新参者は恵まれない【パ・ドゥ・シャンス】~(2)~




 夜――――。

 行軍は、ミスリル大森林で野営をすることになった。馬車の数だけ焚き火を用意し、各々で釜戸を囲んで晩食を口にしていた。

 クレイ達も、あれから三騎獣パイユトラスと和気藹々とした談笑を交わし、今では血を分けた兄弟姉妹のような友情を育んで――――いたわけでは決してない。

 寧ろ、昼間のジンテツとカインの喧嘩を目の当たりにして、より近寄りがたいと言うように余計に距離を開けていた。

 グリフェールは警戒して時折睨んでくる。

 ムクソン・クックナールは怯えきっているようで。

 残る紳士風の区衛兵は依然として会話で口を開く様子も無し。

 やっぱり止めるべきだったと、クレイは何度も後悔していた。

 唯一、ジンテツだけは楽しんでいる。木皿にたんまり盛った豚肉と野菜の角煮を、一口で気に入ってもう三回もおかわりしていた。

 こんな緊迫とした空気で平然と料理が喉を通るとか、さしものクレイ達も彼の通常運転ぶりには呆然とする他ない。

 シラとアリスは何事もない様子でいて、カインに至っては負けたショックか俯いたままで、スプーンが進んでいない。エフィーはずっとそわそわしている。

 あまりの空気の重さに耐えかねて、一つ声をあげたのは三騎獣パイユトラスの隊長を務めるコンスタン・ダルトだった。


「スゴいですよね、姫様の御友人達。噂以上の実力で」

「あ、あぁ······はい」


 クレイは力無げに返事した。

 実力の証明ができても、それに付随してチームもへったくれもない関係であることも露呈してしまった。何より、ジンテツの異質性を悟られてしまった。

 区衛兵は彼を黒霧の怪物であると、未だに疑いを掛けている。隠し通すのは厳しくても、こんなにも早く懐疑を加速させるような真似を犯してしまったと、クレイは悔恨に苛まれる。


「だろ? これで役に立たないって言い張れるか? 猫アマ」


 ジンテツが威張った。グリフェールをスプーンで差して、自画自賛気味に威張った。


「野兎くんね、少しは空気読もうよ」

「ゲヒャヒャヒャヒャヒャヒャ――――!!!」

「他人を見て爆笑しないでよ! なにそのお下劣な笑い?! 君ってツボるとそんな感じなの?!」

「だってさスヴァル、お前のその姿はどうしたって笑っちまうでしょ!」


 スヴァルは、見た目十歳時程度の見た目となっていた。悔しそうに悶々とした顔になる。

 彼女――――霜の妖精ジャック・フロストは、環境の影響を受けやすい不憫な人外の一種である。特に温度、熱には極めて弱く、当てられてしまうと体が溶けて外見が幼くなってしまうのだ。

 比例して能力も弱体化し、何よりスヴァルはこの姿の自分自身を嫌っている。


「もう、アタシ、カインが好きだけど一度焚き付けると中々収まんないからさ。次からはなるべく気を付けて接してよね」

「はいはい、ケヒヒヒヒ」


 軽薄な態度に、スヴァルは嘆息を吐く。

 気の毒に思ったムクソンが、彼女に訊ねる。


「それって、もとに戻らなかったりするんですか?」

「だったら、カインに近づきもしないよ。この分なら、明日早朝には戻ってるよ」


 体型が小さくなってしまった為、手が袖に隠れる。それを面倒臭そうに一々捲りながら、スヴァルは豚肉と野菜の角煮(冷水漬け)を口にした。

 食事が済んだ後は入浴の時間となった。付近の川から水を引きつつ、魔力で水を生成しながら温熱を付与し、そうして貯めた箇所をさらに岩石を並べて仮設浴場を造り上げる。

 先に男性陣から風呂に入る。装備を完全解除したことにより、区衛兵一同は日頃から鍛え上げている肉体をお互いに自慢し合ったり、最近の家族事情や実家の調子などの世間話を交わす一方で、その中に違和感極まりない珍事が発生して絶句を余儀無くされた。

 原因は、ジンテツだ。区衛兵全員、彼を女性だと思っていて、唖然としてしまったのだった。

 さしものルージーも、酔いが覚めて隣に来たジンテツから目が離せずにいた。


「オマエ、男だったんだな。なんとなく不自然な感じはしていたが······」

「地味に傷ついたで」

「そう自分で言ってる割には、湯を肩にかけるときの所作。女々しく見えたぞ」


 右腕で殴りかかるジンテツ。

 それを左腕で防ぐルージー。

 その後、いい塩梅に体から温まってきた頃合いに、ルージーがいつもの調子で口を開く。


「昼の勝負アレ、どうやって勝ったんだ?」

「見てたのかよ」

「暇潰しには丁度いいだろ。で、どうやったんだ?」


 ジンテツは横目でルージーを見た。興味を持っているような感じも、疑念を懐いている様子も無い。

 ただの疑問にしては空虚さを余計に感じる。


「そう疑り深い目をするな。あのとき、オマエは無傷だった。カイン嬢ならともかく、爆心地に近かったオマエがあれだけの爆撃で五体満足でいられるだけでも不自然だ。なにをした?」


