俺は先輩に恋人を寝取られて心が壊れる寸前になる。でもその後、素敵な女性と同じクラスになった。間違っていたと、寝取った先輩とその相手が思っても間に合わない。俺は美少女で素敵な同級生と幸せになっていく。
第36話 心が離れ始めるわたしたち (すのなサイド)
第36話 心が離れ始めるわたしたち (すのなサイド)
わたしは高校二年生になった。
春休みは一度しかイケメン先輩とデートができなかったわたし。
これからの一年で、イケメン先輩との思い出をたくさん作りたいと思っていた。
特に期待しているのは夏休み。
海水浴に行き、そこでわたしの素敵な水着で、イケメン先輩を夢中にさせる。
そして、海の近くのホテルに泊まり、一晩中、二人だけの世界に入っていく。
きっと、一生忘れられない素敵な思い出になるに違いない。
そう思っていたのだけど……。
イケメン先輩は、
「忙しい」
という理由で、わたしをデートに誘わないようになってきた。
三月までは毎週一度はデートをしていたのに、四月はゴールデンデンウィーク前に一度したのみ。
ルインのやり取りも変化してきた。
三月までは、
「わたしは先輩が好きです」
「俺もすのなが好き」
というやり取りをしてきた。
四月になってからは、わたしの方は依然として、
「わたしは先輩が好きです」
と送信するのだけど、イケメン先輩の方は、
「俺もすのなが好き」
という言葉は送信しなくなっていた。
わたしは心配になったので、
「最近、『好き』と言う言葉を送信してくれませんけど、わたしのことを嫌いになったわけではないですよね?」
と四月中旬のデートの時、イケメン先輩に聞いた。
すると、イケメン先輩は、
「恋人どうしとして二か月も三か月も経ってくれば、一々「好き」という言葉を送信しなくても、充分想いが伝わっていると俺は思っている」
と応えた。
それを聞いてわたしはホッとした。
デートの後は、いつも通りキスをしてくれた。
しかし、夜、一日を思い直していくと、イケメン先輩のわたしに対する対応が今までと違ってきているように思えてきた。
今までは、わたしを楽しませる気にあふれていて、気づかいもしてくれていた。
それが今日は、わたしとのおしゃべりに気が乗らない様子で、無言の状態になっても気にすることはなかった。
ルインの話にしても、
「一々「好き」という言葉を送信しなくても、充分想いが伝わっていると俺は思っている」
とは言ってくれたけれど、そこまで熱意の入った話し方ではなかったように思う。
わたしに対する情熱がだんだん弱まってきているのでは……。
そう思わざるをえない。
しかし、これは一時的なものの可能性が強いと思う。
わたしがイケメン先輩のことを好きであれば、その力で、イケメン先輩は再びわたしの方へその情熱を傾けてくれると思う。
そして、次のデートでは、またわたしを楽しませてくれる。
そう期待をするようにした。
それからもわたしは、イケメン先輩に、
「わたしは先輩のことが好きです」
と送信し続けた。
イケメン先輩は、
「すのなが好きだ」
とはその後も返信してこない。
それでもわたしの想いを伝え続けていれば、きっとわたしへの情熱を取り戻してくれるだろうと思っていた。
しかし、期待をしていたゴールデンウィークのデートも、期待外れだった。
わたしは毎日でも会ってデートしたいと思っていた。
それがたった一日。
しかも、夜になる前にお別れとなってしまったし、デートをしている間も以前と違い、つまらなそうな表情をしていた。
わたしにとっても楽しいものいではない。
こんなことは今までなかった。
イケメン先輩の心がわたしのところから離れ始めているのでは……。
そう思わざるをえなかった。
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