第23話 淫魔

昨日の戦闘を元に7人全員で話し合い、当然と言えば当然だが、仲間が足りないという結論に至った。僕のスキルについてはもう話たので、この宿屋で皆の前で創り出すことになった。


問題は見た目。



「可愛い女の子がいい!」



最初に手を挙げたのはココ。男子のような発言だな。ココに便乗したのはやはりザック。



「はいはい!おっぱいの大きい子!」



「ザックさいてー」



「うるさいぞココ!大きなおっぱいは男の浪漫だろ?なぁアスタ!ソール!ルナ!」



ここは無視するのがお約束だ。ルナは死んだ目でザックを見つめる僕に同調しているが、意外にもソールは少し考えた様子。少ししてゆっくりと口を開いた。



「自分は.....小さい方が好きかもしれません」



『おぉ〜』



ザックとソールを除いた全員が意外だなという声が漏れた。貧乳好きということだけでなく、答えたことに対してなら驚き。



「おい!なんなんだよ俺との差は!」



「私は、頼りになればどんな姿でも構わないぞ」



ナイスだエレナ!反応の差から怒っているザックを遮るように意見を述べる。



「そ、そうですね!でも折角ですから、髪色とか目立つ子がいいです!金色とか」



金髪で?赤の瞳で?可愛くて?見た目はなんとなくだが出来そうだ。問題は役割。

現状、ヘイトを稼ぎながら最前線で戦う前衛のザック、エレナ、ソール。後方から回復やサポートを行いチームを守護する後衛のメロ、ルナ。前衛が戦いやすいようにサポートを行いながら戦う中衛の僕とココ。前衛/中衛&後衛の対比になるので、バランスを取るなら前衛だな。



「ほいほい!じゃあ作るぞ」



(サポートよろしく守護神アテナ



【かしこまりました。素材はこちらで選んでもよろしいですか?】



(もちろんだ!)



【では、「あと胸大きい子がいい〜」



「ザック最低だ〜!」



犬蛸悪魔スキュラ下位悪魔レッサーデーモン数体、人間を2体、大鬼オーガを5体。竜熊ドラゴングリズリーを使用.....見た目は金髪。赤い瞳。美人。前衛職。胸が大きいで作成.....完了いたしました】



目の前の床が光り、床からニョキニョキと生えるように現れたのは、金色こんじきのカールがかった長髪。真紅に輝くルビーのような瞳。英国風な美人な顔つき。綺麗な線を描く鎖骨.....ちょっ。



「うぉぉぉ!すっげぇぇでっかいっ!!」



別に大きいのが好きって訳じゃないが.....生で見ると大きいのも悪くないな。形もスイカのような綺麗な丸状だ。Hくらいか?



【推定Fです。これだから童貞は.....】



(おい守護神アテナ。うるさいぞ)



ソールやルナと違い、体型まで指定して創造したためかこの子は服を着ていなかった。慌てて臨時で大きなタオルケットを創造し、身体に羽織らせた。



「あなたが、あーしのご主人様ですね!お名前は?」



「アスタだ…」



「アスタ様っ!なんと美しいお顔なんでしょう!」



「おや?こちらにも美人がいますね!3人ともお名前は?」



「エレナだ」

「ココ!」

「メロです」



「エレナにココにメロッ!よろしくお願いしますね!よろしければ今晩ベッドに・・・」



「冗談もほどほどにな」



見た目は非の打ち所がない。問題は性格だ。なんか馬鹿っぽいしちょっと変態みたい。



(え、えーとステータス確認)



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

淫夢魔リキュバスLv90 [悪魔種]

[雷属性][闇属性]

[剣聖Lv1][聖騎士Lv1][死霊術士Lv1]


体力 4600

魔力 1400

知力 300

攻撃 4700

防御 800

魔法攻撃 3000

魔法防御 940

素早さ 1200


スキル[創造物Lv1][媚薬体液Lv1]

[眷属作成Lv1][夢侵入Lv1]

[眠気誘発Lv1][精気吸収Lv1]

[雷耐性Lv1][麻痺耐性Lv1]

[即死耐性Lv1][物理耐性Lv1]

[闇無効Lv1][毒無効Lv1]

[腐食無効Lv1][石化無効Lv1]

[火脆弱Lv1][光超脆弱Lv1]

[探知Lv1][投擲Lv1][暗視Lv1]

[隠密Lv1][予知Lv1]

[自動回復Lv1][聖剣Lv1]

[勇気ある者たちの進軍Lv1]

[要塞化Lv1][剣士の心得Lv1]

[剣術網羅Lv1][時空断裂Lv1]

[斬撃Lv1][三連斬撃Lv1]


魔法[不死者の軍隊アンデット・アーミーLv1][死霊の踊りレイス・ダンスLv1]

下位死人作成クリエイト・レッサーアンデットLv1][精霊召喚・木サモン・ウッドエレメンタルLv1]

闇槍ダークランスLv1][爆発エクスプロードLv1][頭蓋骨噛みスカルファングLv1]

飛行フライLv1][電流シュトロームLv1][稲妻エクレールLv1]

幽体離脱アストラルボディLv1][魔法排除マジックリジェクションLv1]

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


つっっっっっっっっっよ。



(え?なんでこんな強いの生まれた?)



【強力なモンスターを詰め込んだ為と思われます。しかしこれほど強力な者が生まれるのは別の理由があるかとも思われます】



(別の理由?)