 ルージーはジンテツの目を見て言った。

 怪しまれるのは当然か。と面倒臭そうに答える。


「一か八かの賭けに出た」

「賭け?」

「うん。カインの武器は高密度の魔力の弾丸。それを銃毎に調整している。形状を弄くっていたと見てわかったときは、奴の精密さに驚かされたよ。最高傑作と自信満々に言っていた辺り、最後の大砲みたいなやつが現時点での最大火力ってところやね。だから、これは使えるって思った。奴の弾丸は、総じて着弾時に爆ぜる。無理矢理に押し固めているんだから、術者の手元から離れれば当然そうなる」


 ジンテツは後ろを向いて続けた。


「まずはちょいと擦って弾道を逸らす。そのまま斬ったら爆ぜかねないから、めちゃくちゃハラハラしたえ。で、着弾寸前に跳躍して爆風を使って加速して、カインを捕まえてそのまま落下して地面に拘束。概ね、こんな感じ。どや? えげつないやろ?」


 鼻高々に解説したジンテツにルージーは、視線を直して「そうだな」溜め息をついた。


「正直、俺はオマエ達を信用していないんだ」

「これまたド直球だな」

「そんな俺を信用させるならどうするか、知りたいか?」

「特に」

「“才能„だ」


 訊いてもないのに答えたよ――――ジンテツは面倒臭そうに吐息を溢す。


「“才能„ってのは、誰しもに宿っていると俺は思うんだ。才能は一種の現象。現象は、仕組みさえ理解すれば誰だってできる。だが、その才能を生来に持っているものは別に理解せずとも感覚だけで、なんとなく程度で成立させてしまう。それを有意識でできる奴こそ、才能を我が物にした奴。所謂、“天才„と呼ばれるようになる」


 ジンテツは退屈そうに大きく欠伸をした。


「俺には誰がどんな才能を持っているのか見抜く才能がある。例えば、クレイ嬢なら誰しもに親しくするされる才能、スヴァル・ストライクなら大事の渦中を見据える才能、そしてカイン・ナッツレールは己の意志を曲げようとしない才能、と言ったところか」


 ジンテツは眠たそうに目蓋を擦っていた。


「そしてオマエだ、ジンテツ・サクラコ」

「······」

「オマエにあるのは、狂気と殺戮の才能だ。――――昼のカイン・ナッツレールとの試合、中盤までのオマエは真っ当に戦士の動きと気配をしていた。だが終盤、彼女がバカデカイ銃を取り出したとき、途端にオマエは『狂い』始めた」


 ジンテツは髪に違和感を感じて柔らかく掻き回す。


「なんかくしゃくしゃすると思ったら、羽虫が飛んでやがんの」

「気が動転したとかそんなものじゃない。俺がカインにあれを向けられていたのなら、素直に得物を捨てて白旗をあげる。だが、オマエの場合はそれどころか盛ったように立ち向かった。途轍もない変貌の速さだった。初めて馬に乗ったとき以来の衝撃だ」

「あ、女鹿がこっち見てる。エッチな鹿め」

「オマエ、俺の話聞いてないよな」

「聞いとるえ?」


 言っているジンテツは、頬杖ついて湯船を堪能していた。ばしゃばしゃと足で飛沫を上げている。

 一旦、苛つくルージーであったが、取り敢えず話を続ける。


「オマエは、任意で気分スイッチを変えることができる。故に頭の回転が速く、対応力、適応力、いずれもずば抜けて高い。総じて、先の診断結果が出たわけだ」

「あっそ。で、どうよ? 信用してくれるのか?」


 ジンテツの問い掛けに答えるまで、ルージーは暫し間を空けた。まだ、彼の中で整理が済んでいないのだ。

 手綱はクレイが握っている。だが、ルージーの目から見ればジンテツがそう思わせているようにも見えてならない。単に、管理が杜撰なだけで手に余っているだけかもしれないが、それはそれで看過できない気もする。

