第21話 双子の兄弟
翌日朝早くからギルド酒場の掲示板と睨めっこをしている。一ヶ月半で自分も含めた全員を強化しなければいけない。
「やっぱりどれも高難易度だ…」
「まだ人魚が張り出されているが…やるか?」
確かにエレナの言う通りだ。魔王になると腹を括った時点で、精神的にも強くなってもらわねば困る。
「良いかもな!精神的にも強くなれるだろうし!」
「ぐぬぬ。冗談で言ったつもりだったが、最もだな…」
「だろ?」
「よっし!
なにも知らないザックは意気揚々と声を上げ.誰よりもやる気だ。メロもキョトンとした顔で人魚の依頼内容を見ているだけだが、エレナとココは顔が死んでいた。
…
「…だぁぁぁぁぁぁ!!!色々とグロいし数多いしもう帰りたいてぇ!」
案の定、ザックは来て早々僕と同様に洗礼を受け、顔を青くしたまま必死に2本の剣を振るっている。
「我慢しろ!こいつら数が揃うと厄介だ手を休めるな!」
「オロロロロロロロロ…」
必死に数を片付ける僕らの横で跪き、水たまりと睨めっこをしながら口から朝食たちが元気よく零れ落ちる。
「メロが吐いたぞアスタ!」
「ずびばぜん…」
顔は良いくせにモテないのはこれが原因だろう。女性に対しての配慮が足りない。配慮する相手すらいなかった僕よりはマシだろうが.....
「ザック!メロも女だ配慮してやれよ!大声で報告するな!メロが回復するまで援護してやってくれ!」
「おう!任せとけ!」
昨日200匹近く討伐したのだが、まだ次から次に現れる。これも何かの異常なんだろうか?
結局また日が落ちる頃まで戦闘が続いた。
5人で挑んだ為より多くの人魚を討伐することができた。だが、あたりは人魚の大量の死体が転がり、血の海と化し見るに耐えなかった。
しかしその甲斐あって、またかなりの良い収穫だった。エレナさんは1人でかなりの数を倒したので12レベルも上がっていた。そしてザックとココは9レベル。メロは5レベル上がった。
僕自身も10レベル上がり50となった。
今回50で手に入れた色欲のスキルは正直前世で欲しいものだった。
自身の魅力が上がりモテるようになるというのは期待外れもいいところだ。
これでアルティメットスキルはふざけている。魔法も結構使いレベルが上がった。
おそらく4人も多少は上がっているだろう。
「しかしあれだね!アスタはリーダーに向いてるよ!」
「ほんとだね〜。ザックより全然頼りになるもんね!」
「どういう意味だよそれは!!」
「私は入ったばかりなので、ノーコメントだな。しかしアスタの指示は動きやすく素晴らしかったぞ」
「ありがとうございます!メロ!ココ!エレナさん!」
「アスタ?いい加減、敬語とさん付けをやめてくれないか?距離を置かれているようで心苦しい」
確かに言われてみればそうだ。他の3人と比べて、なんだか歳上感が滲み出ていたので、敬称をつけて呼んでいたが、命を共に預け合う仲間なのだ。それに彼女の名前を呼び捨てにするなんてなんだか.....その興奮する。
「あ、うん。分かったよ!エレナさ…エレナ!」
「助かる」
さて、他にやることは仲間を創ることか.....
やはり1人では不安なのでメロに手伝ってもらうとするか。
「メロこのあと手伝ってくれるか?」
「はい!」
「残りの3人は休んでいてくれ」
3人と別れたあと、2人で大森林に残り創造で仲間を作成する為その準備を行なっていた。
準備といっても周辺に敵がいないかのチェック程度なのだが。
何故森で行うかと言うと、単純にその工程を誰かに見られたくないから。創るのはもちろん人間なんかではなく別の種族。何かの手違いで凶悪そうな見た目のモンスターなんか作った暁には間違いなく犯罪者と同等の扱いを受ける羽目になる気がする。
用心に越したことはない。
「どんなの創るか?」
「男の子少ないし…男の子で良いんじゃない?」
男の子.....って性別指定したりすることは可能なのか?どこまでできるか謎だ。
【勝手ですが、アスタ様の疑問にお答えします。結論から述べると性別の指定は可能です。加えて性別以外にも体の細かいパーツまで事細かに創造で創り出すことも可能です】
なるほど。最近は脳内を直接読み始めるという狂気じみたサポート性能をしている
「性別は男ね。見た目はどうする?」
「中性的な子とかよくないですか?アスタと2人で、
「はいはい〜どうせ俺は女っぽいですよ〜。まぁ助かるよ。一人だと思いつくのに何時間もかかるところだった」
妄想が得意な僕だが、実際にその妄想のキャラが現実に呼び起こせるとなると、恐らくオタク特有の熟考が発動してしまい下手したら数日単位で迷ってしまいそうだ。
(
【はいお答えいたします。材料の選出は私が代行するので難しく考える必要性はありません。先日手に入れた
それで決まりだな!
