第11話 水の伝説モンスター出現

 迷宮をクリアしたカインは、ギルドへクエスト完了の報告にきていた。


「はい。クエストは完了で受理いたします。あと、これでCランクに昇格となります。おめでとうございます」

 これまでの実績により、ギルドランクがCに上がるようだ。


「あ、それと水の伝説モンスターの件ですが……」

 以前、お願いしていた水の伝説モンスターについて、情報があるというのだ。

 目的が討伐ではなく、仲間にすることであるカインは、それでも問題ないかを確認し、許可をもらう。

 出現場所を聞いたカインは、おっちゃんのところで出発の準備を行うことにした。


「おー、元気そうだな! 今度はどうした?」

 水の伝説モンスターを探しに行くこと、迷宮で入手したダイヤモンドがあることを説明する。


「よくこんな希少なものを入手できたな。武器を作るんだろ? 腕が鳴るぜ!」

 ダイヤモンドは、上から二番目の希少ランクで、良い武器が作れるというのだ。

 時間がかかるというので、おっちゃんに預けてカインたちは出発することにした。


 水モンスターのため、海に出る必要があり、船で目撃情報へ向かう。

 伝説モンスターの出現が影響しているのか、船は大荒れの海を進んでいく。

 途中から船の残骸が多く見えてきたことで、すぐ近くまで来ていることをカインたちは感じ取った。

 目撃情報の近くに到着すると、大きな水龍のモンスターが見えた。


「あ、あれは水の伝説のモンスターです」

 メルが言うには水の伝説モンスターで間違いないようだ。


「おい、何故、モンスターと人間が一緒にいる」

 こちらに気づいた水龍は、チロルを見て声をかけてきたのだ。


「カインは、命の恩人だからついてきたんだ」

 チロルは、水龍の質問に答える。

 カインを見た水龍が、小さい声で呟いた。


「命の恩人……それだけが理由ではなさそうだ」

 水龍は、カインが伝説のモンスターを仲間にできるスキルを持っていることを見抜き、そのこと説明する。

 実は、チロルの親も見抜いていたが、まだ未熟なチロルは気づいていなかったのだ。

 初めて知ったチロルは、驚いた表情を見せる。


 カインのスキルを見抜いたからであろうか。

 なんと、水龍は、もし決闘に勝てば仲間になってもよいと、自ら申し出たのだ。

 ただし、何故か相手はカインではなく、チロルを指名するのであった。

 カインが伝説モンスターを仲間にしたがっていることを知っているチロルは、決闘を了承する。


 チロルはまだ子供とはいえ、伝説のモンスター同士の戦いにカインは固唾を飲む。

 しかし、決着は開始早々に一瞬で着いたのであった。

 雷属性であるチロルの攻撃に水属性である水龍は、一撃で倒されたのである。


 実は、大昔から水龍とチロルの親は顔見知りで、何度も決闘し、水龍は全敗だった。

 属性の相性が悪いことは承知の上で、まだ子供のチロルには勝てると思ったので決闘を提案したというのだ。


 少しマヌケな水龍に不安を覚えながらも、カインたちは、目的であった水の伝説モンスターを無事に仲間にするのであった。

 名前は『リヴァイ』と名付けた。

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