 詰まるところ、ジンテツ・サクラコの才能は所謂『信頼できかねる才能』であった。

 複雑怪奇。ルージーに限らず、また彼と同様の慧眼の持ち主であれば、警戒を緩めるどころか強く構えるのが必定。

 ここで重要なのは、ジンテツが信用を欲していることではなく、こちらが信用を置けられるかどうか。

 答え次第で後々にどう影響を及ぼすかわからない。かといって、虚偽を並べても同じ。

 観念して腹を割ることにした。


「三分の二――――」

「信じてる」

「疑ってる」


 左腕で殴りかかるジンテツ。

 それを左腕で防ぐルージー。



 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎



 女性陣にお風呂の番が来た。一度、仮設浴場のお湯を抜いてから再度貯水して暖め直す。男性陣の時と違って、覗き防止に周囲の岩石を高く、頑丈に積み上げる。

 外から見ると、まるで巨大な井戸のようになっていて、流石にやりすぎじゃ、と思ったのだけれど、コンスタンさんが「念には念を」とやけに影を濃くした笑顔で言ったので色々と察した。

 みんな揃って甲冑姿だからよくわからなかったけれど、以外に女性の区衛兵が多い。大半は魔術でサポートをする後衛部隊に所属している人達で、前衛部隊の人達と足すと行軍の三分の一くらいはいる。

 いつ見ても前衛部隊の女性の筋肉量は凄まじい。直接攻撃に出るだけあって、上腕二頭筋がコブみたいに盛り上がっている。腕だけじゃない。背筋、腹筋、大腿筋もゴリッゴリ――――ゴチソーサマデス。

 ちなみに、後衛部隊の人達も引き締まっているほうだけれど、私とそんなに大差無い。


「はぁ~」


 カインはまだ悄気ている。あんなに虚しそうに溜め息をついているところを見たことがない。

 彼女は負けた経験が無いから、ショックが大きいのは無理もないか。

 私も、正直カインに軍配が上がると思っていた。遠距離武器に、高密度の火力が売りなんだ。ジンくんとの相性は良かった筈だ。

 好条件で挑んだというのに、結果は完敗。しかも、あの様子からして敗因もわからないといった感じ。

 ずっと見ていた私でさえも、爆煙で遮られていたとはいえわからずにいる。刹那に黒い霧が覗いていたのを見るに、少なくとも怪物になって対処したんだろうけれど――――。


「やっぱり、止めた方がよかったよね‥‥‥」

「クセの強い部下を持つと、大変ですよね」


 コンスタンさんが話しかけてきた。


「あ、声に出ちゃってました?」

「すいません。聞こえちゃいました」


 苦笑を浮かべながら頬を掻いて、コンスタンさんは同情してくれているようだった。


「わかりますよ。私も、日頃からグリフェール達には手を焼かされていますから」

「そうなんですか?」

「はい。元々、私は壁外領の支部で事務員として働いていたのですが、ある日突然、上司からドラグシュレイン区本部へ転属するように命じられて、同様の指令を下されて集められたのが三騎獣かのじょたちでした」

「じゃあ、三騎獣パイユトラスって何かしら縁があって組まれたチームではないんですか?!」

「はい。みんな初対面でしたよ。共通点も接点も、何もありませんでした」


 よくそれで、あのクセの強い人員を纏められたものだ。別の部署から人員を派遣させてチームを結成させるなんて、そんな勝手ができる人物は限られている。


「もしかして、皆さんを集めたのってルージーさんなんじゃ?」

「よく、わかりましたね!」


 やっぱり。なんだか、適当な思い付きみたいな感じで想像がつく。


「そうです。転属当日に、シモン副長官から説明されまして。最初聞いたときは、びっくりしましたよ。何せ、皆ピリピリしててどう接触していいのやらって。まあ、なんとかかんとか和解して、今では信頼できる同士になりましたけどね」

「けっ」


 聞いていたのか、コンスタンさんの後ろでグリフェールさんが短くぼやいた。

 照れ隠しかな。尻尾が左右に揺れて、落ち着きがない。


「そちらのウサギさんも、中々の曲者のようで」

「あぁ、まあ、そーなんですよね~‥‥‥」


 ジンくんのあの気性を、矯正できる自信が無い。抑えようにも、どう手綱を引いても、彼と来たらそれを引きちぎってしまう。とんだ狂犬、いや、狂兎といったところか。

 それに比べて、コンスタンさんは――――。


「やっぱり、私の性に合わないんですかね。誰かの上に立って指揮するって」

「不安になっちゃいますよね。ああも常識が通用しないのがいると」

「あはは······」

「けど、そう重く捉えない方がいいですよ」


 コンスタンさんは、穏やかな笑みになって言った。それを見た瞬間、別の人物が同じ表情をしていたのを思い出した。タカネ先生だ。

 彼女の場合は苦悩している私を面白がっている節もあったけれど、穏和な笑みを向けてくる時は決まって真正面から一緒に向き合ってくれる。それと同じ気配だ。


「前を行って引っ張るだけでは鬱陶しがられるだけ。隣りに立つか、一歩退いて様子を伺いつつ、違う世界をゆっくりと照らし合わせる。無理に距離を縮めることはありません。皆、戸惑いはしますよ。表面に出さないだけで。ね? グリフェール」

