第64話 想いが伝わってほしい

「夏浜さん、俺は夏浜さんのことが好きになったのです。他の誰でもない、夏浜さんだから好きなのです。体が丈夫とか弱いとか、そういうことで好きになったり嫌いになったりすることはありません。俺はこれから、夏浜さんを支えていきたいと思っています。二人で力を合わせて夏浜さんの病気を克服していきたいです。それだけ夏浜さんのことが好きなのです。この想い、伝わってほしいと思っています」


 俺は熱を込めてそう言った。


「島森くん……」


「夏浜さん、好きです。愛してます。付き合ってください。お願いします!」


 俺は改めて頭を下げていく。


 この想いよ、今度こそ通じてほしい!


「恋人になってください!」


 俺は全エネルギーを込めるつもりで、乃百合さんにお願いをする。


 乃百合さんはしばらくの間、黙っていた。


 自分の気持ちを整理しているのだろう。


 俺は乃百合さんの返事を待った。


 やがて、乃百合さんは、


「島森くん、あなたのわたしのことを想う気持ちは理解いたしました。ありがたいと思っています」


 と少し涙声になりながら言った。


「こちらこそ、理解をしてもらってありがたいです」


 乃百合さんは恥ずかしがりながら、


「島森くん、わたしは今まで、告白をすべて断ってきました。フィーリングが合う人がいなかったからなのですが、もし合う人がいたとしても、病弱なわたしでは、迷惑をかけるだと思っていました。断る度に、悲しい思いをしてきたんです。わたしも、恋をしたい、理想の人とお付き合いをして結婚をしたい、と思うことはあります。でも最近は、やっぱりわたしには無理そうだと思うようになってきました。そういう時に声をかけてくれたのが島森くんでした。島森くんは、こんな病弱なわたしでも付き合いたいと言ってくれています。その熱意を伝えられている内に、わたしは、島森くんとは運命の赤い糸でつながっているような気がだんだんしてきました。わたしは、これからどれだけ生きることができるかどうか、わからない人間です。それでも受け入れてくれるのであれば、お付き合いをさせていただきたいと思います」


 と言った。


 乃百合さんの言う赤い糸。


 前世ではつながっているかどうかはわからなかったが、今世ではつながっていると信じたいと思う。


「俺も夏浜さんと運命の赤い糸がつながっていると思っています。そして、俺は、夏浜さんがここにいてくれるだけでうれしいのです。俺にとっては夏浜さんがすべてなのです。もしこのまま病弱な体のままだったとしても、俺の夏浜さんに対する想いは変わりません。 今は病弱な体と言われていますが、これからずっとそうだとは限らないと思います。俺は夏浜さんが健康な体になっていくことを信じたいです」


「そう言ってもらえるだけでもありがたいと思っています」


「俺は夏浜さんのすべてを受け入れます。そして、夏浜さんの為に尽くしていきます。夏浜さんがこれから健康になって行くように願っていきます」


 俺はそう言った後、一度気持ちを整える。


 そして、


「俺は夏浜さんが大好きです」


 と言った。

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