第6話 決闘

 カインは、モンスター探索クエストの参加権利をかけて決闘することになっていた。

 相手は、Cランクパーティーのリーダーで、マッドというようだ。


 決闘場は特殊なものになっており、バーチャル空間で戦うことができるという。

 バーチャル空間では、実際にダメージを負うことはないのだ。

 つまり、殺す気で戦って良いということだ。


 専用の機械の前で待機していると、闘技場にワープする二人。

 ワープした先は闘技場の中心であった。

 目の前にはマッドが立っている。


「それでは、始めます。準備はよろしいでしょうか?」

 ギルドが認めている決闘では、受付担当のメイが審判を行うようだ。

 剣術スキルを持つマッドが剣を構えるのに対して、カインはつるはしを構える。


「はぁ? まさかつるはしで戦うつもりなのか?」

 つるはしを武器にするカインを、マッドはバカにして笑う。


「それでは始めてください!」

 開始早々、さっそく仕掛けてくるマッドの攻撃を、カインはつるはしで受ける。

 攻撃スキルを持っていないカインだが、センス○の効果で意外にもマッドとやり合えている。

 ただし、ランク、レベルともに劣るカインは、マッドの攻撃を防ぐだけで精一杯の状況である。


「フン! やはりDランクだとこんなものか!」

 マッドの言う通り実力差は明白で、このままだと勝てないと思ったカインは、持っていた魔石をその場で吸収する。

 実は、前回の採掘で入手した魔石を、何個もポケットに入れていたのだ。

 一つ一つはたいした魔石ではないが、五つほどは吸収したであろうか。

 魔石を吸収したことで、大きくレベルアップをしたカインは、反撃に出る。

 どうやら、マッドのレベルを超えたことで、反撃する余裕ができたようだ。

 すっかり油断していたマッドは、不意を突かれ、一撃で倒されてしまう。


「そこまで! カインさんの勝利となります」

 カインは、何とかマッドに勝利することができたのだ。


「ま、待ってくれ! 今のはちょっと油断しただけだ! 無人島にはおれが行くべきだ」

 敗北したマッドだが、探索クエストは譲らないと主張する。

 大声で叫んでいたマッドだが、ふと何かを見て、静かになった。

 マッドの目線の先に目を向けると、そこには白髪のおじさんが立っていた。


「ギ、ギルド長……」

 どうやら、白髪のおじさんはギルド長だったようだ。


「いいじゃないか! Dランクだが、お前さんに勝ったのは事実だ」

「カインと言ったかな? クエスト受注を許可しよう(それにしても急に強くなったように見えたが……)」


 素材吸収スキルを知らないギルド長は、急にレベルアップしたカインを不思議に思っていた。

 何はともあれ、ギルド長の鶴の一声で、カインは、無事にモンスター探索クエストを受注することができたのだ。

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