「へぇ」

「こんな態度ですけど、割りと肉よりスイーツが大好きなんですよ。今度、非番オフの時にでも一緒にお茶でもどうです?」


 いいことを聞いたのかなんなのかわからないけれど、コンスタンさんのお陰で空気が和んだ。アドバイスをくれたお礼に、私のパーティとコンスタンさん達とで親睦会を開くのもいいかもしれない。

 お風呂でスッキリした後で、私は早速コンスタンさんのアドバイスに従ってジンくんに長らく訊けなかった疑問を訊きに行こうと思う。

 本人からしたらお節介だってウザがられるかもしれない。答えたくないなら無理に訊くつもりは無いし、現状に満足しているなら何も言わない。

 ジンくんが森の中に入っていくのが見えたから、私はそそくさと後をつける。夜営地からどんどん離れて、月光の差し込む険しい岩場でジンくんは大きな岩に腰掛けた。辺りは虫の音も聞こえない程に静かだ。

 こんな寂しいところに来るなんて少し意外。昼間は何やら物思いに耽っていたようだったけれど、なんだか話しづらい空気······――――少し待ちましょうか。

 そう思った矢先に、足音が聞こえてさっと茂みに身を潜める。


「このようなところで、一夜をお越しになるおつもりですの?」


 え、カイン?! なんでこんなところに?!

 ジンくんは少しも驚いていない。


「なんか用?」

「別に。私はただ、寝る前はこうして、星を眺めて心を落ち着かせてから床につくんですの」

「そ······」


 そんな習慣、親友わたしは初めて聞きました。

 どうしよう。益々出るに出れない空気に······。っていうか、この二人、大丈夫かな。今のところは落ち着いているけれど、いつまた修羅場を繰り広げるか。――――出た方がいいかな?


「あなたはなぜ、クレイ嬢に付き従っているんですの?」


 カインが神妙な面持ちで訊ねた。これまた単刀直入。


「正直言って、あなたは不気味でなりませんの。あなたは私のことが嫌いでしょう!」

「大ッ嫌い」

「でしたら、昼のあれは一体なんのつもりですの?」


 え? どういうこと?


「勝負の最後、あなたは弾丸を避け爆風に乗ってきました。予想だにしていなかった奇襲に、私はすっかり出し抜かれてしまいましたわ。反撃は追いつかない。あとは一太刀浴びせればそれで終わる筈でしたのに‥‥‥あなたときたら、私を捕まえて、押し倒して、そのまま爆風から!」


 私は、カインの言ったことを聞いて開いた口が塞がらなかった。

 ようやく、彼女の気持ちがわかった気がする。


「どうして······! 情けをかけたつもりですの?! それとも最初から舐めてかかっていたんですの?! そうだというのであれば······――――余計なお世話ですの!!」


 怒号が熱を帯びて駆け抜ける。

 カインは泣いていた。感情を爆発させて、大粒の涙が地面に何滴も落ちていく。

 悔しかったんだ。ジンくんに勝てなかったこともだろうけど、それ以上に嫌いな相手に優しくされた自分の弱さや至らなさに、悔恨を抱えずにはいられない。

 カイン・ナッツレールという妖精は、口や態度はデカイけれど、本当は親切心に溢れた情熱的な子だ。貴族としての誇りプライドや冒険者としての経験キャリアが、時折彼女の目の色を変えてしまう。

 人望が微塵も無いわけじゃのだけれど、昔から損をしてしまうことが多くあった。真面目すぎるが故に、まともに相手してくれる人が少なかった。

 時には子供というだけで。時には女というだけで。時には貴族というだけで。

 カインからしたら、己の存在を全否定されたような、最低最悪の気分だ。


「クレイ嬢があなたのようなを無礼者を身近に添えるわけがありませんわ! 答えなさい! あなたは一体なんなんですの?!」


 見ているこっちまで胸が苦しくなる。

 カインの悲痛な思いの矛先が、よりにもよって振りかかる火の粉を自力で苦もなく払い除けてきた野生動物ともなると、余計に······。

 だって彼は、親しみは持っても優しいわけじゃないから。自分が良ければすべて良し精神のジンくんに、礼儀もなにも無い。


「俺ってさ、記憶が無いんだよね」

「え?」


 え······?


