第5話転校生姉妹にクレープ奢ってみた

「本当にごめんなさい!」

「い、いえこちらこそ?」


俺が真昼ちゃんを誘拐したのだと誤解していたらしい真白さんが、一緒に真昼ちゃんを探していた警察官の人に俺の事を誘拐犯と伝えたらしく俺がその警察官の人に捕まえられたらしいのだが……


もしかして真白さん俺がクラスメイトだって言う事に気づいてない?

いやだって普通クラスメイトを誘拐犯とは勘違いしないよね?

とは言ってもまぁ、実際真白さんは俺と一度も話した事どころかしっかりと顔を合わせたこともすら一度もないから、しょうがないって言ったらしょうがないのか?


そんなこんな1人心の中悶々として居ると、真昼ちゃんが俺のズボンをくいくいと引っ張って来た。


「なつきぃ〜」

「ん?真昼ちゃんどうかしたの?」

「あれ」


そう真昼ちゃんが指差した先にはたい焼きやがあった。


「あ〜そう言えばまだ買ってあげてなかったね」

「ちょっと真昼!?」

「なにぃ?」

「それじゃあ俺コンビニでお金下ろしてくるので」

「あ、ちょっと待ってください!」


そう俺を呼び止める真白さんの声を無視して俺は近くのコンビニへと走って向かい、ATMから5千円取り出し両替の意味も込めて幾つかのお菓子を買ってから2人のいる場所へと走って戻った。


「それじゃあ真昼ちゃんどれが欲しい?」

「チョコバナナ!」

「真白さんは?」

「え、えっと私も良いんですか?」

「あ、うん大丈夫です。自分お金は持ってるんで……」

「それじゃあ私も妹と同じ物で」


それを聞いた俺はクレープ屋さんの店員さんにチョコバナナクレープを2つを頼んで、それを2人に笑顔で手渡した。


「あ、あのお金を……それに妹から聞いたんですけど、クレープ以外にも色々奢って貰った様で」

「いや、本当に大丈夫です!自分お金はありますし、それに真昼ちゃんと遊べて自分も楽しかったので。そのお礼と思ってください」


俺がそう言うと真白さんは渋々ながらも了承してくれた。


その後クレープを食べ終えた天童寺姉妹に何度もお礼を言われながら別れ家へと帰宅した。


「いや〜にしてもまさかあの真白さんと最初に話した言葉が謝罪の言葉だったとはな〜。それに真昼ちゃん多分まだ小学生だと思うけど、あの歳であの格ゲーの腕!絶対将来もっと上手くなって……もしかしたらプロになるかもな!」


そんな訳で俺は偶には外に出るのも良いなと思い直した。


「………………さて、それじゃあそろそろこっちの返事も考えるか」


そうして俺は夏休みに入ったか入る直前かに送られて来た、とあるvtuberからの某FPSゲームのコーチング依頼のメールを開いた。


「いや本当これどうしよう……」

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