第八話 大公令嬢は狙われる

「ルリア様.....つ、付き合ってください!」


「...えっと、ごめんね。私......付き合えないなぁ......」


私はルリア・レイチェルト。ごくごく普通にいる女子...ではないんだけど......

うん、一応言うと、私は、最高位の貴族の令嬢なんだけど......


「ごめんね。あの...私じゃなきゃいけない?」


「え?そりゃあ、いけないに決まってるだろ...」


「......そう、だよねぇ......」


そう、私は、とってもコミュニケーション能力が弱いんです。女子しか生まれてこないレイチェルト大公爵家のでも長女で、4年後にはレイチェルトの次世代当主になる存在なんですが...。


「くそぉ......お父さんにルリア様を連れて帰るって言ってしまった」


この告白した男の子はもう......なんか、絶望しすぎて地面に倒れ込んでいる。

この男の子は.....男爵家の子かな?ちょっと私より年下っぽいな。


「ねえ、君?」


「え、えっと....何でしょ....う?ルリア様」


この男の子が顔を上げる。ほんの少しだが、泣きそうになってる。

それで、私は。


「様付けはなしね。付き合うのはちょっとだけ早いかな?だから...」


1泊おいて、私は言う。


「私と、になりませんか?」


おしとやかに笑顔をつくって、私はこの子に手を出す。

この子も私の手を優しく握って、万年の笑みを作った。


「じゃあ、お話しましょう」


「しましょう!」


私はこの子と帰る時間まで、話すことにした。


*


夕方担ってきた頃、時刻はおよそ6時のちょっと前だろうか。そろそろ、門限に近づいてきた。


「では、またいつか会えたら話し合いましょうね」


「そうですね。今日は色々ありがとうございました」


「いや、こっちも楽しかったよ。ありがとう」


私は、この子をこの子の家まで送っていった。あの子のお父様は少し怖そうな印象があった。私が振ってしまったからだろう。でも、レアスキルの心情操作しんじょうそうさで、の心情を出にくくして、を出やすくしておいた。友達になったと言ってくれれば喜びの感情が出てくるから怒りの感情はだいたい消えると思う。これで、あんまり怒られなくなったんじゃないかな?

私は、これにて、帰路を進む。


「......もう、夜になってきちゃっていますね」


夜までは行かなくても、薄明という時間帯になっている。

薄明というのは、日光がもう完全に見えなくなってるけど、まだ明るい時間のことだよ。


「あ、......大丈夫ですか?」


「.....うっ」


私は、幅の広い路地裏の奥に全身に怪我をしている男の人を見つけた。

私は回復魔法を扱えるため、助けに行こうとする。


「よう、お嬢ちゃん」


「...んっ...土属性ぃ......」


足に何かを縛り付けられた。硬いから、石とかの物質だろう。

てか、さっき...声がしたような...


「......だっ、誰?」


「あ?言うわけ無いだろうが...俺たちはな?金がねえんだ」


「......ですが、この国は労働者に必ず、生活できる程の給料は出しています。だから、普通に暮らしていればお金は......」


「俺たちは欲が激しいんだよ」


「「ひひ...」」


この人たちは働いていない人だ。お金は貰えないに決まっている。

....あの人は...


「......あなた達は、もしかして強盗ですか?」


「そうだ。可愛い女の子が大好きな強盗だ」


「.....なら、火球ファイアボール


私は、いつも使っている魔法を打とうとする。だが...


「なんで...出ないの.....」


出ない...出ない出ない出ない...そんな、これじゃあ.....


「お前は可愛いな。ちょっと遊んでから基地へ戻るか...」


「嫌だ、嫌だぁ...ぃ.....」


男に口を塞がれる。だめ、もう...これじゃあ...

あの人を助けられな......


「多重詠唱開始.....[浮遊ふゆう][身体能力強化,Ⅰしんたいのうりょくきょうか][身体障壁,Ⅰしんたいしょうへき][魔法拡張マジックワイド][反射運動ワンタイム・スピーデ]」


「...なんだ?」


「先輩、う...上にいます」


私も上を振り向く。そこに居たのは、黒髪の少年だった。


「......お前ら、そいつを離してやりな、離さなければそこに......火炎ブレイズをぶっ放すぞ」


不思議な男の子は、そう言い放つ。


良ければ、スターや♡をよろしくお願いいたします。モチベーションになります。

不定期で次回も配信していきます。予想は、10月の13~20です。

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