215 ダンスレッスンをいたしましょう(2)
結局、『ハローハーモニー』を前身としたアリアナのハーレム軍団の面々は、小ホールを借りてダンスの練習をする事になった。
だいたい10回ほど練習できる予定だ。
パートナー同士での練習を目的としているため、正式なパートナーを連れてくるのが前提条件だった。
アリアナが、レイノルドにエスコートされ、ホールの扉の前に立つ。
パートナーがレイノルドだということをハッキリと言えた事はまだない。
もうみんな中にいるはずで。
これ……すごく恥ずかしいわね。
ドキドキと心臓を抑える。
「緊張してる?」
そう尋ねたレイノルド本人は、緊張している気配はなさそうだ。
「……ええ、そうね」
「そう。……それは光栄だな」
レイノルドがそう言うので、チラリとその顔を見る。
「どうして?」
「だってアリアナにとって、それだけ大事だってことでしょ」
珍しく冗談を言うような笑顔で、レイノルドが微笑む。
小さな声で「へへ」と照れ隠しの為に微笑むと、二人は扉をくぐった。
眩しい光の中で、驚きと幸せを願う笑顔に包まれる。
一際大きな笑顔を見せているのはシシリーで、その隣に居るのはアルノーだ。
「お姉様〜」
と手を振っているのは、エリックの隣に居るルナ。
この学年末パーティーでは、アカデミー外のパートナーを呼んでもいいことになっている。
この二人が恋人同士というわけではなく、きっと、エリックのパートナーは注目されやすいからだろう。
エリックは、王子であるにも関わらず、婚約者をまだ持たなかった。
相手が公爵家の、11歳のちびっ子なら、みんな察して変な噂も立ちづらいというものだ。
ドラーグとアイリは、アイリがアリアナを見つめていつも以上に目をキラキラさせている以外は、いつも通りだ。それだけ二人でいるのが自然なのだろう。
ジェイリーは何故か王女であるキアラと参加していた。
護衛対象のアリアナが王宮のティーパーティーに参加する以上、二人は確かに知り合いではあるが、それほど仲がいいということは無いだろう。
キアラがルナにくっついて適当にパートナーを決めに来たというのが妥当な線だろうか。
それ以外にもマーリーやシャルルがそれぞれパートナーを連れて来ていて、人数はなかなか多い。
アリアナとレイノルドを取り囲み「よかったね〜」と祝福してくれる友人達を前に、素直に照れてしまったものだから、マリアナにはもう、友達だからパートナーを組んだだのそこに居たから仕方なくだのという言い訳も成り立たなくなってしまった。
魔法陣が拡がり、緩やかなワルツの音楽が流れる。
パートナー同士でこの音楽の中、好き勝手に踊るのが今回の練習だ。
アリアナは、目を閉じ、三拍子を唱える。
レイノルドとアリアナが向かい合い、顔を見合わせた。
◇◇◇◇◇
シシリーの恋愛はうまく進んでいなかったりするわけです。
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