片思い
…キーンコーンカーンコーン。放課後のチャイムが校内に鳴り響く。僕と彼くんは誰もいない教室でお話をしていた。
「今日は俺ん家行かないのか?」
「うん。今日の朝おばさんが18時までに帰ってきてと心配されてるんだよね…。」
「だるいなそれ。門限とかきついな。」
「…ね。」
僕は小さくはぁ…とため息を吐く。するとガラッと教室の扉が開く音がした。
「あれ、まだ居たんですか?珍しいですね。」
義経くんが入ってきた。僕の友達だ。
「丁度帰ろうかなと思っていたところなんだ。それはそうとお前は何しにきた?」
彼くんが少し怒りっぽい口調で質問する。
「忘れ物です。邪魔してしまってすいません…。」
「大丈夫だよ。」
僕は作り笑いをする。…彼くんは義経のことがどうも気に入らないらしい。さっきのと態度が全然違って見えた。義経が荷物をとると、
「じゃあ!僕さんたち、また明日!」
義経が僕に向かって手を振る。
「ちっ。」
彼くんは舌打ちをする。僕はそれに少し驚いてしまった。
「大丈夫…?」
「どうもむしゃくしゃする。あいつなんか学校来るなよ…。」
僕はそれの反応に困ってしまった。
「そろそろ帰ろうか。少し家寄ってくれ。」
「?うん、わかった。」
僕は彼くんに差し伸べられた手を繋ぐ。手を繋いだら彼くんの顔が少し柔らいだ気がした。
(彼さん、やっぱり怖すぎる…!!)
…実は私は僕さんに恋をしていた。男同士なのですが、どうも守ってやりたくなってしまったのです。でも僕さんには彼さんという方がいつも一緒にいて、離れようとしないのです。
もう少し早く僕さんのこと知っていれば…といろいろ考えてしまう。
「はあ…今日も言えなかったな…。」
私が歩くのが遅かったせいかいつの間にか僕さんと彼さんが歩いてきていた。帰る方向も同じなので正直ラッキーだった。でもそれはただの勘違いだった。
私はあの2人をこっそり目を追っていると、彼さんの家に入っていった。その時僕さんの顔はとても嬉しそうな顔をしていた…。
「…私には恋愛なんて出来ないのかな…。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます