第3話 スキルの検証
スキルを入手したカインは、さっそくスキルの効果を試してみることにした。
「まずは、『採掘』のスキルを試してみよう」
ステータスで確認してみると、『つるはしを自在に出現させ、採掘ができるようになる』と書かれていた。
「……つるはしだけか?」
木の伐採で試そうと思っていたが、オノは出すことができないようだ。
しょうがないので、つるはしで試してみることにした。
手のひらに意識を集中させると、なんと、つるはしが出現した。
「ほ、本当に……でた!」
重さや、触った感じでは、どうやら鉄のつるはしに近いようだ。
ダメもとで、木に向かってつるはしをおもいっきり振ってみた。
すると、大きな爆発音とともに木が倒れたのであった。
爆発したかのような轟音であったが、不思議なことにオノで伐採したかのような仕上がりなのである。
伐採までの時間効率、素材の精度ともに、とても良いようだ。
どうやら、これが採掘スキルの効果のようだ。
その瞬間、カインは反射的に後ろを振り返った。
後ろから小さな音が聞こえたためである。
なんと、そこには、ゴブリムが立っていた。
伐採した時の音を聞いて、ゆっくり近寄ってきたのだろう。
ゴブリムは、最弱のモンスターである。
最弱とはいえ、まだモンスターとの戦闘経験がないカインは驚いた反応を見せた。
その瞬間、ゴブリムがこん棒で襲い掛かってきた。
「わぁぁぁ!」
つい、驚いて目を瞑ってしまったカインだが、つるはしでゴブリムの攻撃を防いだのだ。
無意識に手が動いて、攻撃を防いでくれたようだった。
おそらく、これが『センス〇』の効果なのだろう。
『センス〇』とは、『格闘、武器の扱い、おしゃれなど全てのセンスがよくなる』とステータスに書かれており、武器の使用を手助けしてくれたようだ。
自信をつけたカインは、その後のゴブリムの攻撃を全て防ぎ、反撃をすると、一撃で倒すことができてしまった。
どうやら、つるはしは攻撃の武器としても使え、『センス〇』のスキルを組み合せることで、経験が浅いカインでも戦うことができるようだ。
カインは、何とか初めてのモンスター討伐に成功するのであった。
木を伐採できることを確認したカインは、次は洞窟へ向かうことにした。
石の採掘により、鉱石の素材入手ができるかを確認するためである。
洞窟に到着したカインは、採掘ポイントでつるはしを振ってみた。
弾けるような爆発音とともに石は砕け散った。
相変わらず、ちょっとした力で、ものすごい威力である。
簡単に採掘することができ、素材も入手することができた。
本来は、シャベルだろうが、採掘ポイント以外の洞窟でも、つるはしでプリンを掘っているかのように簡単に掘り進めることができた。
だいぶ時間が経っただろうか。
あたりが暗くなってきている。
『採掘』、『センス〇』のスキル効果を確認したカインは、街へ戻ることにした。
『素材吸収』も試してみたかったが、お金がないため、今回は素材品を全て売却することにした。
街へ戻ったカインは、素材を売却するために、武器屋に入る。
「いらっしゃい!」
いかついおっちゃんが挨拶をしてきた。
「見慣れない顔だな?」
カインは、今日から冒険者を始めたこと、素材を売りにきたことを説明する。
「新人か! 素材の売却がしたいんだな。鑑定をしてくるから少し待っててくれ」
全ての素材を渡すと、おっちゃんは店の裏に入っていった。
店の中の商品を見ていると、すぐにおっちゃんが戻ってきた。
「はいよ。お待たせ」
無事に素材を売却することができ、この世界で初めて自分で稼ぐことができたのであった。
今回は、レアな素材はなかったが、運次第でもっと高価な素材が入手できることもあるというのだ。
また、通常の洞窟より、まれに発生する迷宮のほうがさらにレアなものを入手しやすいことも教えてくれた。
「いろいろ教えてあげたんだ! 今後も、長い付き合いをよろしく頼むぜ!」
見た目はいかついが、この店のおっちゃんは、どうやらいいやつのようだ。
今後も、この店を利用しようと思うカインであった。
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