「それって······マジ、ですの?」

「言った通り。一年前からね。だから、俺は俺自身のことをなんにも知らないわけだよ」

「それと、クレイ嬢となんの関係が?」


 私もカインと同じことを思った。


「記憶を失くす前の俺なら簡単に答えられたと思うんだけど、なんでかな······? なんでかよう知らへんのやけど、俺はこいつならいいって思ったんだよな。放って置けないやつとも違うし、だからといって群れたいというのもなんかちゃうんよな~」


 ジンくんは満天の星を仰ぎ見ながら語った。

 答えでない応えを聞いたカインは、歯軋りを鳴らした。肌に熱気が触れるのを感じて、彼女の感情が伝わってくる。苛ついている。


「そんな回答で、私が納得するとお思いで――――」

「そうだ。観ていたいんだ」

「······はぁ?」

「俺はあの妖精がどんな道を行くのか近くで観ていたい。こんなに気になるのは初めてじゃない。なんていうのか、懐かしさがある。もしかしたら、お互いに覚えていないだけで、俺達には何かしらの縁があるのかもしれへんな。この胸の中にあるやつの言葉と意味が解けるまでは、俺はどうしたってあいつの傍から離れる気は無い」


 ジンくん······。

 カインの魔力の所為か、顔が熱くなってきた。

 むぅー。私の前じゃ絶対に言わないやつだよね。


「まるで初心な恋心ですわね。いいえ、寧ろあなたのそれは誰しもが理解できる単純明快な真理でしてよ。縁があるなどと、穢らわしい! あなたのようなケダモノは、勇士でも戦士でも、ましてや騎士でもない! 不義な蛮勇を罷り通らそうとするあなたを、私は絶対に認めません! 絶対にですわ!!」


 憤ったカインの猛反発に、ジンくんは何一つとして感情を出さずにただただ静かに聞いているばかりだった。

 反論しない彼に呆れたのか、カインは歯痒そうな顔で夜営地へと戻っていった。

 その後、私は一人になったジンくんを見ることしかできなかった。どう声をかけたらいいのかわからず、茂みから一歩も歩み出せないまま。

 結局のところ、私はジンくんを理解する気概を持てなかった。勢いに身を任せたところで、冷めた現状を目の当たりにしてしまうと、身がすくんでしまう。


 ――――ごめんなさい、コンスタンさん。


 私は眠気に耐えかねて、テントに戻ってそのまま眠った。



 ◎◎◎◎◎◎◎◎◎◎



 翌日、行軍はドラグシュレイン区の南西地に馬脚と車輪を踏み入らせた。雪が降りしきり、一面には銀世界が広がっている。

 先頭馬車の轍をなぞって、行軍は滞りなく進む。

 馬車の中は、昨日とうって変わって賑わいでいた。なんと、睨んでくるばかりだったグリフェールさんがジンくんの肩に手を回して親しく接しているのだ。


「ようようよう、ピョン吉くんよーぉ?」

「······」


 これにはコンスタンさんや、ムクソンさんは何事かといった様子で、身内からしても珍しい光景みたい。

 私はどう踏み込んでいけばいいのかわからず、ただ狼狽して見ていることしかできない。

 アリスは無関心で、一晩で身体が元通りになったスヴァルは寒冷地の空気が心地いいようでスヤスヤと隅っこで寝息を立ててるし、カインは口には出さないこそすれいつも以上に迷惑そう。そんでもって、今度はシラの目が怖くなっている。


「なあなあ、ピョン吉くーん、酒いける? 昨日は飲んでなかったろ? 飲んでるところ見てなかったからね。ん? ん?」

「おい、保護者」


 ジンくんは、あまりの鬱陶しさに参ってコンスタンさんに救助を求める始末。

 一晩でグリフェールさんに一体何が?

 流石にまずいと思ったのか、「はいはい」とコンスタンさんが応援に入る。


「グリフェール、サクラコさんが困ってるでしょ。あと、もうすぐ目的地に着くんだからお酒はやめなさい」

「なんだよ、いいじゃんかよ! これ飲まねぇとアガんねんだよ! おらおら飲もーぜ、ピョン吉く~ん」

「あーも。これが終わったら一晩でも二晩でも付き合ってやるから、取り敢えず黙れ」

「よっしゃ、やった!! 絶対だからな?」


 ジンくんが折れた。

 変な対抗意識を向けられるよりかは、重苦しい空気にならないだけマシだけれど。いくらなんでも、この距離の縮め方は不自然だ。

 ジンくんの狼狽えているところを見るのは、珍しさもあって面白いには面白いのだけれど。彼がグリフェールさんを気味悪がらないか心配だ。


「あの~、グリフェールさん」

「あ? なんだよ姫様」


 瞳孔鋭くて怖い!


「コラ、グリフェール! 姫様は呼んだだけでしょ! 圧かけない」

「へぇーい」


 コンスタンさん、サンキューです!!


