第36話 外交に向け
さて続いて作るのは〜?
ソールとルナです!
ソールはチャイナ服をモデルにしており、背中に大きく太陽の刺繍を施してある。ルナは漢服をモデルにして、白と黒を基調とした色合いで、両袖にそれぞれ月の刺繍を施した。
次はアウレアだ!
胸元が開けた青い鎧で、
他のメンバーは後々作る。実際はアイデアが思いつかないだけということは内緒で!
とりあえず出陣するメンバーの分は作れた。
そして蜂蜜をベースに石鹸も作った。本当はめんどくさい工程があるのだが、創造のスキルで作れば一瞬だ。この石鹸は有能でこれ一つで体も髪も洗える。
早速俺は屋敷の地下にある地下洞窟の雰囲気の風呂場に向かう.....もお湯が溜まっておらず、カルラに聞けば外の井戸の水を汲んで来るか水を出せる魔法で溜めるしかないそうだ。もちろん井戸の水で溜めようとすると何十往復も必要なのは明白。役に立つのはもちろん創造。
井戸の水を収納し、お湯として手のひらから石造りの浴槽へ一気に放出!気になる水温は42度。湯を張った浴槽からは湯気が立ち込める。
泳いでも問題ないほどの広さにテンションが上がり、このまま飛び込みたいが、流石にマナーは守らなければ。木製の風呂椅子に座り、木の湯桶でお湯を全身に浴びる。そして蜂蜜石鹸で楽な体から洗う。
今まで長くなりすぎたのをナイフで削ぐだけだったので、ゴワゴワで傷みまくっている髪に、大量の泡を馴染ませつつ格闘すること30分。ようやく前世ほどのサラサラな髪の毛に戻すことができた。改めて前世で使っていたどんな癖っ毛も天パもストレートでサラサラになる最強のリンスインシャンプーのありがたみを痛感する。
「さて!洗い終えたことだし.....」
念願のプライベートな泳げる風呂へとダイブする。前回とは違い邪魔されることなくバシャバシャと無邪気な音を立てながら風呂の端から端までを泳ぐ。最高の気分だ。定期的にストレスが溜まったら泳ぐとしよう。
「でもそうだなぁ〜。もっと広い場所に、より広い大大大浴場でも建設するのもありかもしれないな!」
風呂から上がり、部屋でゆったり髪が乾くのを待ちながら、ティーカップに注がれた紅茶モドキに、お湯を創造した応用で氷を作りアイスティーの完成だ。風呂上がりは冷たい飲み物をグイッと飲み干すと相場が決まっている。
しばらくすると扉がノックされ、俺が呼んでいたエレナとメロの2人が入室してきた。ナイスタイミング。
「エレナ、メロ。俺の髪型を決めてくれないか?」
「いいのか!?」
「いいの!?」
2人とも目を輝かせている。背筋がゾッとしたが、俺におしゃれ精神はない…
「あ、あぁ」
言えるのは、なんかすごかった。だけだ。ひたすら髪をいじられ続けた。おだんごにツインテール、ハーフアップ、三つ編みなどなど…
元はと言えば、髪の毛が長いからなのだが…
切るという選択肢は彼女らには無いらしい。最終的にポニーテールで落ち着いてしまった。前より女らしい髪型になったのは気に食わないが鏡を見るとなんか似合っている。ぐうの音も出なかった。
そんなわけで見た目も以前より良くはなった────はずだ。ココたちにも、石鹸を渡して…服を渡して身なりを整えさせた。
そして迎えた出発当日…
「いってくるな!」
『いってらっしゃいませ!』など民は総出で俺たちを見送ってくれた。本当にこの村の人たちは優しい人ばかりで気持ちいい。
格好が付かないが、中継地の街までは全員歩いて行き、街で残る大金をほぼ出して馬車と別途で
ソールとルナは護衛のため、馬車ではなく
馬車の中には俺、ココ、アウレアの3名。御者の初老の男性はアウレアが洗脳したため、アウレアの傀儡となっているが.....良しとしよう。
あとは、メトゥスたち
「あすた!この服ありがとうね!」
「あーしも改めてお礼を」
「いいんだ。逆にこんな衣装が欲しいとかあればどんどん言ってくれ!」
「やったー!!」
そんな話をしていると、馬車が突然止まった。
「アスタ様、奇襲です。我々が片付けるので、この中で待っていてください」
「死体回収したいから、終わったら
「頼んだぞ、ルナ」
「御意」
勇者クラスでも無い限り、あいつらで余裕だろう。しかし
気になって外をチラッと確認してみた。
その瞬間俺は叫んだ。
「全員ストーーーーップ!!!!」
「集まれ!」
即座に全員戦闘をやめて、全員が俺のところに駆けつけた。襲ってきた奴らは、劣勢だからか深追いしてくる様子はない。
「いかがしましたか?」
「ソール?もう何人か殺しちゃってたり・・・?」
「まだ2名ですが、全滅はたやすいかと」
「お願いします。やめてください!」
「はぁ……?」
なぜ止めさせたかって?理由は簡単。襲ってきた奴らが全員獣人だったからだ。つまりフェルトの国の者たちの可能性が非常に高いため。
「とりあえず…ルナあいつらに回復魔法を」
「よろしいのですか?」
「あぁ」
不満そうな顔をしているが、命令には従ってくれるようだ。
・・・てか、頬を膨らませるルナがなんか可愛く見えてしまう。
「貴様ら…!我が主人が貴様らに慈悲を与える。ここに並べ」
警戒しながらだが、獣人たちも近づいてきた。
俺のことを少しはいい奴だと思ったのか…それとも死にたくないからなのか…
「はぁ〜。本当にやります〜?」
「た、頼むよルナ」
「はい。〈
ルナの使用する俺が与えた、先端が三日月の魔法の杖から緑色の光の壁が前方へと押し出され、獣人たちを通過する。すると獣人たちの血は止まり傷が消えていた。ルナはいつの間に、新しい魔法を覚えていたようだ。
(えっと…イクス…チン?マジックって何?)
