第69話  露天風呂

 三人で汗を流して少しだけ眠ってしまった。

 気づけば21時を回っていて、仲居さんを呼んで食事を片付けてもらった。


「随分とゆっくり食べてはったんですね」

「ええ。美味しかったのでお酒を飲みながら楽しませてもらいました」

「へぇへぇ〜お客さんは凄い殿方どすなぁ〜」


 去り際に仲居さんからそんなことを言われて、なぜか下腹部をチラ見されてしまった。

 どう思われたのか不安ではあるが、まぁ他人にどう思われてもどうでもいい。


 少し寝たおかげで頭は痛いが、酒は抜けてくれたようだ。

 水を飲んで、部屋に戻れば、二人が裸にタオルで前を隠していた。


「ヨウニイ、せっかくの天然温泉だから、一緒に入ろ」

「部屋の中なら混浴ができますから」


 二人に誘われて檜の天然温泉に浸からせてもらう。

 ヌルヌルとした肌触りが温泉独特の香りと相まってゆったりとした気分にさせてくれる。


 三人が入っても余裕がある檜の湯船は、香りも良くて格式が高く感じられた。


「ふぅ、気持ちいいな」

「ヨウニイ〜おじさんっぽい」

「まぁおじさんだからな」

「ですが、お世話してあげたくなります」


 露天風呂は、少し熱めに設定されているのかすぐに体が火照ってくる。 


「秋だけどこの時間になると少し肌寒いね」


 ユミが俺の横に並んで座ったところで、風が吹いた。

 夜の風は冷たさを含んでいて、温泉で温まっていても冷たく感じる。


「この肌に当たる冷たさと、熱いお湯が風情なんだろうな」

「そうですね」

「ヨウニイ、やっぱりちょっとおじさんっぽい。ふふ」


 おじさんっぽいといいながらも俺の肩に頭を預けるユミ。

 今日の俺はシラフなので、のんびりと二人の姿を堪能できる。


「ふぅ、私も熱くなりました」


 スミレがユミと反対側に座って、俺たちは並んで半身浴をするような姿になる。両腕に当たる胸の感触が心地よい。

 湯に体を預けながら両サイドから美女に抱き着かれるのも随分となれたものだ。


「酔ってなくてもヨウニイは、私たちの裸に動じなくなったね」

「……まあ、ほとんど毎日一緒に風呂に入ってるからな」

「そうですね」


 家で一緒にお風呂に入るので体の交わりだって多くなる。

 この旅館に泊まっている先ほどのヤンキー君が聞けば、殺しにこられそうな話だ。


 空を見上げれば漆黒の夜空の中に多くの星が見えている。

 東京から少しだけズレただけで、こんなにも綺麗な星空が見えるんだな。

 露天風呂の良さだ。こうやって景色を楽しめるからこそ人気なんだろうなぁ。


「ふぅ〜いいなぁ〜」


 景色を楽しみながら、スミレとユミの柔らかさを堪能する。

 手の平に感じるのは押し返してくる豊満な弾力と、柔らかい感触。


「ヨウニイ、くすぐったいよ。まだ足りないの? 温度差で湯気が上がってるからって、おっぱいに悪戯しちゃったらしたくなるよ」

「私はいくらでも受け入れますよ」


 先ほどまで仲良くしていたのに、二人がグッと距離を詰めてくる。

 広い檜風呂に三人が寄り添って一つのところに固まってしまっていた。


「今は温泉を楽しむことにしよう」

「ヨウニイはいいの? 凄く元気になっるよ」


 ユミも最初の頃よりも手慣れた様子で俺をいじってくる。


「……ふぅ」


 心を落ち着けるように深く息を吸い込んで吐いた。

 二人は本気でご奉仕したいという雰囲気を出してくれる。

 俺がその気になればスミレもユミも嫌な顔はしない。

 望むところではあるが、一応は外だ。


「二人が風邪を引いて体調を崩してほしくはないから」

「なら、しっかりと温まらないとね!」


 ユミが俺から離れて肩まで湯に浸かる。


「仕方ないですね」


 スミレも離れて湯に浸かるが胸が湯に浮いている。

 刺激的な光景が広がる中で、傍に彼女たちが裸で居るとどうしても意識してしまう。


「……幸せ地獄だな。二人とも大好きだよ」

「ふふん! 知ってるよ。私も大好きだよヨウニイ」

「……愛していますヨウイチさん」


 二人が嬉しそうに笑顔を向けてくれる。


 俺たちはしっかりと温まって布団へ移動した。

 その後はしっかりと二人の相手をさせてもらった。



 朝目覚めると、三人の浴衣は乱れてあられもない姿が晒されている。

 昔から浴衣を着ると、どうしても目が覚めると帯だけになっているんだよな。


 スミレは丸くなって、布団を抱きしめて寝ていた。

 ユミは寒いのか、布団の中に潜って寝ている。


 部屋の中は温度管理がされているので、寒くはないが浴衣がはだけているので仕方ない。


 俺は二人にちゃんと布団が掛かるようにして起き上がる。ユミは顔は潜っているのに足が出てしまっているからな。


 朝日と共に露天風呂に入るのは贅沢な時間だと思う。


 ふと、窓越しに寝ている二人を見て、こんなにも幸せな時間がいつまでも続くようにどうやって努力をすればいいんだろうと考えてしまう。


 女心と秋の空ではないが、二人の気持ちをいつまでも繋ぎ止めていたいがこんなおじさんをどうして愛してくれるのか、やっぱり俺はどこかで自信が持てないでいた。


「だって幸せすぎるんだよなぁ〜」


 夢だと言われた方がしっくりくるぐらいの思いを満喫している。

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