「ジンくんは、あまりそういう絡みは得意じゃないんで」

「ええ?! あんたら飲み会とかしないの?」

「いや、別にしないわけでもないんですけど、私達としても彼がお酒を飲むところを見ていないので、もしかしたら下戸なんじゃないかな~って、なんとなく察してまして」

「え? ピョン吉くん、酒飲めないの?」

「飲めへんよ」


 ジンくん、空元気ですかさず即答。よっぽど絡まれるのが嫌なんだね。


「グリちゃん、もうやめなよ」

「コックもつれないぜー。ったくよー! ピョン吉、仕事終わったらたっぷり酒の味覚えさせてやるからなー!」


 そう言って、グリフェールさんは舌舐りをしてコンスタンさんの隣に戻っていった。――――と思ったら、「どりゃァァァァ!!」と唐突にジンくんに酒を飲ませようと突撃してきた。

 まあ、呆気なく足蹴にされて防がれたけれど。しかも、グリフェールさんは怒るどころか「失敗しちった」と何事もなく笑っている。

 その後、また些細なドタバタが起こりつつも、馬車内にルージーさんからの通信が入った。


《全隊に告げる。行軍は、目的地限界視認領域に到達。この地点を作戦本部とする。速やかに陣地テントを設置せよ――――と、いきたいところだが》


 ん······?


《現在、行軍は敵に包囲されている。数は推定で二十以上。まあ、なんていうか、頑張って掻い潜れ》


 そうして、通信は静かに終わった。

 ············。


「なんじゃとそりゃァァァァァァァァァァァァ――――!!!」


 目的地に着く前に敵に見つかるとか、なんてハプニング! しかも包囲されてる?! こっちはまともな防御陣形とってないのに!

 動きの程度によるけれど、備える時間が惜しい。となれば、備える必要の無い輩に任せる他無い!


「ジンくん――――」

「グリフェール――――」

「「やってしまいなさい!!」」


 気づけば、私とコンスタンさんは同時に、各々の抱える即戦力を投下していた。既に呼ばれた者達は馬車から降りていて、覗き見ると上と下も真っ白な雪原で、二つの黒い影が駆け巡っていた。

 敵だと思われる肉食系の獣人達が、次から次へと悲鳴にも聞こえる怒号をあげながら倒されていく。五分くらい経つと喧騒がピタリと止んだ。

 茶毛皮の防寒着を来てから外に出たら、足が小さく沈んだ。小高い雪原だった。空は無地のキャンバスのように真っ白で、米粒程度の雪が優しく降っていて、けれど地上には飛び散った血とその持ち主であろう肉食系獣人達が無様に伏していた。けれど、死者はいないみたい。

 この二人、組んだら無敵じゃない?

 遠くには、質素な家屋の影が点々としているビルアの街が見える。

 魔術部隊と共に、隠蔽魔術や防護魔術を施しながら巨大なテントを建設する。早速、会議が開始されるや否や、グリフェールさんが叫ぶ。


「どういうことだよ! なんでご丁寧に敵さんに歓迎されてんだ! あ? 副長官様よ!」


 スゴい乱心ぶり。今にも手が出そうな勢いだ。

 正直、私も同じ気持ちだ。


「斥候は何してやがんだ!」

「とっくに死んでるんじゃないの?」


 ジンくんが口を挟んだ。グリフェールさんの怒りの眼差しが彼に移る。


「おいおい、ピョン吉くん。それマジだってのかい?」

「縄張りを張っていたとして、襲って来るのが少し遅いし、見廻りにしても数が多い。目的地目前で、油断したところを叩く腹だったんだろうな」

「なんだよそれ! それじゃあ――――」


 グリフェールさんは、言葉を途中で止めた。ジンくんの推察に基づいて考えれば、凄惨な現状が頭に浮かんでくるからだ。

 斥候は既に殺されている。ジンくんの言った襲撃のタイミングといい、敵の数といい、こっちの情報を絞り取られた可能性が高い。私達がここに陣取っていることも。

 途轍もなく面倒で厄介な状況だ。空気の重さも合間って、緊張感が増す。


「いずれにしても、とっくに敵地に足を踏み入れている。その時点で戦争の鐘は鳴らされた。ここからは、当初より慎ましく、且つ苛烈に始末に当たらなければならなくなった訳だ」


 ルージーさんは冷静に告げた。


「これより、作戦の概要を説明する」


 区衛兵達の士気が静かに上がった。コンスタンさんやグリフェールさん、他の区衛兵達の目に火が灯ったようになって、圧力が凄まじい。


「まずは部隊を別ける。街に潜入する先行部隊と、ここで待機する後行部隊だ。前者は商人とそれを護衛する冒険者という体を装って正面から街に入門しろ。様子を探りながら、可能であれば報告をしてほしい。それによって後者は応援に臨む。後行部隊は俺が、先行部隊はコンスタン・ダルトに指揮を一任する。適切な人材を持っていけ。姫様、異論はありませんな?」