【
えっ…俺も欲しいんだけど。
(ルナを鑑定して)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ルナLv79[火属性][土属性]
[鬼人種]
[大魔道士Lv1]
体力1490
魔力4906
知力970
攻撃96
防御573
魔法攻撃3756
魔法防御2438
属性耐性1737
素早さ1511
スキル[創造物Lv1][双者Lv 4]
[大魔道士Lv1][極限魔法Lv1]
[魔法の真髄Lv1][斬撃Lv1]
[竜鱗Lv9][威圧Lv6]
[雷脆弱Lv8][水耐性Lv2]
[闇耐性Lv5][物理耐性Lv5]
[火無効Lv1][毒無効Lv1]
[視覚強化Lv2][聴覚強化Lv3]
[風強化Lv2][土強化Lv6]
魔法
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[
[
[
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
すっごぉ・・・
「ルナ?いや…ルナさん?強くなったねぇ〜」
「アスタ様をお守りするために、まだまだ強くならなります。それでこいつらはどうしますか?」
何この子・・・かっこいいわっ!!
「そうだな・・・お前ら。俺たちはお前らのボスと交渉をしにきたんだ。もちろん友好的な交渉だ」
「騙されるか!」
「そうだ!」
「ふざけるな!」
「待てお前らっ!こいつらの強さを見ただろう。それを束ねる彼がどれほどの力を持つか分からないっ…」
「何が言いたいんだ!」
「従わなければ・・・我々は殺されるかもしれない!」
どいつもこいつも物分かりが悪くて困るが、1人だけマシな犬の獣人がいる。犬種はブルドックだろうか。
「よく分かってるな。おまえ名前は?」
「ラルタと言います…」
「そうかラルタ。主人のところに連れて行ってくれるか?」
「構いません」
「ラルタ!我が王を裏切る気かっ!!」
「そうだぞ!」
「こいつらは俺らを騙す気だそ!」
「黙れっ!ならなぜ俺たちを回復させたんだ。本当に交渉だけかもしれない。王は仰っていた!命を守るためなら降伏も厭わるべからずと!」
大嘘つきだなこのワンちゃんは。隠しきれない怒りが表情となって現れている。
「あなた方に何かあれば、俺を殺してくれて構いません。なので部下の命は助けてやってほしい」
自らを生贄に仲間を守ろうとする姿勢は嫌いじゃない。それほどまでに仲間を想う気持ちには感服する。その姿勢を評して、こちらもそれ相応の態度で接しよう。
「「「・・・」」」
ラルタは一度仲間の元へ行き、4人で何かを話している。これが隙をついて俺たちを殺そうとする作戦でも特に問題はない。ルナの言う通り全滅は簡単。
「話はまとまったかな?ラルタ。案内してくれ」
「はい」
こうして、俺たちはラルタたちに連れられてフェルトに向かうのであった。念の為ルナとソールには、移動しながら獣人達を見張らせている。ココとアウレアにも外で警戒するように指令を出したため、馬車に残った俺は暇だったので、ラルタを馬車に乗せた。
「なんで俺達を襲ったんだ?」
「はい・・・現在ウルムと緊張状態にありまして、人間の一団を見かけたと知らせが入ったので、出向いてみたら報告に無かった
「それで危ない奴らだと思って攻撃を仕掛けたってことか」
「はい・・・」
俺が人選をミスったか.....?いやそんな事はない。俺の目指す国は人間至上主義でも獣人至上主義でもない。様々な種族が共存する国。人間だろうと獣人だろうと悪魔だろうとモンスターだろうと関係ない。今回の俺の人選は今後の目標を示すものと言っても過言ではない。
「とりあえずは許そう」
「ありがとうございます」
ラルタはその場で深々と頭を下げた。その後は特に話すこともなく外を眺めていると、煤まみれになりながら、炭とかした木材を片付ける集団が目に入る。
「ラルタ。あの瓦礫を撤去している連中はなんなんだ?」
「あれは・・・龍災かと思います」
「ふーん。龍災って?」
「龍が暴れまわることです。龍種に勝てるのは勇者様くらいで。軍隊が束になっても勝てないので、龍種の襲来はただ過ぎ去るのを待つだけの災害として認知されているんですよ」
前にギルドで
(
【
(物騒なこと言いますね・・・)
【私は問いに答え、アドバイスをしたまでです】
(あ、ありがとうございます)
【いえいえ】
そうこうしているうちに、俺たちはフェルトの国境へと差し掛かる。
入国まではもう少しだ。
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