第2話 スキルの入手
異世界に転生して、はや16年が経った。
この世界では、16歳になると成人と扱われ、スキルがランダムで1つ付与されるようだ。
今日で16歳の誕生日となったカインは、これから街へ出掛けるのであった。
前世で85歳まで生きた経験を活かし、順調に成長たカインは、同世代の中では、抜きんでた実力を身に着けていた。
かねてから16歳になると冒険者として生きていきたいと言い続けてきたカインは、今日で家を出ていくことになる。
「カイン。今日で出ていくのね。いつでも帰ってきていいからね。元気でね」
母さんと別れの挨拶を行い、カインは家を出発した。
スキルは、街の教会で付与されるようだ。
街へ到着したカインは、さっそく教会へ向かう。
教会では、今日で16歳となった人々が既に列を作って並んでいた。
列に並んで、順番を待つことにした。
「次の方どうぞ」
1時間ほど経ったであろうか。
やっとカインの番となり、スキル付与の説明を受ける。
どうやら水晶に手を乗せるとスキルが1つだけランダムで付与されるようだ。
ここで、ふと記憶が蘇る。
実は、転生の女神から異世界に関する説明を受けていたのだ。
~~
「あっ! 最後に大事なことをお伝えし忘れていましたわ!」
「転生ボーナスをプレゼントいたします」
どうやら転生者には、転生ボーナスというものがあるようだ。
「……えっと、どういったものでしょうか?」
「異世界では、成人するとランダムで1つのスキルが付与されます。しかし、転生者の方は好きなスキルを入手することができます」
なんと、本来、ランダムで付与されるスキルが、好きなものを選ぶことができるというのだ。
これは、なかなかおいしいボーナスである。
~~
「そういえば女神様がそんなことを言っていたな」
カインは、転生ボーナスがあったことを思い出した。
やり方を確認し忘れていたため、担当者に聞いてみることにした。
「好きなスキルを選べる? いえ、完全ランダムとなります」
担当者からは、そんなことはできないという回答だった。
そんなはずはないと反論するが、できないと一点張りであった。
前世では、ごく平凡なリーマン生活を送っていたカインは、自給自足生活に憧れていた。
RPG好きだったこともあり、モンスターを仲間にし、簡単にレベルが上がり、何でもこなすことができる冒険者になりたいという想いがあった。
そんな妄想をしながら、カインは泣く泣く、水晶に手を置いた。
水晶が光りだし、光がカインの全身を包み込んだ。
3秒くらいだろうか。
光はゆっくりと消えていった。
どうやらスキルの付与が完了したようだ。
自身のステータスを確認したカインは驚いた表情を見せる。
1つのはずのスキルが、なんと4つも付与されていたのだ。
さらに、そのスキルは妄想をしていた通りのものであった。
どうやら、転生ボーナスのやり方は、欲しいスキルをイメージすることだったようだ。
諦めつつも、妄想をしながら水晶に手を置いたことで、結果的に好きなスキルを入手をすることができたのであった。
「どうかしましたか?」
驚いた表情を見せたカインに対して、担当者が声をかけた。
担当者は、付与されたスキルの内容を確認しないようだ。
「いえ、何でもありません。ありがとうございました。」
大騒ぎになりそうなので、黙っておくことにした。
カインが入手したスキルは
『採掘』
『センス〇』
『素材吸収』
『伝説モンスター〇』
の4つであった。
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