「は、はい!」

「では、十分後に作戦を開始する。コンスタン、それまでにメンバーを整えておけ。馬車三台分、多くて八名だぞ」

「わかりました。では、私、コンスタン・ダルトより先行部隊のメンバー選抜を行います」


 コンスタンさんが選んだのは、三騎獣パイユトラスからグリフェールさんとムクソンさん、あとは攻撃部隊から犬の獣人の男性を二人、魔術部隊から人類ヒューマンの男性一人とホビットとエルフの女性を一人ずつ、自己申告でエフィーちゃんの八名。


「区衛兵からは私を含めこの九名で当たります。索敵に割り振った編成なので、交戦時は姫様達にお願いします」


 私達は、最初から全員参加する流れみたい。

 力強く「はい!」と返事をして承知する。


「おいおい、コンスタン。あの程度の獣人共なら、三騎獣わたしらだけでも十分な気がするんだけど?」


 グリフェールさんが不満そうに言った。その横では、ムクソンさんがそわそわしている。


「グリフェール、さっき私があなたを先立たせたのは敵の実力を測るためではありません。見張り役は下っ端の定職。それの実力を測ったところで、組織全体を把握することは困難だよ。あくまで敵の目耳を絶つ。これが本懐だよ。それに······」

「はいはい、そーでござんしたね」

「よろしい」


 グリフェールさん、一瞬だけジンくんを一瞥したような。私の気のせい?

 十分の間に、コンスタンさんからより詳細な作戦の流れを簡潔に説明され、いよいよ開始直前。区衛兵達は、貧しいとも豊かとも言えない、派手さも田舎臭さもなく程々に街に慣れた程度の庶民的な様相に着替えた。

 またグリフェールさんがロングスカートをたくしあげて駄々をこねたそうにしていたけれど、コンスタンさんに注意されて渋々嘆息を吐くだけに止めた。

 区衛兵の鎧には、【瞬間換装エル・チェンジ】の効果が付与されていつでも装備できるらしい。

 一つの馬車につき商人役が三人、護衛役が二人という布陣でいく。最前列には私とジンくん、中盤にはアリスとカイン、そして最後尾にはスヴァルとシラが護衛につく。

 ちなみに、コンスタンさん、グリフェールさん、ムクソンさんが最前列にいる。


「あの、コンスタンさん」

「なんでしょうか?」

「あと一人を残しておいて、大丈夫だったんですか?」

「ああ、バシューはあれでいいんですよ。彼は目がいいので、合図を受け取る係として後行部隊に置いたんです」


 敢えて残したんだ。

 今のところ、影の薄さしかないから底が知れなかったのだけれど、そういう用途で扱われているってことはグリフェールさんとムクソンさんに比べてかなり優秀なのかもしれない。

 ここまで一度も口を開いていないけれど。


「なあ、今更かもしれないんだけどさ、俺達は冒険者のままでいいのか? 誤魔化し無しで」

「問題無いでしょう。冒険者と区衛兵の仲がよろしくないのは、まあ有名な話です。ひどい時は、情報共有さえ儘ならないまでに」


 アリスが答えるとジンくんは、成る程ね、と大きく欠伸をかきながら納得した。

 粗方の準備が整ったところで、早速作戦開始。ビルアの街へと続く街道に馬車を乗せて行く。

 レンガ造りの戸の無い入り口が見えてきて、緊張感が高まってくる。入り口の横には、獰猛そうな黒毛の人狼属ワーウルフが二体、槍を構えて立っている。装備が刺々しく、どう見ても平和的な輩に見えない。


「スンスンスン、止まれ」


 右の男が掌を向けて制止させた。もう片方の男は、強く警戒しているようで、鼻をスンスンと鳴らしている。


「お前達、商団キャラバンか?」


 男の問いに、御者のコンスタンさんが対応する。


「はい。海外から渡ってきました」

「ここに来てから長いのか?」

「まあ、四日になりますね」

「四日か。どこから渡ってきた?」

「西のナウスタリアから」


 男達は訝しい様子で目を細めた。そして、首を左に向ける。


「どうだ、兄弟」

「スンスン――――あ~、こりゃ衣料品だな。中には、獣人が八、妖精が三、エルフが一、ホビットが一、そして人類ヒューマンが三だな」

「十五か。護衛は雇っていないのか?」


 男達が小さく唸った。


「中に冒険者が六人」


 コンスタンさんの答えを聞いて、男達は睨んできた。

 やっぱり、商団キャラバンとはいえ冒険者を連れていると警戒されちゃうよね。二人だけなら、騒がずに押さえ込めるかも。

 私はそっと、得物レイピアの柄に手を伸ばす。


「通っていいぞ」

「ありがとうございます」


 なんと、許可された。

 注意深く対応してきた割には、呆気なく入れてしまった。なんだか拍子抜けだな。

 これはこれで、嫌な予感がしてならない。

 ビルアの街はとても普通な様子だ。雪掻きされた漆黒の石畳の隙間を雪が埋もれていて、その上を住民が右往左往している。住民達は皆活気づいていて、パークに占領されているにしては平和だ。

 なのに、なんだろう。この違和感。散らかされた人形を見ているような、不気味な不自然さ。

 ――――なんだか、怖い。


「誰か来たぞ」


 グリフェールさんが小さく指差した方に目を向けると、三角帽を被った細身のゴブリンがこっちに向かって走ってきた。何やら、焦っている様子。


「こ、これはこれは、遠路はるばるこのビルアの街へ、ようこそお出でくださいました」


 手厚く歓迎されている?

