第54話 妹の質問
相変わらず、挿絵に対して資料集が送られてきた。
ただ、今回は何故か狐狸相先生の悪魔?コスプレ衣装と、メイドコスプレの衣装がテンプされて送られてきた。
メイドは登場するが、悪魔なんて登場しただろうか? もしかしてハロウィンパーティー的な挿絵を入れて欲しいと言うことなのだろうか? これはカスイさんに確認がいるかな?
もしかしたらイラストの中に入れるメイドさんのイメージとして使う必要があるかも。
もっと清楚系が良いのかと思っていたけど、意外にミニスカートに胸元が開いた衣装が良いと思っているのかな。
狐狸相先生は童顔で美少女系の顔をしている。
それを隠すような地雷系メイクなのだろうけど、ロリ体型に胸元がスカスカなので、危険なゾーンが見えそうに写っていた。
「衣装を自ら着て見せてくれるのは嬉しいんだけどだ。際どいのはやめてほしいな。カスイさんは資料までは目を通してなかったのかな? とりあえずイメージの確認をしておこう」
今回の衣装のようなイメージなのか知りたいので、カスイさんにメイドのイメージとハロウィン衣装を描く必要があるのか聞いておかないとな。
「とりあえずメールだけ送って確認だけしておこう。挿絵の資料として一応は使わせてもらわないといけないのかな? とにかく確認をとってからしか仕事ができないな」
面倒だが、参考にしないといけない。
本当はスミレさんのメイド服姿を参考にしようと思ってたいんだけど、作家さんの要望に応えた方がいいだろうしな。
「ふぅ、一旦休憩にしよう」
「休憩にするの?」
「えっ!?」
気持ちを切り替えたところで、突然話しかけられて声を上げてしまう。
「ユミさん、いつから?」
「ふふ、一時間ぐらい前かな? ヨウニイは相変わらず集中すると周りが見えなくなるよね。今日は一人でぶつぶつ言ってたよ。それで、休憩にするの?」
「ああ。資料の確認は終わったからね。あとはそれを参考にして絵にするんだ」
挿絵が思っていたイメージと違うとラフを描くこともできない。
「なら、ケーキ買ってきたから一緒に食べよ」
「ケーキ?」
「うん。姉さんも一緒にと思ったんだけど、今日は大学に行ってるんだね」
「ああ、三年生の単位をもらえないか交渉してくるって言ってたよ」
俺はユミさんに連れられてリビングに向かう。
冷蔵庫に入れられていたケーキを取り出してくれて、俺はティーパックに入った紅茶を入れるためにお湯を沸かす。
紅茶は温度と入れ方が大事だ。
伊地知先生や、仲介さんに褒められたことがあるので、自信がある。
好みとしてはコーヒーの方が好きなんですけどね。
「どうぞ」
「え〜ヨウニイが入れてくれたの?」
「ティーパックにお湯を注いだだけだよ」
「それでも嬉しいよ。ありがとう」
朗らかに笑ってくれるユミさんは、素直に気持ちを伝えてくれるから、素直に嬉しいと思えてくる。
「ヨウニイは何食べる? ショートケーキに、チーズケーキに、チョコとモンブランがあるよ」
「なら、チーズケーキにしようかな」
「ふふ」
「どうかした? ううん。なんでもないよ」
「うん?」
「私もね、チーズケーキが一番好きなんだ」
「あっ! それなら他のものでも大丈夫だよ。なんでも食べられるから」
「ううん。そうじゃないの。一緒の好みだって思うと嬉しいなって思っただけ」
俺の好みと一緒で嬉しいって、ちょっと恥ずかしくなるな。
若い子と同じなのは嬉しいけど、それを嬉しいと言われるのは恥ずかしい。
「あっそれで、今日はハロウィンの衣装について相談しにきたの?」
「ハロウィンの衣装?」
「うん。もうすぐハロウィンでしょ? だから、何かコスプレをしようかなって友達と話してるの」
現役JKのコスプレなどオジサンには眩しすぎる。
スミレさんは家の中だけだから自分で独占できて、なんだか役得感がある。
狐狸相先生は、趣味と仕事が兼ね備えられているので、なんとなく納得できる。
だけど、ユミさんのコスプレは自分が悪いことをしている気分になるのはなぜだろうか? だけど、ユミさんのコスプレか〜、何を着ても可愛いと思うけど。
甘え上手なユミさん、フワフワな髪質と小柄ながらも出るところは出ている将来有望なプロポーション。人懐っこい態度と可愛い仕草。
「あ〜、まるで猫みたいだ」
「えっ? 猫? 猫のコスプレをして欲しいの?」
「あっ! 今のは心の声が漏れてしまったというか」
「ふ〜ん。ヨウニイは私のコスプレで妄想してたんだ」
「あっいや」
「それで私が猫のコスプレを着るのを想像したんだね」
「うっ!」
「いいよ。仕方ないなぁ〜ヨウニイが着て欲しいなら着てあげても」
「えっ!」
ユミちゃんの猫耳衣装……ヤバっ!
「ふふ、ヨウニイって結構スケベだね」
「あっ! からかった?」
「ううん。着てあげるのは本当だけど、ちょっとエッチな顔してたよ。ダメなんだよ。姉さんがいるのに私のことをエッチな目で見ちゃ」
「すいません。そういう目をしてたかもです」
これは本当に反省だな。
女性に対して失礼なことをしてしまった。
しかもスミレさんの妹さんに対して、誠心誠意謝罪するしかない。
「ふふふ、正直だね。許してあげよう。その代わりコスプレ衣装はヨウニイがプレゼントして」
「えっ?」
「猫のコスプレしてあげるから、ヨウニイが選んでね。スリーサイズはこれだよ」
そっちケーキの紙にスリーサイズが書かれて置かれていた。
いけない物を見たような気分になりながらもしっかりと、その数字は頭に刻み込まれた。
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