第40話 最強登場.....
タケシの腹に蹴りをいれるも、タケシはビクともしない。しかし今回の一撃でタケシの鎧には、少し凹みができている。強化魔法と憤怒によって今の俺の攻撃は6000。素早さは2500。これなら単騎でもタケシの体力を削り切ることが可能だ。
周りのメンバーが下がり、俺だけが前に出ている状況。タケシは何を思ったか両手の盾をその場に落下させた。軽い地響きがなるほどの重量のある盾に驚きつつ、タケシは男らしい声で俺に語りかけてくる。
「男らしくワシと拳で決着をつけよう」
「なるほどね。乗ってやるよ」
「かかってこいっ!
内心は何をやってるんだこの馬鹿は?だ。おそらく素早さが原因でこちらが優勢だからこそ、挑発で真っ向勝負を誘いつつ、正面から力でねじ伏せるつもりなのだらう。挑発に乗ったフリをした俺は刀は懐に戻し、剣は横に投げ捨てる。拳でやる場合、長期戦は免れないだろうが、それはタイマンの場合。俺は別に正義のヒーローでも正直な男でもない。
「エレナ!さっきのオリジナル魔法を撃つ準備を!他は俺のサポート!」
「「「「「了解!」」」」」
「貴様ぁ!卑怯だぞ!」
「はははっ。誰がタイマンするって言った?」
まぁ刀が使い物にならないのは事実であり、召喚魔法が論外なのはもちろん。
攻撃のステータス値に頼った素人の殴りや蹴りの攻撃で怯ませつつ、ソールと協力しながら時折魔法で攻撃し、アウレアが追撃。怯んだところをメトゥスとココによる更なる追撃。その繰り返し。盾がなければもはやこいつはただの的でしかない。タケシの
「ようやく私の出番のようだな。行くぞッ!」〈
避けることなく直撃。いくらなんでもこれで.....やったか?
【タケシLv100 123/9000】
「おぉ〜すげ。まだ耐えるのか」
「俺はっ・・・勇者として貴様を殺すっ!」
片腕がもげ、血だらけになりながらも俺に向かってくる正義感は素晴らしい。
だが.....
「ただ金持ちの言いなりになり、非道なことも平気でする。弱者に手を差し伸べようとはしないでただ見捨てる。それのどこが勇者なんだ?笑わせる」
「俺は、少なくとも困っている...人にはっ…手を差し伸べているつもりだ」
「はぁ?この世界は貧富の差が激しい。スラム街に行けば死体が当たり前のように転がっている。普通の街に行ったところで、少し人通りが少ない所に行けば治安が悪い。罪のない一般人も平気で殺されているんだぞ?お前ら転生者は破格の力を与えられているくせに、目の前のことにしか向き合わない。他の転生者と協力すれば、もう少しマシな世界を作れるだろう。お前らがしていることはただの
「貴様に何がわかる!!モンスターが…溢れかえっていたこの世界を救ったのは…我々だ!どれだけ苦しい思いをして…どれだけ努力したかっ!」
「お前らだけの責任だとは思わないよ。お前らをこの世界に送った女神も悪い。だがそのあとの行動はお前ら自身の責任だ。確かに人間に害を与えるモンスターはある程度駆逐しなければいけない。しかし根絶やしにするのは違うだろう。それが終わったらやりたい放題.....知ってるか?この世界はこのまま行けば、あと一ヶ月もすれば滅ぶ。原因は世界規模の人口爆発。そしてお前らがモンスターを殺しすぎたことによる生態系の破壊。度重なる土地の開拓。戦争。それによる自然の破壊。全く.....地球でも似たようなことが起こっていただろうに、なぜ考えられなかった?」
「貴様…どこまで…知っているんだ…」
「それを知る必要はない。じゃあそろそろ終わらせてやるよ」
俺は静かに手をタケシのヘルムにつける。すでに憤怒の効果もルナの支援の力も枯れておりステータスは元通り。だがゼロ距離での魔法なら残りの体力を削り切ることも可能だろう。
「安らかに眠れ」
「ファイヤぼ────」
「────やめてくれないかな?」
背後から突然、圧倒的な存在感を感じる。振り返ると、そこには1人の男が立っていた。
(あっ、
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ナカイコウLv100 [光属性]
[人間種]
[剣聖Lv2][勇者Lv10][戦士Lv5]
体力 4750
魔力 9999
知力 1500
攻撃 9999
防御 9999
