共依存
僕らは彼くんの家にあがると彼くんが自分の部屋まで連れて行ってくれた。ベッドの上に乗ると、
「かわいい。」
と彼くんが呟く。
…彼くんは自分の部屋に入ると、学校にいるときとはまた違う雰囲気になる。彼くんは僕の頭を撫でるとすーっと優しく僕の顔を指でなぞる。
「本当は殴りたくないんだけど、すごく殴りたい気分だ。1発殴ってもいいかな?」
僕はうんと頷いた。僕は痛みが感じないのでそういうのは別にいい。
彼くんは深呼吸すると、大きな拳が振りかかってきた。殴られたのと同時に僕はバランスが崩れ、横に倒れた。
「あ…大丈夫か?」
「大丈夫だよ。少しバランス崩しちゃった…。」
僕は起き上がると、彼くんが、
「はあー、少しスッキリした気がするわ。お前みたいな痛み感じないやつほんと羨ましいよ。」
と言った。…別に痛みが感じなくても便利っていう訳ではなく、いつ骨折しているかがわからないから案外危険だ。
彼くんは時計をみて、「よしっ」と呟く。
「少ししかできないけどヤる?」
僕はその言葉に驚く。
「時間に余裕ある時にしようよ…。流石に気持ちよくなった後に帰ったらおばさんに絶対バレるよ…。キスだけならいいけど。」
彼くんは納得がいったようで、
「よーし、ヤれないならキスだけで我慢するか!どろどろに溶かしてやろ!」
…心の声出てるよ〜…。僕はそう思いながらも彼くんが僕の体を押し倒してきた。
「わ」
僕は驚きと共に声が出てしまった。すると僕の口が塞がった。
数分の時が流れ彼くんが僕の口から離すと、
「そろそろ帰った方がいいと思うぞ。」
時計を見ると17時30分だった。
「そうだね、帰らなきゃ。今日はありがとう。」
僕は荷物をもって玄関まで行く。彼くんは少し寂しそうな顔をしながらも、
「また明日な!」
とハグをした。そのハグはとても居心地が良かった。落ち着く…。その瞬間もあっという間に終わり、僕はいつもの道を歩いて家に帰った。
「…ただいま。」
僕は家に帰ると、おばさんが待っていた。
「おかえり〜!待ってたわよ!今日の夜ご飯とーっても自信があるから絶対食べて欲しいの!」
「…そう。あとで食べておくね。ありがとう。」
「冷めちゃうからなるべく早めに食べてね〜。」
おばさんはどうもご機嫌な様子だった。
僕は自分の部屋に行くと部屋着に着替えた。僕はベッドの上にあるカミソリを手に取った。
…数分が経過した。僕の腕は血まみれで服まで汚れてしまった。
「無意識…。」
するとおばさんが階段を上る足音が聞こえた。僕は咄嗟にその血まみれの腕を隠す。
「わたし出かけることになっちゃったからちゃんとご飯食べておくのよ〜。」
僕はうんと頷く。おばさんが下に行くのを確認したら再び僕の腕を切った。
…心が落ち着いた。少しだけでもご飯を食べようとリビングへ行く。少しふらふらするけれどいつものことだ。
少しだけ食べると自分の部屋に戻った。スマホの画面をみると数件の通知。彼くんからだ。
“大丈夫か?心の体調悪くない?”
“なにかあったらすぐ言えよな”
“今頃リスカしてそうだな…貧血にならないか心配だ”
僕はくすっと笑ってしまった。いつもの事なのにそんなに気にすることなのかな…?僕はメッセージを送る。
“大丈夫だよ。ちゃんとご飯も食べた。リスカは少ししちゃったけど…”
するとすぐに返信が来た。
“お!偉いな!そういえば夜はどう過ごすんだ?眠れないだろう?”
僕は少し悩んだが、すぐに思いついた。
“自分でなんとかするよ。バットで自分のこと殴ったりすればなんとか…”
“もしそれでも出来なかったらお前ん家突撃するわ”
僕は👍🏻と送るとスマホを閉じてぼーっとした。
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