そう思うと、仲が深まったとしても、なかなか誘いづらいところはある。
でも乃百合さんともう少し一緒にいる時間がほしい。
そうしなければ仲も深まっていかないだろう。
そう思った俺は、乃百合さんと一緒に帰ることのできる日に、喫茶店に行っておしゃべりを楽しみたいと思った。
乃百合さんの体調に配慮しながらということになる。
三十分ほどは最低でもほしいと思っていた。
しかし、できれば一時間ほど楽しめればいいなあ、と思っていた。
乃百合さんにその話をすると、乃百合さんの方も同じ思いだったようで、すぐに賛成してくれた。
俺は乃百合さんと気が合っているのではないかと思うようになってくる。
こうして、俺たちは、喫茶店に行って、アニメの話を中心におしゃべりを楽しむようになり、仲は深まっていった。
乃百合さんの体調も、普通の人ほどではないにしても、ここのところいい状態が続いている。
このまま乃百合さんとの仲が深まっていき、体調もいい状態のままなら、夏休みにデートに誘うことができそうだと思っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます