11🏠瑠璃子の休日

オカン🐷

第1話 顔なしの帰郷

「哲平さん、本当に四国巡っているのかな?」

「そうなんじゃないか」


 顔なしとモンキーはお茶を啜っていた。

 そこへガクが勢い込んで、


「ちょっと聞いてください」


 ガクはキーボードを奏で始めた。


「おお、いいじゃないか」

「ガクさん、目が見えるようになって、音にキレがなくなったように思えてたけど、以前の感覚が戻ったみたいだ」

「えっ、僕そんな感じだったんですか。ああ、哲さんに聞いてもらいたいなあ」


 3人はしんみりと項垂れた。


    



「ただいま~」

「おかえり~」

「これ、お土産」

「香川と言えばうどんだね。ナオさんに茹でてもらおう」


 顔なしは冴えない表情でダイニングに座り込んだ。


「親父さんに会えたか?」

「いや、留守だった。それに新しいお坊さんがいて、無心に境内の掃除していて、声をかけるのも憚られて帰って来た」

「えっ、声もかけなかったのか?」


 呆れた顔のモンキーに、


「おれ、シャワー浴びて、少し横になるわ」

 

 通路の先の自室に向かった。



 顔なしは香川の小さな寺に生まれ、後を継ぐのが嫌で東京の大学に進学した。

 それ以来、郷里には帰っていなかった。

 仕事が休みになったのを機に帰省してみたのだが。

 




 ルナがクラスメートのあきこちゃんが通ってるバレエ教室について行って、すっかりバレエに魅了されてしまった。小学校に入学したばかりのオトも、同じスクールに通いたいと言い出したのだ。

 

 ルナの救出劇でヒーローを演じたヨッシーは、看護師をしている母親が夜勤のときは遼平たちの部屋に泊まり、学校へも一緒に行っていた。ヨッシーから父親の話は聞いたことがなかったが、級友たちの噂では事故で亡くなったということだった。

 やがて、オトが小学校にあがり、遼平と一之介が中学生になると、その習慣もなくなり登下校だけ一緒に行っていた。


「オトちゃんのランドセル、ルナちゃんとお揃い?」

「うん。同じのがいいって、牛窓のおばあちゃに買ってもらったんだよね」

「うん」


 オトは小さく頷いた。


「髪型も同じで、これで背丈が一緒だったら、まるで双子みたいだ」

「オトちゃ、ルナと同じがいいんだって」

「ふ~ん、あっ、ちょっと急ごう」


 ランドセルの中のペンケースをカチャカチャ鳴らしながら3人は走りだした。






 






🏠あきこさん、お名前をお借りしました。

ありがとうございました。

作品 『戦う皇女ララの物語』

https://kakuyomu.jp/works/16817330657692116483








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