第9話 無人島からの帰還

 カインたちは、無事にギルドへ到着していた。


「助けてくれてありがとう。また会おうな」

 Bランクパーティーにお礼を言われ、解散したのであった。

 さっそく、クエストの完了報告に向かう。


「お帰りなさい! ……え? その子はモンスターですか?」

 モンスターの赤ちゃんを連れているカインに、メイが驚いた反応を見せる。


 カインは、無人島で得たモンスターの情報や、伝説モンスターを仲間にしたことを説明した。

 すると、メイは、一度ギルド長に確認すると言い、奥の部屋へ行ってしまった。

 それもそのはずだ。

 伝説のモンスターを仲間にしたことは、過去に全く前例がないのである。


 ……15分ほど待ったであろうか。

 メイが戻ってくると、クエストは完了として受理するというのだ。


「まったく……、伝説のモンスターを仲間にするなんて前代未聞ですよ」

 伝説のモンスターと仲良くなることで、人類にとって被害が少なくなると考えたギルド長は、今後もモンスターを連れて街を歩くことを許可したのだ。

 無事に、クエスト報告を終えたカインは、おっちゃんのところへ向かう。


「おー、今回も無事に帰ってきたようだな」

「ん? そいつはモンスターか?」

 カインは、チロルを仲間にしたこと、無人島で入手した素材を売却しにきたことを説明する。


「もう何でもありだな……、少し待ってろ」

 カインは、モンスターを仲間にしたことを呆れられながら、売却する素材をおっちゃんに渡す。

 換金を終えたカインは、一度、拠点に戻ることにした。

 無人島で一時的に作った拠点を、今後は正式な拠点として活動することを決めたのだ。


 無人島に向けて、カインたちは、船に乗って出発する。

 すると、船の中でカインは、ふと口にする。


「船の移動って不便だよなぁ……」

「船以外に便利に移動できる手段はないものか……」

 拠点である無人島と、ギルドがある街は、船で行き来する必要がある。

 一日に数回しか船が出ないことを、不便に思ったのである。


「水を移動できる伝説のモンスターがいますよ。そのモンスターを仲間にすれば乗せてもらえたり……、なんて冗談ですよ」

 メルが、伝説の水モンスターのことを話す。

 メルは、冗談のつもりだったが、伝説のモンスターを仲間にすることが夢であるカインは、そのモンスターを仲間にすることを決意するのであった。


「えー! 本気ですか? ……まぁ、私はカインさんについていきますよ」

 次の目的が決まったカインだが、まずは拠点の拡張を行うことにする。


 拠点に着いたカインは、新しく仲間になったチロルの寝床作りを始めた。

 洞窟を掘り進めていくと、たまたま、採掘ポイントを発見したのであった。

 すると、ついでに採掘したドロップの中に『種』があることに気づく。

 今回、手に入れたものは『小麦の種』のようだ。


 おそらく、レアドロップだが、簡単に入手できたのは幸運スキルの恩恵なのであろう。

 採掘により種を入手できることを知ったカインは、拠点に畑を作ることにした。

 畑が育てば食料の確保は、より楽になるだろう。


 数日、経ったであろうか。

 チロルの寝床、畑は完成し、生活する上で不自由しないレベルの拠点作りができた。

 拠点の整備を順調に進めてきたカインは、そろそろ次のクエストを受けることにするのであった。

 街へ出発する船の時間を待って、カインたちはギルドへ向かった。

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