第27話 アスタVSユウト①

2日間の多少無茶をしたトレーニングを積み、3日後、俺たちは約束通り、ココを助け出すためマクデブルク遺跡にやってきた。色褪せたレンガ状の柱や床の残骸が至る所に残る場所。あのバカ悪魔と出会った神殿を彷彿とさせる場所だ。


例の転生者はもちろん。白髪の弓兵の他に、もう1人暗殺者のよな人物が立つ。さらには黒ずくめの兵士が目算で20名ほど。


思った以上の戦力差だが、もはや恐怖はない。俺たちは互いに目で合図を送り合い、一歩一歩進んで行く。



「行くぞ!」



作戦通りに男の側近と思われる人物たちにはアウレア筆頭の創造組が対処する。暗殺者はアウレアが引き剥がし、ソールとルナは弓士を引き剥がした。



「雑魚は私たちに任せろ!」


「ザックの仇とってね!」



「あぁ」

 


残るエレナとメロは、ココの救出、そして雑魚の一掃を任せた。2人はなんの迷いも躊躇もなく黒衣の群れに突っ込んでいった。


全員が良い感じに敵を引き剥がしたおかげで、俺は遺跡の中心で転生者である男と向かい合わせになる。



「よぉ〜きてくれて嬉しいよタイガ」



「黙れ」



「どれだけ強くなったかな?見てやるよ」




(こいつを鑑定)


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イマガワユウトLv100 [土属性] 

[闇属性]

[狂人Lv10][勇者Lv5][剣士Lv1]


体力 4512

魔力8000

知力 500

攻撃 8588

防御 6900

魔法攻撃 4700

魔法防御 6000

素早さ 1900


スキル[鑑定Lv10][狂乱Lv1]

[神の加護Lv1][邪悪Lv5]

[探知Lv10][殺気感知Lv3]

[悪心Lv8][千里眼Lv5]

[麻痺牙Lv8][毒牙Lv2]

[強靭な精神Lv2][斬撃Lv10]

[三連斬撃Lv9][超斬撃Lv4]

[強打Lv10][超強打Lv3]

[魔法攻撃低下Lv10][光脆弱Lv4]

[麻痺耐性Lv3][毒耐性Lv5]

[火耐性Lv9][水耐性Lv1]

[風耐性Lv4][闇強化Lv3]

[火強化Lv9][土強化Lv2]

[威圧Lv10][強奪Lv2]

[百人斬りLv1][無慈悲Lv6]

[転身Lv1][神速Lv2]



魔法[真紅ノ白炎ヴァージン・ウリエルLv1][魔王ノ噴炎スルトLv3]

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タイガ Lv59[闇属性]

[悪魔種][魔道士Lv3]

体力 4252

魔力 6492

知力 2800

攻撃 708

防御 2869

魔法攻撃 2475

魔法防御 1691

素早さ 1200


スキル[守護神Lv1][創造Lv8]

[異空間Lv5][嫉妬Lv1][怠惰Lv1]

[傲慢Lv1][色欲Lv1][苦痛耐性Lv9]

[毒耐性Lv3][思考加速Lv8]

[強靭な精神Lv5][農家Lv3][快速Lv3][投擲Lv2][斬撃Lv2]

[父なる聖剣Lv1][水斬撃Lv1]


魔法[火球ファイヤーボールLv2][水球アクアボールLv1]

閃光フラッシュLv1][小回復ライトヒールLv3][麻痺霧スタンミストLv1]

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「いいねぇタイガぁ!人間辞めたか?まぁいい楽しめそうだ!」



「.....」



「冷てなぁ!行くぞタイガァァァァ!」



激しく風が揺れ動く。何かしらのスキルだろう。転生者改めユウトの剣に黒いオーラが纏い、俺へと目掛け斬りかかる。


出し惜しみはしない。[父なる聖剣グラム]を込めた刀を握り締め、ユートの剣に衝突させた。




・・・




「この雑魚を倒して、アスタ様の加勢に行くぞルナ」



「分かってるよ兄貴」



アスタ様がいくら強いとはいえ、あの男は5人がかりでも相手にならなかったほどの強敵。自分たち兄弟とアウレアは男に手を出すなと命令を受けてはいるが.....最悪の場合、命令に背いてでも助けなければ。



土の矢アースアロー!〉



ルナが放つ鋭利な土塊に合わせ、低い体制で巨漢の弓兵に向け走り出す。



「はぁぁっ!」



ドン!といい感じの音と共に拳は、しっかりこの巨漢の腹に入ったはずだ。しかし全く効いている様子はない。土の矢アースアローも弓による薙ぎ払いで簡単に弾かれていた。



「口ほどにもないやつらめ…私を舐めるな」



「グハッ!」



距離を取るため、ルナの方向へと下がろうとしたとこを巨漢が一瞬で距離を詰め、顔を殴り飛ばされた。油断してるわけでもない。この男は弓だけでなく体術も間違いなく自分以上に強い。



