第81話 三人目の彼女?

 ジュリアさんから告白をされた。

 

 しかもスミレとユミはなぜか告白されたことが当たり前のように言っているので、どういうことなのか説明をしてほしい。


「とにかく今日は気持ちを伝えたから帰るわ。ヨウイチ」

「はい!」

「私は話を書くモデルとして合格かしら?」

「えっ? はい。インスピレーションは浮かびました」

「そう。なら、私が一番に見せてくれるって言ってたから楽しみにしているわね」


 ジュリアさんは言いたいことを言って部屋を出ていった。


 残された俺は二人を見る。


「えっと、どういうこと?」

「何が〜? ヨウニイがまた一人彼女を増やしたってことでしょ?」

「もう、ヨウイチさんはすぐに女性を口説いてしまうんですから?」

「いや、ボクは口説いたわけでは」

「はいはい。ピンチを助けられて、落ちない子はいないと思うよ」

「そうですね。ジュリア姉さんは、今まで強く生きてきたから、男性に守られることって少ないんだと思います」


 二人はジュリアさんの告白を好意的に受け入れている。

 ジュリアさんもそれをわかっていたから、二人の前で気持ちを伝えたのかもしれない。


「二人は俺に好意を持ってくれて、嫉妬とか嫌とかはないの?」

「う〜ん、確かにヨウニイを取られちゃうのは嫌だけど、姉さんもジュリア姉さんも私からヨウニイを奪うわけじゃないから、私はいいかな」

「私もです。確かにヨウイチさんをお世話を他の人に任せるのは残念です。ですが、ヨウイチさんを幸せにするために、女性がたくさんいてもいいとは思っています」


 二人があまりにも寛容すぎる言葉に俺の方が困惑してしまう。


 スミレは包容力があってグラマラスな、完璧な美人。

 ユミは小柄ながらも出るところは出ていて、可愛い美少女。

 ジュリアはハーフ特有のエキゾチックな美しさと、モデルのような細身の高身長美人で、三者三様の美しさがある。


「ヨウニイは、どうなの?」

「えっ?」

「そうです。ヨウイチさんはジュリア姉さんを嫌いですか?」

「いや、嫌いじゃないよ。だけど、二人が彼女でいてくれるのに、もう一人なんて」

「いいじゃん。ヨウニイがジュリア姉さんを嫌いじゃないなら、私は全然いいよ」

「私もです。ジュリア姉さんは私たちにちゃんと配慮してくれますから」


 スミレとユミはどうやら俺をジュリアさんと付き合わせたいようだ

 だけど、本当に三人の女性と付き合って俺は大丈夫なんだろうか?


「ヨウニイが悩むなら、一度四人で食事を取らない?」

「いいわね。まずは、交流を深めるのは大事よ」

「二人がそういうなら」

「なら、早速今晩にでもどうかと聞いてみるわね」

「気が早いな」


 二人の勢いに押されるように結局、その日のうちにジュリアさんはやってきて、食事をとることになった。


「まずは、私に機会を与えてくれた二人に感謝を」

「へへへ」

「いいのよ」


 今日はジュリアさんが好きだというワインがテーブルに置かれ、ワインと合う料理としてローストビーフや、チーズのキッシュなどが置かれている。


「なんだかおしゃれだね」

「今日は私も家で料理を作ってきたのよ」


 どうやらいつもと違うメニューはジュリアさんが用意してくれたようだ。

 

「ありがとうございます」

「お口に合えばいいんだけど」


 ジュリアさんがワインを注いでくれる。

 最近はお酒を飲む機会が増えているから、戸惑ってしまうけど。

 ジュリアさんに注がれたなら飲むしかないよな。


「それじゃ乾杯」

「乾杯」


 ユミはオレンジジュース。

 スミレは少しだけ。


 ジュリアさんと俺はワインを口に含む。

 ワインは口当たりが良い味わいで、飲みやすい。


「美味しい」

「ふふ、口に合ってよかったわ」

「スパークリングワインだね」

「ええ、この時期はボジョレーヌーボが解禁されるんだけど、私はこっちの方が飲みやすくて好きなの」

「確かに」


 俺たちは飲みやすいスパークリングワインと美味しい食事が進んでいく。


「ふぅ〜」

「ヨウイチ?」

「……ジュリア」

「はっはい!」

「お前は俺が好きなのか?」

「はい! 好きです」


 態度を変えた俺に戸惑っている様子のジュリア。

 そんな俺をスミレとユミは笑顔で見ている。


「なら、俺の大切な人になってくれるか?」

「大切な人?」

「ああ、俺はお前が好きだ。女として見ている」

「おっ、女! 嬉しいけれど、いつもの優しいヨウイチとのギャップに戸惑ってしまうわ!」

「嫌か?」

「嫌ではないわ……意外だったけど、ヨウイチはそういう一面も持っているのね。それにスミレとユミも知っているようだから、私も受け入れます」

「そうか」


 俺はジュリアが同意したことで、体を寄せてキスをする。

 スミレとユミが見ている前で堂々とキスをする。


 それは最低な行為であることはわかっている。


 だけど、二人はそんな俺の行動を寛容的な視線で見つめている。


「んん、わっ、私初めてなの」

「そうか。ジュリアは可愛いな」

「なっ!」

「全て任せてくれ」


 俺はジュリアを抱き上げてお風呂へと運んでいく。

 

 これは俺にとっていつもの流れだ。

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