第27話 告白を断ってきたわたし (すのなサイド)

 わたしは池土すのな。高校二年生。


 この学校で一番の美少女だと自分では思っている。


 実際、わたしの周囲の人は、皆そう言ってくれている。


 わたしは小学生の頃からモテた。


 小学校五年生の時から、告白する男の子が現れ始める。


 しかし……。


 誰一人として、わたしとフィーリングの合う人はいないし、わたしのような美少女とつり合う容姿の人はいなかった。


 わたしはイケメンの男性が大好きだ。


 フィーリングが多少合わなくても、イケメンであれば付き合いたいという気持ちはあった。わたしの前にイケメンの男性が現れないわけではなかったのだが、わたしの求めているところまでは、全員、達していなかった。


 その為。小学生の時は彼氏ができなかった。


 小学生の間は、彼氏を作った女の子はまだ少数だったので、そこまで気にはしていなかったが、それでも彼氏を作った子の楽しそうな姿を見ると、腹立たしい思いになった。


 その為、中学生になったら、絶対に彼氏を作ろうと思っていた。


 中学生になってからは。告白してくる男の子の数はさらに増えた。


 そのこと自体は、わたしがモテているということなので、うれしいことではあったのだけど、小学生の時と同じで、付き合いたいとまで思える人が現れない。


 結局、中学生の間も彼氏はできずじまい。


 小学生の時とは違い、周囲では次々に彼氏を作っていく。


 そういった人たちののろけ話を聞く度に、その場では祝福していても、心の中では怒りの気持ちが大きくなっていく。


 わたしの友達が彼氏を作った時は、夜、なかなか寝付けないほど悔しかった。


 わたしも絶対に彼氏を作るんだから!


 そう強く思ったのだけど、作れないまま高校生になった。


 高校一年生になっても、モテることは変わらなかった。


 しかし、もうこの頃になると、ただモテるだけでは意味がないと思うようになった。


 うれしいという気持ちもなくなっていった。


 彼氏がほしい!


 その気持ちが強くなっていく。


 周囲では彼氏を作った人がさらに増えていた。


 中には、別れた人もでてきていて、つらさも味わっている人もいるようだが、付き合ったという実績は残っていく。


 誰とも付き合った経験のないわたしよりも、はるかに先を進んでいる気がしていた。


 そうしている内に、わたしは心に大きな打撃を受けた。


 高校生で友達になった女の子が彼氏を作ったのだ。


 わたしは、


「よかったわね」


 と言って、その友達を祝福した。


 でも心の中では、すさまじい嵐が吹き荒れていた。


 その友達が自慢気に話しをしているのも気に入らない。


 わたしの方が美しいというのに、なぜ彼氏を作ることができるんだ!


 腸が煮えくり返るとはこういうことを言うのだろう。


 こうなったら、何が何でも彼氏を作る!


 わたしは、今まで持っていた彼氏になるべき水準を下げてでも彼氏を作りたいと思った。


 彼氏さえ作れればいい。


 すぐに別れたっていい。


 楽しい時間が少しでも過ごせればいい。


 そう思い、男子生徒たちからの告白を待った。


 しかし、そう心を切り替えた途端に、告白してくる人はいなくなってしまった。


 どうやら今までわたしが告白を断り続けていた為に、男子生徒が敬遠し始めているとのことだった。


 これは、わたしにとって計算違いだった。


 この学校の男子生徒全員に告白されると思うくらい魅力のあるわたし。


 それなのに、まだ一部の人にしか告白されていない。


 少なすぎると思う。


 告白したいと思う人は、


 たくさんいるはず。


 妥協して、ある程度の人ならば告白を受け入れようとしているのに、なぜ告白してこないのだろうか?


 告白を断ったぐらいがなんだというのだろう。


 それくらいで告白が途絶えるなんて、腹立たしくて、腹立たしくてしょうがない。


 そう思っていた時、急激に意識するようになったのが島森くんだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る