「兄貴っ!大丈夫か!?」



顔を殴られ、無防備に背中から地面に打ち付ける寸前に、ルナが自分の下へと滑り込みキャッチしてくれた。



「あぁ…すまない」



「あの弓士やばい.....」



「分かってる。ルナ行くぞ。支援を頼む」



「了解。〈身体能力向上フィジカル・アドバンテージ〉〈中回復ミドルヒール〉」



体が赤い光に包まれ身体が動きやすくなり、緑の光に包まれ体力が回復したのを感じる。



「突撃する。援護してくれ」



飛んでくる数本の矢を躱し、体制を低く構えて、脇腹に拳を叩きつける。一瞬怯んだが、すぐに反撃の一撃を顔目掛けて拳が飛んできた。



火吐息ファイヤーブレス!〉



拳がぶつかるギリギリのところで、ルナの炎による援護が入り、なんとか攻撃をくらわずに済んだ。隙をついて、背中に飛びつき肩を思いっきり噛みつく。



「・・・っ!小賢しい!!!」



髪を掴まれ、思いっきり投げ飛ばされ、背中を強打してしまったが作戦は成功だ。スキル[毒牙]により、これで継続的にダメージが入る。


しかし男は毒に怯む事なく、無防備に倒れ込む自分に対して、上から腹目掛け拳を叩きつけてきた。あまりの威力に口から血が飛び出す。


もはや男は弓を装備していない。代わりに何やら拳には鉄製のメリケンサックが装備されている。どうやらアレが本気らしい。


倒れた状態で、片足で地面を蹴り上げ、もう片方の足で男の顎に蹴りをいれつつ、一回転して立ち上がる。


ルナを信じ、距離を取り体制を立て直す事なく前進し、炎を纏った拳による渾身の一撃を放つ。合わせるようにルナは〈星降る夜にエレキ・スターナイト〉という魔法で雷による爆発を引き起こし追撃を加える。


煙が立ち込め視界が悪い。さすがの男もかなりのダメージで動けまい。だが煙から現れた男は体につく砂埃を振り払いまるでダメージを感じられない。防御力に優れた近接格闘術が得意の弓兵など頭が混乱しそうだ。






「もう一度攻める!ルナ回復を」



中回復ミドルヒール



「何度もすまない。助かる!行くぞ!」



「待って兄貴!いい作戦があるんだ。今こそ[双者]の出番だろ!」



スキル[双者]。僕たちが創られた際に持ち合わせていた切り札的なスキルだ。効果は単純で僕とルナが合体するというもの。合体した際に、2人ともステータスが二分の一になるが、その上で2人のステータスが合わった合計値となり、スキルや魔法も互いのスキルも使用可能だ。同じスキルや魔法がある場合は、合計したレベルとなる。ただし10以上は上がらない。


だが問題点としては、2人が完璧に息を合わせなければ、体が言うことを聞かない。いわば諸刃の剣だ。



「昨日試してもできなかっただろ!」



「そうだったな!だが今は1秒でも早く、あいつを倒してアスタ様の助太刀をすると言う明確な目的の一致があるだろ!!」



「確かに。そうだな.....やるか!」



「あぁ!」



2人で手を合わせ気合も兼ねて叫んだ。



「「双者発動!!」」



2人の体が白く光り、やがて一つの光となる。

お互い一本角だが、合体することにより二本角となり、髪色もオレンジ色に変わり、背も少し伸びた。


失敗した前とは違い、ぎごちないが体は動く。負けるわけにはいかない。



「「行くぞ!!」」



・・・


先ほどとは違い、この弓士と互角に渡り合えている。 しかし[双者]を使ってもなお倒すことができない。


 

〈〈疾風弧斬ウィンド・カッター!〉〉



「1人になったかと思えば、無駄に強くなって!本当に小賢しいやつだ!」



拳同士がぶつかった。

だが、力負けして押されている。


拳を強く握りしめ、必死に対抗した。

その瞬間拳が鉄のように硬くなるよな感じがした。


力も心なしか、強くなった気がして押し返し、そのまま相手の頬を殴りつけた。どうやら新たにスキルを獲得したようだ。

その名も[身体装甲]



「「はぁぁっ!!」」



流石に硬質化した状態の拳は効いているようだ。怯んだいる隙に、2発目、3発目と殴りつけた。



「「しね!!」」



「くっ…舐めるな!!」



「「お前こそっ!!!」」



弓士がよろけたところを馬乗りになり、必死に殴り続けた。それでも殴り返す力が残っているようだ。殴り殴られる時間が続く。



〈〈身体能力向上フィジカルアドバンテージ!〉〉


「終わりだっ!強打ナックル!」



魔法でバフをかけた上で、身体装甲を最大限に使い、渾身の一撃を弓士の顔に打ち込んだ。弓士はついに動かなくなった。


僕たちも魔力をかなり使い双者を解除した。


ルナは普通に動けているのだが、僕は全く動けなかった。自分では気がつかなかったが、体力も魔力も限界だった。


アスタ様に任された任務.....こんなすぐに限界を迎えてしまった自分が恥ずかしい。



「ルナ。アスタ様を頼んだぞ」



「もちろんだ」



ルナは自分に回復魔法をかけると、アスタ様がいる方へと走っていった。



できる弟だな・・

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