【念の為、どのような見た目を作るか改めてお聞かせ願えますか?】
(中性的な男。
身長は…中性的だし低めで…
あとは…あとは…
強い!)
【了解。
【作成完了しました】
「僕を創造してくださりありがとうございます」
「同じく創造してくれてありがとうございます」
ん?
作ったのは一人のはずだが…
【
目の前には瓜二つの二人の中世的な顔の男がいた。片方は赤髪。もう片方は黄色髪だ。
(アテナ。鑑定よろしく)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[鬼種]
[武闘士Lv1]
体力 2096
魔力 641
知力 970
攻撃 3455
防御 1103
魔法攻撃 78
魔法防御 662
属性耐性 1737
素早さ 1511
スキル[創造物Lv1][苦痛耐性Lv1]
[厚い毛皮Lv1][竜鱗Lv1][毒牙Lv1]
[強打Lv2][命中Lv1][怪力Lv1]
[激昂Lv1][双者Lv1]
魔法無し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[鬼種]
[魔道士Lv1]
体力1490
魔力4906
知力970
攻撃96
防御573
魔法攻撃3756
魔法防御2438
属性耐性1737
素早さ1511
スキル[創造物Lv1][斬撃Lv1]
[竜鱗Lv1][威圧Lv1][火無効Lv1]
[毒耐性Lv1][聴覚強化Lv1][双者Lv 1]
魔法[
[
[|中回復(ミドルヒール)Lv1][
[
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
てっきり生み出されたばかりだから、レベル1で弱いと思っていたが、2人とも強力なステータスを兼ね備えていた。
レベルも僕より全然高い・・・
(まず…あの2人に角が生えてるけど、竜なの?)
【いえ鬼人です。掛け合わせたことにより、存在しない種族が誕生した為、自動的に種族が割振られたものだと思います】
(僕より強いよね?裏切らない?)
【おそらくそれはあり得ないかと。召喚魔法や作成魔法と同じく創造で作られた者は、作成者を裏切ることができないようになっています】
(あと、創造物って何?)
【スキル創造により作り出された生命が自動的に保有するエクストラスキルです。スキルの能力は創造を行った者のスキルや魔法をランダムに付与します】
(え、じゃあ僕が持ってないスキルや魔法はどこから?)
【素材として使われた者が所有いていたスキルや魔法を引き継ぐ場合があるようです】
つまり素材次第で初期から強力な仲間を生み出せるのか…
それにやっぱり召喚魔法とかもあるのか!
「創造主様。よろしければお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「僕のことだよね?アスタって呼んでくれ」
「かしこまりました。アスタ様」
「呼び捨てでも良いんだよ、えっと…」
固有名詞がないと、こういうときに困るものだ。僕はあまりネーミングセンスとかはないのだが…
双子だし2人とも関連する名前がいいな。
髪色でパッと思いついた太陽と月でどうだろう。
太陽と月では、格好がつかないのでソールとルナ!
「ところでお二人さん?どっちが兄で、どっちが弟なんだい?」
「どうなのでしょうか?自分たちは両方とも同時に生み出されたのですが…」
「僕は、レベル的にも彼の方が偉いかと…」
「じゃあ武闘士で赤髪の君は双子の兄!そしてソールと名乗れ! 魔道士で黄色髪の君は双子の弟!ルナだ!」
「「かしこまりましたアスタ様」」
「だから・・・」
「良いんじゃない?魔王っぽいよ!ソール!ルナ!私はメロ。よろしくね」
「「メロさんよろしくお願いします」」
「・・・まいっか」
(というか
【生物を素材にした際、私は脳までしっかりと使用しております。そうすることで素材の記憶から、生まれた瞬間に、この世界のある程度の知識や言語能力を得た状態で行動できるので】
流石すぎるな
こうして新たに、鬼人の兄弟が仲間に加わった。
帰り道4人で歩いている最中に気になることをアテナに質問した。
(なぁ。召喚魔法ってどうやって覚えられるんだ?)
【はい。職業[死霊術士]または[召喚士]を獲得することで、召喚魔法を習得できるかと】
死霊術士に召喚士ねぇ・・・
帰ったら自己強化のために取得でかるか調べてみる価値はありそうだ。
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