寝たきりのおじいちゃんが異世界転生したら?
ぴんくま
第1話 目が覚めるとそこは
股間の濡れた感触で目が覚める。
またやってしまったか。
ナースコールを押そうと手を伸ばすが、いつもあるはずの場所には何もない。
……あれ? おかしいな?
手を伸ばす先に目を向けるとパンのようなふっくらとしたものがあった。
……ん? 何だ、これは?
いや、よく見ると赤ちゃんの手だ。
自分の手が赤ちゃんのような手になっていることに気づく。
「ホンギャア~、ホンギャア~」
声を出そうにも、赤ちゃんの泣き声になってしまう。
夢だろうと思いつつも、ここでようやく自分が赤ちゃんの姿になっていることを理解する。
「カインちゃん、どうかしたの?」
声がした先に目を向けると、金髪に青い目をした美人な女性が部屋に入ってきた。
「あら~おしっこをしてしまったのね。おむつを替えるから待っていてね。カインちゃん」
頭を撫でられ、おむつを替え始める。
どうやら俺の名前はカインというようだ。
そして、この美人な女性がお母さんのようだ。
「はい! 終わったわ。おやすみ。カインちゃん」
ほっぺにキスをされ、部屋を出ていく女性。
最近は寝付けず、まとめに夢を見ることも久しぶりだ。
ましてや、子供の頃にはよくあったが、夢を認識することができている。
少しわくわくしながらも、睡魔に襲われ、目を瞑ると、すぐに眠ってしまった。
どれくらい寝ただろうか。
これだけ熟睡できたのは数十年振りだ。
伸びをしようと手を伸ばすと、また赤ちゃんの手が見えた。
……おかしい。まだ夢を見ているのか?
夢を疑い始めた時に、ふと記憶が蘇る。
~~~
「……え? どこだ、ここは?」
何もない真っ白な場所で目が覚める。
「おめでとうございまぁーす!」
白いドレスにティアラを付けた女性が叫ぶ。
「あなたは誰ですか?」
見知らぬ女性に声をかけると、転生の女神だという。
「あなたは昨日、亡くなりました。一億分の一の確率で転生の権利に当選しました。」
どうやら俺は、昨日死んでしまったようだ。
老衰だという。
85歳だった。
転生の権利とは、望めば異世界で転生することができるというのだ。
「質問があります。異世界には、モンスターがいたり、スキルのようなものがありますか?」
もちろんあるといい、RPGゲームのようなものだという。
ごく平凡な人生を送っていた俺の唯一の趣味はRPGゲームをすることであった。
RPGゲームのような生活に憧れていた俺は、即答した。
「転生をお願いします!」
~~~
そうだった!
俺は死んで、異世界で赤ちゃんに転生したのであった。
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