第13話 ドラゴンとの決闘
山の頂でカインたちは、赤いドラゴンを見つけたのであった。
おそらく、伝説のモンスターで間違いないだろう。
「気を付けてください。ドラゴンは強いです」
メルが言うには、伝説のモンスターの中でドラゴンが一番強いと言うのだ。
カインは恐る恐る、ドラゴンに声をかける。
人間に対して被害を出すことをやめて、仲間になってくれないかと伝えたのである。
声をかけるカインに対して、ドラゴンは鋭い目を向ける。
カインが伝説のモンスターを仲間にするスキルを持っていることを、リヴァルと同様にドラゴンも一目で見抜いたのであった。
「ガハハハ! おれにそんなことをいう人間は初めて見たわ。おもしろい」
珍しい人間を見てドラゴンは笑った。
しかし、プライドの高いドラゴンは、自分より強い相手でないと仲間にならないと言った。
三対一でいいから、決闘で勝ってみろと言うのだ。
ドラゴンが強いことは理解しつつも、伝説のモンスターを仲間にするチャンスができたカインたちは、決闘を受け入れることにする。
カイン、メル、チロル対ドラゴンの決闘が決定したのである。
「決闘を受けるようだな! では、いくぞ」
いきなりドラゴンは、カインに攻撃を仕掛ける。
センス〇のスキルがあるカインは余裕ではないものの、何とかドラゴンの攻撃を全て防ぐ。
隙をついて、横からメルが反撃を仕掛けるが、ドラゴンの皮膚にダメージは入らず、しっぽで反撃を食らってしまう。
チロルもツメによる高速な物理攻撃を仕掛けるが、全てドラゴンに防がれる。
物理攻撃ではダメージを与えられないと判断したチロルは、雷の攻撃に切り替えるが、ドラゴンの炎で相殺され、これもダメージを当たえられない。
反撃を受けたメルは気絶してしまい、二対一で引き続き戦闘を行う。
バラバラに攻撃をしても、ダメージを与えられないカインとチロルは、同時に攻撃を行うが、またもや、全て防がれる。
仮に攻撃が当たっても皮膚が硬くて防御力が高いドラゴンにダメージを全く与えられないのだ。
「ガハハハ! そんなものか」
いまだにダメージを与えられないカインたちを、バカにするかのようにドラゴンは笑う。
「……どうやら限界のようだな。では、そろそろ本気でいくぞ」
本気を出したドラゴンはさらに高速の物理攻撃と炎を繰り出し、カインとチロルは大きなダメージを受けるのであった。
既に体力も少なく、一切ダメージを与えられないカインとチロルは、一緒に力を合わせて全力の攻撃をするしかないと考えた。
チロルの雷攻撃をカインの武器に撃ってもらい、その状態で全力の攻撃をする技に全てのかけたのである。
それを見たドラゴンも受ける覚悟でとどめの攻撃を仕掛ける。
「……何!? ぐふっ」
地面が震える程の衝撃とともに、かすかながらドラゴンが苦しむ声が聞こえたのだ。
全力のチロルの雷、全力のカインの攻撃で、なんと、胸に傷を負わせることに成功するのであった。
しかし、初めてダメージは与えることはできたが、全ての力を出し切ってもドラゴンを倒すことはできなかったのである。
倒れたまま、既に動けなくなったカインとチロルは諦めかけたが、急にドラゴンが大声で笑った。
「ガハハハ! このおれに傷をつけるとは、おまえたちは本当におもしろい」
1000年以上、生きてきて初めてダメージを受けたというのだ。
「いいだろう。おもしろそうだから仲間になってやる」
なんと、倒すことはできなかったが、カインたちの実力を見たドラゴンは仲間になってもいいと言うのだ。
カインとチロルは倒れながらも、笑顔で顔を見合わせた。
カインが、ふと、横を見ると何か光っているものを見つける。
地面に落ちていたものを拾うと、どうやら鉱石のようであった。
「それはアレキサンドライトという鉱石だ」
ドラゴンが言うには、一番貴重な鉱石で、ドラゴンの皮膚にくっついていたというのだ。
おそらく、胸に傷をつけた際に取れたのであろう。
何はともあれ、最後の伝説のモンスターであるドラゴンを仲間にし、貴重なアレキサンドライトを入手することができたカインたちであった。
名前は『ドラル』と名付けた。
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