第5話 発表会
「ルナはもう舞台に出してもらえるのか。この暑い中、先生たちも大変だなあ」
「モントレイユ財団、全国に支部があって、夏休みやないと一堂に会することがでけへんからやって」
「ふーん、ずいぶんと大がかりだな」
曲目は『くるみ割り人形』
一平はスマホをステージ中央に向け撮影を始めた。
「一平さん、そっちやないの、こっち、こっち」
一平の身体は舞台中央から右隅に向けさせられた。
そこにはグレーの着ぐるみを着た3人がコチョコチョとした動きをしていた。
ネズミだ。
ルナは憧れのチュチュを着せてもらえず、ネズミの役だった。
オトは大抜擢され、あきこ先輩たちに囲まれて舞台中央でチュチュの衣装も可愛らしく、顔にはメイクも施され華やかに回っていた。
「それでルナはダイエットしてたのか。貧血で倒れるまで」
「でも、体形に問題があったわけやなく、生まれ持った身のこなし、柔らかさ、ガクさんの子やから音感もええみたい」
ルナのレッスンについて行ったオトは、壁面の鏡の前のバーに足を乗せて遊んでいた。それを見た 白鷺雨月コーチは精鋭グループに入るように勧めた。ガクたち両親を訪ね、説得しに来た。
コーチは子どもたちがレッスン場へ入って来たときから見抜いてしまうという。
時間とお金をかければ、それなりに仕上がるが、最初からいい素材を選んだらそれ以上のものが出来上がる、それが彼女の持論だった。
オトは夏休み返上でレッスンに通った。
最前列のビップ席に座るレイが後ろを振り返りナオたちに手を振った。
ナオも振り返した。
ルナは途中で辞めると言わずに、発表会が終わるまではと頑張った。
一平の隣の席でヨッシーが鼻を啜った。
「ルナちゃん、傷ついたかな? おれ、花なんか持って来たりして。あんなに一生懸命踊ってさ、ルナちゃんのネズミ可愛いのに」
「ヨッシーの言う通りだ。どんな役だったかというより、どう踊ったかが大事だ」
一平はスマホに充電器を繋げ、またカメラを回しだした。
🏠KKモントレイユさん、お名前をお借りしました。ありがとうございます。
『エトワール1993』この作品でバレエについて教えていただきました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330651518193136
🏠 白鷺雨月さん、お名前をお借りしただけで、決してこのようなお考えの方ではありません。ありがとうございました。
作品『目覚めたら貞操逆転男女比1対10000の世界だった。』
https://kakuyomu.jp/works/16817330650190411537
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