第72話 楽しい旅行は…… 終わり

 江ノ島では、色々と気を使うような展開もあったが、その後はのんびりとした雰囲気に戻って旅行を楽しむことができた。


 鎌倉では映える撮り方があると、大仏を抱き抱えるような姿で撮影をさせられたり。

 逆に手のひらに載せている写真をうまく撮るのに苦労したりと楽しめることができた。


 今回の旅行で分かったことは、ユミは食いしん坊で、スミレは前よりも男性に対して警戒心を強めている。

 これからも二人のことは、俺が守るためにも護身術でも習おうかな?


「もう帰るのか〜。楽しかったな〜」

「ああ、俺も旅行って数年ぶりだったから楽しかった。もちろん、二人がいてくれたからだと思うがありがとう」

「ヨウニイ、素直だね」

「ふふ、私たちもヨウイチさんがいてくれたから楽しかったです」


 二人から手を繋いで歩くのも、当たり前になってしまった。荷物はリュックにしてよかった。

 ヤンキー君の一件から、二人の距離がますます近くなったような気がする。


 前も近いと思っていたが、心の距離も近くなったということかな?


 神奈川から東京までは電車で揺られて帰っている間も、ユミは俺に頭を預け、スミレは手を握っていた。

 

「ヨウイチさん。これからもずっとたくさん旅行に行きましょうね」


 スミレが不安に思う俺を気遣ってなのか、未来の話をしてくれる。


「うん。二人とずっと一緒いたい。それにまた一緒に旅行に行きたい」

「はい! 絶対ですよ」


 スミレが眩しいほどに美しい笑顔を向けてくれる。

 

 電車を乗り継いで、自宅へ戻ってくる。

 ユミは寝てしまったので、おんぶして帰ってきた。

 小柄なユミはおんぶしても軽い。


 リュックを前にして、ユミの柔らかさが背中に心地よい。


「鍵を開けますね」

「ああ、ありがとう」


 ユミをベッドに寝かせて、やっと俺たちも荷物を下ろす。楽しいんだ分疲れたんだろうな。

 ユミは元気いっぱいに見えて気を遣ってくれていたんだと思う。


「はぁ〜やっぱり家はいいね」

「そうですね。お腹は空いてないですか?」

「いいから、スミレ。おいで」


 家に帰ってきてすぐに世話をやこうとするので、手を引いてソファーに引き寄せる。

 腕を引かれて膝の上に腰を下ろしたスミレが驚いた顔をしながらも、俺の上にいることに気づいて嬉しそうな顔をする。


「強引です。それに危ないですよ」

「言葉は怒っているのに、顔は笑顔だぞ。スミレもお疲れ様。少しだけ一緒にゆっくりしよ」

「もう、仕方ないですね。強引にヨウイチさんが引き寄せるから、私も休みたくなりました」


 俺の首に腕を回して、肩に頭を乗せる。

 スミレは胸や身長はユミよりも大きいが、軽いので膝の上に乗せても重さを感じない。


 むしろ、その柔らかさに幸せを感じる。

 スミレの甘い匂いがして、心地いい。


「ちゅ」


 スミレが俺の首筋にキスをする。

 やわらかくてくすぐったい、グリグリと頬をすり寄せてくる。

 

 いつもは世話ばかりしてくれるスミレが甘えるしぐさをするの珍しい。


 旅行中はユミもいたから気を遣っていたのかな?

 俺がユミばかり構っていると思った?

 それとも江ノ島で怖い思いをしたのに、ユミがいたから強がっていたのかな?


 単純に、甘えてくれるスミレは可愛い。


「スミレ」


 俺はサラサラとしたスミレの綺麗な髪をゆっくりを撫でてあげる。

 

「ふふん」


 気分がよさそうな声が聞こえて、スミレを抱きしめてあげる。

 腰は細くて力を入れたら折れてしまいそうだ。

 それなのに胸は大きくて、当たっていると気持ちいい。


「気持ちいいですか?」


 耳元で囁くように、スミレが誘惑するようにわざと胸を当ててきた。


「ああ、気持ちいいよ」

「ふふ、最近、また大きくなったんです。この間、ブラを買いに行ったらHカップって言われました」

「えっ? H!」


 A、B、C、D、E、F、G、H………。


 カップ数で、聞いたことがないアルファベット……。


 確かにお風呂に入った際に、スミレの胸は浮かんでいた、それが今も成長しているだと!!!


「ヨウイチさんに育てられてしまいました」


 今日のスミレは甘えたなだけでなくイタズラっ子のような誘惑を囁いてくる。

 耳元で囁きながら、「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」首筋や頬にキスをしてくる。


「スミレ」


 名を呼んで唇を合わせる。

 ここまで誘惑されて、何もしないでいられるほどダメな男にはなりたくない。


「ふふ、我慢できなくなりましたか?」

「狙っていたのか?」

「もちろんです。せっかく二人になったんですから、私のことを見て欲しいじゃないですか」

「なら、今だけはスミレだけを見るよ」

「はい!」


 スミレは嬉しそうに抱きしめる腕に力を込める。

 それだけでHカップの胸が押し潰されて、すごい弾力が伝わってくる。


 横を向いていた体を正面に向き合って、キスを重ねてスミレを抱きしめる。


 素直に甘えてくるスミレは初めてで、だけどそれが普段とのギャップになって、これは最高に可愛すぎてたまらない。


 スミレは出会った頃よりも表情が豊かになった。

 見たことがない姿も増えた。

 だけど、もっとスミレのことを知りたい。

 スミレを大切にしたい。


 どこまでもどこまでも……。


「ふふ、ヨウイチさんは私の胸が大好きですね」


 いつの間にか、膝立ちになったスミレの胸に顔を埋めてしまっていた。

 この豊満で幸せな柔らかにただただ溺れていたい。


「溺れさせてあげますね」

「えっ?」


 心の声が読まれたような言葉に、顔を上げた俺の唇にスミレの唇が覆い被さり、奪われる。


 身も心も、全てを溶かされて。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


どうも作者のイコです!


2023年11月10日、《あくまで怠惰な悪役貴族》一巻発売しました^ ^


ライトノベル作家デビューしました\(//∇//)\

書店、ネットで購入して、応援をよろしくお願いします!!!

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