お月見とおだんご

まんまるで 白いお月さま おいしいな


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 今日は9月29日の金よう日。

 ぼくはおじいちゃんの家にやってきていた。今日は年に一度の『お月見』の日だ。


 いつもこの日がやってくると、お月さまを見るためにおじいちゃんの家に行っている。ぼくは毎年この日がくるのを楽しみでしかたなかった。


「わあ!」


 机の上にならぶ、まっ白なお団子たち。つやつやしててとてもおいしそう。


「おだんごおだんご!」

「まだだめよ、たっちゃん。お月さまにお供えしてないんだから」

「後で持って行くから、たっちゃんはおじいちゃんのとこに行っておいで」


 おばあちゃんに背中を押されたぼくは縁側へと向かっていった。

 縁側に近づくと、ゆかいな笑い声が聞こえてきた。ろうかの角を曲がると、ぼくに気づいたおじいちゃんとお父さんが手招きしてきた。


「おお、たっちゃんじゃないか。こっちにおいで」


 顔が赤いおじいちゃんに近づいたぼくは、そのおひざにちょこんと座った。しわしわの手で頭をなでられながら、ぼくは空を見上げた。


 まっ暗になった空にうかんでいるのは、きれいなまんまるのお月さま。


 手をのばせばつかめるかな?


 そう思ってお空に手をのばしたけど、ぜんぜんとどかなかった。


 ゆっくり手を下ろすと、ろうかからお母さんとおばあちゃんがやってきた。おばあちゃんはおだんごがのった小さい箱を、お母さんはうす茶色のススキが入った花びんを持っていた。


「さ、お団子できましたよ。みんなでお月さまにお供えしましょう」

「はーい!」


 コロコロ鳴くコオロギの声を聞きながら、みんなでお月さまをながめた。風がつめたいから、お月さまが風邪を引かないかちょっと心配になった。


「今年の月はきれいね~」

「ふふっ、そうですね」

「こりゃ縁起が良さそうだ。今のうちに願をかけておこう。今年も、美味い作物が取れますように」


 おじいちゃんが手を合わせたから、ぼくもマネして手を合わせた。言ってる意味はよく分からなかったけど、なんだかいいことをしてる気分になった。


「はい、これでお供えは終わり。たっちゃんもお祈りしてくれてありがとうね~。さ、みんなでお団子食べちゃいましょ」

「やったー!」


 さっそくぼくはおじいちゃんからおだんごをひとつもらった。両手でそれを持ったままうでをあげると、ちょうど黄色いお月さまと重なった。


「うわ!お月さままっしろ!」

「どういうことだ?真っ白になんてなってないぞ?」


 お父さんが首をかしげていると、おじいちゃんも同じようにおだんごを持ったままうでを上げた。


「ほんとだ!お月さま真っ白になっちゃったな!」

「なっちゃったね!」


 そのまま白いお月さまを口に運んでぱくりとかじった。あんこが入ったそれはとっても甘くて、ほっぺたが落っこちそうだった。


「たっちゃん美味しい?」

「うん!おいしい!」


 あっという間に食べおわったぼくは、さっそく2つ目をもらった。まんまるのお月さまを見ながら食べるおだんごはやっぱりとてもおいしかった。


「まいにちお月見だったらいいのにな~」


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まんまるで 白いお月さま おいしいな


(詠み手:おだんごお月見大好き少年)

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