第28話 自慢したい (すのなサイド)
彼氏がほしくなってたまらくなっていたわたし。
友達に先を越され、つらい気持ちになっていたわたし。
その中で、わたしは一人の男性のことを急激に意識しだしていた。
島森海定くん。
島森くんとは、小学校六年生の時に出会い、以後ずっと同じクラスで過ごしてきた。
顔もいい方で、わたしの好みの方だったし、心の底からのやさしさを持っている人だと思っていたので、好意を持つようになってきた。
そして、コツコツ努力をするところにも好意を持つようになってきた。
しかし、今までは異性として意識したことはほとんどなかった。
好意以上のものを持つことは、今までなかった。
わたしのタイプに一番近いところにいる人だとは思う。
今まで告白してきた男の人たちは、全員フィーリングが合う気はしなかった。
フィーリングが合いそうな気がするだけ、今までの人たちよりもいいと思う。
しかし、わたしとしては、王子様のようなイケメンの男の人と付き合うのが理想だ。
そういう意味では、島森くんは、顔はいいとは思うし、好みではあるけれど、理想の人とはいえないと思う。
この告白も断り、王子様が現れるまでを待った方がいい気もする。
でも島森くんからは、やさしさが伝わってくる。
これが、島森くんのいいところなのだし、その点は好意が持てる。
今までの告白してきた男の人は、皆こういうところが足りなかった気がする。
表面上のやさしさはあっても、心の底からのやさしさがないように思う。
わたしとしては、理想としているイケメンで王子様のような人と付き合いたい。
しかし、そういう人にはいつ会えるかわからない。
わたしはとにかく付き合う人がほしくてたまらない。
島森くんの告白を待って、とりあえずは付き合うことにしようか?
いや、告白を待っていたら、奥手の島森くんのことだ。
いつまでも告白してくれないのでは、と思う。
そうなるとわたしの方から告白するしかないだろう。
わたしが告白すれば、必ず付き合うことができる。
しかし……。
付き合ったとしても、すぐに飽きてしまうかもしれない。
付き合っている内に、わたしの理想の人が現れるかもしれない。
そうした場合は、いずれにしても、あっさり捨てればいいだろう。
とにかく島森くんとは付き合うにしても、いつでも捨てることができるように、準備はしておくべきだ。
付き合って、そのまま恋人どうしになることもありえなくはない。
とはいっても、そんな確率は一パーセントもないと思う。
それぐらいの確立しかないのに、付き合う意味などあるのだろうか?
そう思っていると、彼氏を作った友達の笑顔が心に浮かんでくる。
自慢気でうれしそうな笑顔。
悔しい気持ちが湧き上がってくる。
このままでは彼女に負けたままだ。
意地でも彼氏を作って、彼女に自慢をしなければ!
一度でも自慢ができればいい。
その後、わたしが島森くんを捨てて、また彼氏なしに戻ったとしても、彼氏を作ることができたという実績は残る。
その後。理想の人に出会えればいいのだ。
わたしは島森くんに、小学校六年生の頃から好意を持っていた。
現時点でも、好意を持っている。
しかし、今の状態のままであれば、恋の対象になるとは思えないので、我慢できるのは半年が限度だろう。
一か月程度で我慢できなくなる可能性もある。
ただ、そうならない可能性もなくはない。
わたしは島森くんのことはほとんど知らない。
付き合っていけば、わたしの心も変化して、島森くんのことを恋という意味で好きになることも、全くないわけではないと思う。
いずれにしても、このままでは高校生の間に彼氏を作れない可能性がある。
わたしより魅力がないと思っていた友達が彼氏を作っている。
のろけ話をされるのはつらい。
何が何でも彼氏を作らなければ。
島森くんと付き合わなければならない。
「わたしの方から島森くんに告白しよう」
という気持ちがだんだん強くなっていった。
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