7 お久しぶりのティーパーティー(1)
「キアラ様からお手紙が届いておりますよ」
その日の午後。
サナのさらりとまとめた髪と、とびっきりの笑顔が、その手紙をもたらした。
「キアラから?」
キアラは、王家の次女だ。
王家には、3人の子供達がいる。
アカデミー最高学年の長女。アリアナと同学年の長男。そして、二つ年下のキアラだ。
手紙は、キアラお気に入りの便箋に、いつだって花の香りがつけられている。
「お茶会のお誘いね。アカデミーの新学期が始まる前に会いたいのですって」
キアラの兄であるエリックも、高等科入学のタイミングである今年からアカデミーに入る事になっている。
アカデミーは、王都に住んでいる者は家から通う事になっているけれど。家で一人で勉強しなくてはいけなくなったキアラは、それでもどこか寂しいのだろう。
そんなわけで5日後、ほぼすっかり元気になったアリアナは、王宮のキアラ専用ガーデンに居た。
真っ白なテーブルクロスをかけた丸テーブルに、椅子が5つ並んでいる。
迎えてくれたのは、キアラと、キアラの姉である王女プリシラだった。
遠くに立つのは、メイドと護衛騎士達。アリアナの護衛騎士ジェイリーも並んで立っている。
「お久しぶり。プリシラ、キアラ」
王家の人間を呼び捨てで友達付き合いできるのなんて、公爵家の人間くらいなものだろう。
正式なお辞儀をすると、キアラがちょこちょこと寄ってきた。
「久しぶり、アリアナ。さあ、座って」
「ええ」
お土産を渡し、キョロキョロと辺りを見回す。
今日のお土産は、サウスフィールド家お抱えパティシエのクッキーだ。
「席があと、2つ余ってるみたいだけど」
「そうなの。お兄様達も呼んであるわ」
“達”?
お兄様というのは、アリアナの兄、王子エリックの事だ。
そのエリックと一纏めにされる人物……。
「やぁ」
その時、後ろから声がかけられた。
慌てて立ち上がると、二人の人物が見えた。
「俺達もお邪魔するよ。招待ありがとう、キアラ」
ニッコリと笑顔なのがエリックだ。
スラリとしたスマートな外見。流れる茶色の髪。全てを見透かすような琥珀色の瞳。
そしてそれを誇示するかのような堂々とした所作。
女性には優しい仕草。
エリックは挨拶がてら、アリアナの手に口付ける。
アリアナはなんでもなく、それを受け入れた。
この人は昔からそうなのだ。
照れも何も一切関係なしで、こういう事を平気でやってのける。
思春期とかないんだろうか。
もし将来王となり、側室制度を採用した時は、きっと30人は側室がいる事だろう……。
けど、そう!
ハーレムの一員にするには的確な人物だ!
なんといっても王家の人間だし!
そうよ!ハーレムを作るなら欠かせない人よ!
そして、その後ろに居るのが。
◇◇◇◇◇
イケメン登場です!
個人的にはジェイリーもいいと思うんですけど。
さて、王子とはフラグが立つでしょうか……。
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