【はい。といってもお答えすることはできません。創造のスキル自体この世界で存在は確認できるのですが、かなり異質なスキルで私もイマイチ理解できていないのが現状です。ですがこの世界での存在も確認していますので、アスタ様オリジナルの力ではないようです】



ん〜。他に創造のスキル持ってる人と会えればいいんだけど.....転生者だったら友好的には行かないだろうな。



「アスタ様?大丈夫でしょうか?」


 

「大丈夫だ。ところで名前がなかったな」



一瞬迷ったが、彼女の美しい金色の髪に目が止まり名前を思いつく。



「うーん…お前はアストルム・アウレアと名乗れ」



「かしこまりました。あーしはこれよりアストルム・アウレアと名乗りますね」



「よろしくな!アウレア!俺はザックだ!」



「はいはい〜。よろしくね」



先ほどと態度ががらっと変わり、ザックにはとても冷たい対応をしていた。



「同じ創造主を持つものとして、よろしく頼むアウレア。僕はソールだ。こっちは弟のルナだ」



「よろしくね!お二人とも!」



男嫌いというわけでもない様子。ただザックが嫌いなだけろう。あっちの2人とは仲良くできそうだ。



「アウレアは、怪我から復帰したばかりで今日合流した仲間ということにしよう。明日からは、マンツーマンで動いてくれ。まずソールとルナ。ザックとメロ。エレナとアウレア。僕とココだ。それと監視されてるから、できるだけ強力な魔法やスキルは使用しないでくれ」



今日の戦いで気がついたが、めっちゃ監視されていた。あまりこちらの手の内を明かすのもよろしくないだろう。


いずれ敵となるかもしれないのだから。



「アスタ様?あーしに武器をいただけませんか?」



「構わないが、どう言う物が良いか?」



「そうですねぇ〜。大きな武器がいいです」



抽象的すぎはしませんかねアウレアさん。彼女に合う武器がまるで思いつかない。



【提案ですが、彼女の意識を覗いて製作してみては?】



(そんなことまで出来るの?)



【はい。彼女の手に触れていただければ、彼女の潜在意識を読み取り最適な武器をご用意して見せましょう】



守護神アテナが定期的に怖いほど成長した様子を見せる。頼りになるので問題は無いが、いずれ僕の無能さがバレないかが心配だ。だがまだ今は守護神アテナを頼ることにしよう。



(頼んだ)



【かしこまりました】



僕は徐にアウレアへと手を伸ばす。それに気がついたアウレアは、何も言っていないにも関わらず僕の腕を両手でがっしりと掴んだ。



【読み取りが完了。続けて作成を開始します..........完了】



僕とアウレアの手の上に現れたのは、湾曲した黒色の木製の持ち手に、透き通るほど綺麗な鉄で造られた肉を抉り斬るのにぴったりな鋸刃の剣。その全長は僕の背丈ほどある。


可愛らしいアウレアの見た目との激しいギャップを感じ、武器にドン引きした。



「こっ、これでいいか?」



「さすがアスタ様っ!完璧です!」



アウレアの喜びは凄まじく造った甲斐がある。守護神アテナがほとんど代行しているがな。



「アウレア!明日はお前の実力も見ながらだ。指示通りに頼むぞ」



「かしこまりましたっ!」



不安は残りつつも裏切ったりするような性格でもないようなのでよしとする。


翌日、戦線に向かうと昨日とは比べられない数のモンスターと騎士が朝早くから争っていた。



「なんともまぁ…」



「酷いありさまですね」



本当に酷いありさまだった。

騎士の死体がゴロゴロと転がっている。


その割にモンスターの死骸はかなり少ない。



「まぁいい。とりあえず王様にでも媚を売るか…」


「アウレア、エレナ。右側の支援に!ザック、メロは左側だ!残りで正面を叩く!少しでも何かあれば報告しろ!」



『了解!』



昨日と違うモンスターがちらほら混じっていた。鑑定の結果は、動屍ゾンビ肉塊死体ファットゾンビ獣屍ビーストアンデットなどだ。死人種と呼ばれる種族はどれも無駄に生命力が高くて困る。



しかもアテナ曰く無力化ではダメらしい。確実に殺さなないとアンデット同士がくっついて集合恐怖アッセンブリ・モルスと言うレベル70クラスのモンスターに変身するらしい。



「ココ!閃光フラッシュを同時に放つぞ!」



「おっけい!」



〈〈閃光フラッシュ!!〉〉



光属性の魔法の閃光フラッシュは、アンデットを一時的に弱体化させられるらしい。何となくスルーしてたけど属性については、大切なことなので、どっかのタイミングで勉強せねば。



「ソール!一気に数減らすぞ!ココ、ルナ!サポートを!」



「かしこまりました!〈身体能力向上フィジカルアドバンテージ〉」



「はぁぁぁっ!」



ルナの魔法も強力だが、ソールの格闘技術はとても感心する。敵の攻撃を最小限の動き躱し、拳の一撃をいれる。この辺りにいるモンスター程度であればこの一撃で大抵死ぬ。僕も負けてられない。



斬撃スラッシュそして〈火球ファイヤーボール!!〉」



【経験値が一定に達したためレベルが上がりました】



こうして、僕たちは抜群のチームワークを見せつけ、順調に活躍をしていった。レベルもメキメキと上がる。順調なまま4日が過ぎ、ついに明日でこの戦地ともおさらばだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る