魔法攻撃 9999
魔法防御 9999
素早さ 3253
スキル[神の加護Lv2][浄化Lv1]
[洗礼Lv1][聖剣Lv1]
[統率者Lv10][心眼Lv9]
[慈愛Lv5][謙譲Lv1]
[忍耐Lv2][勤勉Lv10]
[救恤Lv9][自制Lv7]
[自由Lv2][断罪Lv5]
[命中率上昇Lv6][予知Lv10]
[斬撃Lv10][二連斬撃Lv7]
[三連斬撃Lv9][百人斬りLv1]
[剣術網羅Lv4][時空断裂Lv5]
[火斬撃Lv6][不死鳥Lv1]
[逆境Lv9][思考加速Lv5]
[隠密Lv5][韋駄天Lv8]
[玲瓏Lv2][火渡りLv7]
[朧月Lv10][超速躍動Lv4]
[筋肉活性化Lv9][瞬間詠唱Lv6]
[詠唱破棄Lv1][魔術の深淵Lv2]
[風無効Lv1][土無効Lv1]
[闇無効Lv1][即死無効Lv1]
[冷気無効Lv1][石化無効Lv1]
[火大耐性Lv10][水大耐性Lv10]
[雷耐性Lv8][苦痛耐性Lv9]
[魔法耐性Lv8][物理耐性Lv9]
[毒耐性Lv10][麻痺耐性Lv6]
[火超強化Lv6][光強化Lv10]
[雷強化Lv6][風強化Lv7]
[土強化Lv1][水強化Lv2]
[身体能力強化Lv3][嗅覚強化Lv4]
[視覚強化Lv9][聴覚強化Lv1]
[自動回復Lv10][魔力自動回復Lv2]
魔法[
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非の打ち所がない爽やかで、男だろうと女だろうと恋に落ちてしまいそうなほどにまで整った顔立ち。髪型は少し長めのナチュナルヘア。服装は至ってシンプルなTシャツとズボン。とてもではないが戦闘する気を感じないが、近くに立たれるだけで、冷や汗が吹き出し、震えが止まらない。
【あまりにも強力な存在です。何も考えず全力の撤退を進言いたします】
とんでもない。まさしくチートの中のチート。もし今こいつと戦えば、数秒で俺たちが全滅するだろう。
「わかった。殺さない。解放するから、こいつを連れてすぐに消えろ」
「うん。人質を取られているんだ。君の言う通りに動くとしよう」
そう言うと、瀕死のタケシを抱え何処かへテレポートして行った。去り際の悲しそうな顔は瀕死のタケシを見てのことだろう。思わず息を忘れてしまうような威圧感を放つコウなる人物が去ってくれたことは、幸運としか言い表せないだろう。
「よろしかったのですか?アスタ様」
「あぁ。あれと戦えば間違いなく死んでた。今はまだ戦いの最中だが、驚異は去った。これより掃討戦に入る」
こうして心にしこりを残しつつも、長きにわたるハノーファ公国とフェルト帝国の戦争は終わりを告げた。
敗戦国であるハノーファ公国は最終的に、死者1万4千。行方不明3千人弱。そして王都の陥落により、ハノーファ公国は衰退した。
それから数日の間、俺たちはフェルト帝国に滞在していた。本当は早く帰りたかったのだが、うちの村と同盟を結ぶための準備などフェルト国内も大忙しだ。
「ところで、アフタ。村の名前はなんと言うのだ?
「なんだアフタって、噛んだのか?アスタだって何度言えばわかるんだよ。村の名前.....うーん.....あっ!レグルスで!」
冒険者としてのチーム名。今更必要が無くなり名乗ることもなかった。だがザックと過ごしたチームの大切な名前。廃るくらいならと、今この瞬間に思いついた村の名前だ。
「レグルスか。良い名前だ」
「だが、本当にいいのか?俺たち今後、敵しか作らないと思うんだけど…」
「我々は強からなっ!問題ない!」
「はいはい」
「そろそろ時間だぞアスイ。式典を行う」
「絶対わざとだよな?」
「ガッハハハハハハッ!」
今までに経験したことのない大人数の前で、軽いスピーチをやらされ、フェルトの文化に合わせた同盟の証となる両腕を交差させた特殊な握手をさせられた。緊張しまくっていたのは内緒だ。こうして、うちの村レグルスとフェルト帝国は正式に同盟を結んだ。
大量の悪魔を従え、勇者を打ち負かした強力な存在が現れたこと。後に国々は口を揃えて「新たな魔王が誕生した」と語ったそうな…
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