第14話 エレベーター

 ショッピングモールの最下層で、エレベーターを待っていました。待っているのは私一人です。


 エレベーターがりて来て、十人くらいが最下層でエレベーターから降りました。


 しかし、一人だけ降りることなく、エレベーターの端に立ったままです。髪の長い女性だったと思います。

 あれ、降りないのかな?

 女性はうつむいた姿勢で、動く様子はありません。

 ちょっと近寄りたくない感じがしましたが、こんなに電気が明るい所で訳がない。ないない、と自分に言い聞かせます。

 きっと間違えて乗ってしまったか、乗れる時に乗ってしまおうとしたかの、どっちかだろうと私は思い込み、意を決してエレベーターに向かいます。

 未だに動かない女性を見ないように、私はエレベーターに乗り込みました。


 私はエレベーターのボタンの前に立ちます。

 無意識に、女性とは対角線上の場所に立ちました。私の位置からは、どんな女性なのか見えません。

 私はエレベーターのボタンを押しました。

 しかし、女性が動いたりボタンを押す様子がありません。

 私は「何階ですか?」と聞きながら振り返ると、

 

 私は、目をそらした内に降りたんだろう、と思うことにしました。

 その後はごく普通にエレベーターは動き、買い物はできました。

 ただ怖かったので、その日はエレベーターではなく、階段やエスカレーターを使いました。


 終わり。


追記:ふと「エレベーター 髪の長い女性」でググったら、怖そうなリンクばかりがヒットしました。その界隈ではあるある話なんでしょうか。怖くてリンクが開けないので、私の体験との齟齬があるのか確認できません(笑)

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