 これが悪党達に占領されている街の態度と空気なの?


 その後、私達は案内役のゴブリンに用意していた設定に則って振る舞い、怪しまれることなく宿屋へ案内された。一部屋六人を三つ。

 人気が無くなったところで、部屋に何か魔術的細工が仕込まれていないかくまなく、注意深く探る。

 何の仕掛けが無いと知れて、私達は通信を介して各々の見解を回し合うことにした。


「コンスタンさん、なんだか変じゃないですか?」

「占領されているにしては、まるで平穏。とっくに場所を移した訳ではない筈。道中に襲ってきた賊軍が彼等が未だに停留しているいい証拠なんですけど······」

「ああ、いけすかない匂いはしてる。釣りにしても、門番のあの武装に比べて、街はひどく臭い。明らかにあの門番人狼は敵だな」


 グリフェールさんの見解に私は頷いた。

 稀に、逃亡する際の時間稼ぎとして敢えて在留して偽の手掛かりを残して去る場合があるらしいけれど、二人の分析からそうではないと全員の見立ては合致した。

 パークは間違いなくいる。街の活気は恐らく、何かしらの脅迫を受けて演出させられているんだ。

 問題は、住民に紛れていこちらの動きを伺っているであろうパークの構成員の目。


《住民に対応させているところを見るに、相当警戒されていますね》

《このような場合、賊敵が扮して接してくるパターンが多いのですが》

「やっぱり、冒険者と明言したのはまずかったんじゃないか? コンスタン」

「いいえ。パークにとって一番嫌悪するべきことは、国家に自分達の存在が露呈すること。自分達の危険度を自覚しているからこそ、警戒心は余計に高まる」

商団キャラバンだけで来てしまえば、それこそ怪しまれてしまいます。真を交えた偽り程、見抜きづらいということですね》


 アリスの言ったことを要約すると、冒険者わたしたちは一緒にいるだけでカモフラージュとなるわけだ。しかも、護衛依頼は平均的に星三つレベルに相当する難易度。それだけの費用を賄える程度に商団キャラバンの規模を合わせれば、最早真偽の程は定かじゃなくなる。余計な真似をしなければ。


《問題は、アタシ達のことを先方が知っているかどうか》


 スヴァルの発した懸念は、確かにと思った。


「恐らく、知られているかもしれません」

区衛兵そちらの判断としては、実力を優先して頼ったのでしょう。ならば、無理もありません》


 アリスが淡々と推察した。それを認めるかのように、コンスタンさんは口をつぐんでいる。

 経験豊富な冒険者程、名が挙がるのは当然。頼られるのは嬉しいことだけれど、私達の実績の所為で重荷になるのはいい気分にじゃない。

 アリスの言う通り、仕方の無いことだとしてもだ。


「あの、変なことを聞くかもしれないのだけれど。街の違和感に気づいた人、誰か気づきましたか?」


 私の問いに対して、みんな揃って難しい顔を浮かべた。

 やっぱり、気づいているみたいだ。私も、今一度振り返ってようやく確信した。

 このビルアの街には、

 獣人、エルフ、ドワーフ、ゴブリン、他でもよく見かけられる多種多様な人外がいるというのに、なぜだか人類ヒューマンだけが全く確認できない。

 ビルアの街に限らず、グラズヘイムに点在する町村には必ず人類ヒューマンが住んでいる筈なのに。

 パークは、肉食系の獣人のみで構成されている。奴等に占領されているこの街に、人類ヒューマンが一人も見えない。確か、ここら辺の領主は人類ヒューマンが担っていた筈。

 不気味さがより加速していくのを感じる。

 冒険者の悪い予感はよく当たるって、不穏なジンクスがあるのだけれど、それだけはマジで勘弁してほしい。


《あの~、重っ苦しい空気の中、あんまし言いたくないんだけど、言っていい?》

「スヴァル? どうしたの?」

《え~っと、いつの間にか野兎くんが部屋からいなくなってるんだけど》


 ························――――――――


「それかァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ――――!!!」






《――――······あと、ゾンビちゃんもどっか行きました》





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