第2話 再会

 体育の時間、体育館で跳び箱をしていて順番を待つルナがグニャリと倒れた。

 いち早く気付いたヨッシーが、ルナを抱えて保健室に駆け込んだ。

 保健室の鍵がかかっていて、具合の悪くなった生徒に付き添って病院へ行き、保健室の先生は不在という張り紙があった。


「保健室の先生いないのか」


 担任の教師がのんびりと言った。


「僕、ルナちゃんの主治医の八木先生の医院へ行って来ます」


 ヨッシーはルナを背おわせてもらうと走りだした。


「家の人に迎えに来てもらったほうが……」

 

 担任教師が言うより早く、ヨッシーは校門を抜け出していた。




 

 やがて夏休みになったルナとヨッシーはプールに行く約束をしていた。


「ルナちゃん、身体はいいのか?」

「うん、軽い貧血だって」

「ご飯をしっかりと食べないからだよ」

「それはママにも言われた」


 象さん公園を抜けたときだった。


「ルナちゃん」


 呼び止められた。

 ルナはしばらくその男の子を見つめていた。


「アズくん?」

「ぼく、おばあちゃんちに来ているんだ。ルナちゃん、どこ行くの?」

「プールに行くの」

「ぼくも行ってもいい?」


 ルナはヨッシーを振り返った。


「あっ、お兄さんも一緒なんだ」

「おれ、兄貴じゃなくて同級生」

「わあ、大きいんだねえ」


 アズは目を見開いて見上げた。


「アズくんも一緒に行っていいでしょ?」


 ヨッシーは無言でコクリと頷いた。


「ぼく、水着取って来るよ」

「そんなに慌てなくていいよ」


 アズくんのおばあちゃんの家はプールの近くにあった。


「ルナちゃん、持って行くものは水着とバスタオルだよね。おばあちゃん、袋ちょうだい」

「まあ、まあ、アズくんたら、気を付けて行くのよ」


 玄関先に立っているルナを見て、


「あら、すっかりお嬢さんになって、こんにちは」

「こんにちは」

「こんにちは」


 と、挨拶するヨッシーを見て、


「おにいさんも」

「ぼく、ルナちゃんの同級生のヨッシーです。お兄さんではありません」


 と、先に言った。





「ルナちゃん、浮き輪に捕まっていたら泳げるようにならないって」

「えっ、ルナちゃん、泳げないの? ぼくが教えてあげるよ」


 アズは平泳ぎを見せた。するとヨッシーは派手な水飛沫をあげてクロールで泳いでいった。アズも遅れまいとクロールで泳いでいった。


 ねえ、ルナに教えてくれるんじゃなかったの。





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