第4話 仲間との出会い

 素材の換金で、少しばかりのお金を入手したカインは、考えていた。

 これでは、せいぜい一日分の生活費だろう。

 今後の生活のためには、もっとお金が必要だ。


 採掘をすることで、高価な素材を入手できることを知ったカインは、再度、洞窟へ向かうことにした。

 昨日も来た洞窟の入口へ到着したところで、大きな悲鳴が聞こえてきた。


「きゃああああああ!」

 悲鳴の先に目を向けると、二体のモンスターに襲われている女の子がいた。

 また、ゴブリムのようだ。


 ゴブリムとの戦いを経験し、自信をつけているカインは、すぐさま助けに入る。

 ゴブリムAの攻撃を防いで、両手が塞がっている状態の女の子に、ゴブリムBが襲いかかろうとしていた。


 カインは、ゴブリムBと女の子の間に入り、ゴブリムBの攻撃を防いだ。

 ゴブリムBにつるはしで反撃すると、一撃で倒すことに成功する。


 すぐさま、背中を向けているゴブリムAに対しても、攻撃を仕掛ける。

 ゴブリムAも一撃で倒すことができた。

 カインの助太刀により、すぐに倒すことができたのだ。


 モンスターの血飛沫を浴びた女の子は、怯えた表情で、その場に座り込んだ。

 恐怖のあまり腰が抜けたようだ。


「大丈夫か?」

「た、助けていただき、ありがとうございます」

 カインが手を差し伸べると、女の子は一呼吸を置いてから、手を掴んで立ち上がった。

 女の子から話を聞くと、洞窟へ素材を集めにきたようだ。


「もし、ご迷惑じゃなければ、ご一緒させていただけないでしょうか?」

 同じ目的であることを話すと、女の子は一緒に行きたいと言うのだ。


 モンスターとの戦闘や、素材の運搬を考えると二人の方が効率が良いのであろう。

 カインは、女の子と一緒に行くことにした。

 女の子の名前はメルと言うようだ。


 カインたちは、洞窟の奥へと進んでいた。

 一度もモンスターと出会うことなく、採掘ポイントへ到着する。

 他にも冒険者がいたので、おそらく先にモンスターを倒してくれたのであろう。


 さっそく採掘を開始すると、ふとメルのことが気になった。

 観察してみると、採掘の時間が非常に長いのだ。

 一つの採掘に五分はかかっているようだった。

 メルの目の前でカインが採掘をしてみせると、ものの数秒で素材を入手してみせた。


「えっ? 速すぎませんか?明らかに普通ではないですよ」

 あまりの採掘の速さに、メルは驚いた表情を見せる。


「もしかして何かのスキルでしょうか?」

 カインは、採掘スキルを持っていることをメルに説明する。


「スキルであれば、もしかしたらパーティー共有が可能なスキルかもしれません」

 ステータスを確認すると、たしかに『パーティー共有可』と書かれている。


「実は私も、『幸運』というパーティー共有できるスキルを持っているんです」

 『幸運』スキルは、ドロップアイテムでレアなものを入手しやすい効果があるというのだ。


「ん? これってつまり、おれとメルがパーティーを組めば最強では?」

「……たしかにそうですよ! 速く採掘できて、レアな素材をたくさん入手できるようになるはずです!」


 カインたちは、顔を見合わせながら笑顔を見せる。

 お互いのスキルを共有すれば、素材収集の効率が格段に良くなることに気づいたのだ。

 スキルの相性の良さから、カインとメルはパーティーを組むことにしたのであった。

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