第19話 告白そして.....
「面白い人だったな」
「本当そうですね」
「さぁ、次はどこへ行こうか?」
ニコッと笑みを浮かべ黙こむ。立てていたプランは最初のカフェに行く。そして行きたい場所を聞き出してそこに行く。それ以外は考えてなかった。
ドウシヨウ…
「フフッ。その顔だと他に考えていなかったようだな」
「なら、2人でも行けそうなクエストに行かないか?」
内心はもっと、別のことをしたいと思った。
だがしっかりプランを立てていのが悪い。
「そ、そうしましょっか!」
いつものギルド酒場へやって来た。
やはり高難易度のものが多い。
しかしそれ以上に内容が入れ替わっていることに驚く。つまり高難易度のクエストをクリアする連中がいるということだ。
ギルドのクエストは場所に関わらず全て共通のためどこの連中などは特定できないが…
「この人魚ってなんですか」
人魚と言ったらえっちぃ格好をした可愛いお姉さんをだろう?あれを討伐なんて心が痛みそうだ…
「ん?にんぎょ.....あぁ
「何それ怖い」
「だろうな。女の私には分からない怖さだが…これにするか?」
「エレナさんは、鬼ですか?まぁ良いですけど」
2人で笑いながら生半可な気持ちで受けてしまった。あとで地獄を見ることになるとも知らずに…
人魚討伐の依頼を受け、ケルン大森林の中心あるハム湖に行った。水の透明度が低く濁った水は、ドブの匂いがして最悪だった。
「匂いがキツイな…」
「そうですね…」
かなり臭かったが、人狼であるエレナさんは鼻が利くためもっと臭く感じているのだろう。
(この匂いなんとかならないか?)
【
木の器を作成!その中にハイドランジアを液体状にして物で満たす。
【作成中……完了しました】
手に木の器が現れその中に紫の液体が入っていた。匂いを嗅ぐと、臭いと思えるほど甘い匂いがした。だがドブの匂いよりはマシ。手ですくいローブのフード部分に染み込ませた。
「エレナさん、これよかったら使いますか?ドブの匂いよりマシかと…」
「なんだこれは?」
エレナさんは木の器に顔を近づけ匂いを嗅いだ。そして手ですくい服に染み込ませていた。
「少しはマシになった。ありがとうなアスタ」
「いえいえ」
その時だった、何かの気配を察知した。
【3時の方角に、二匹の人魚と思われる生物を発見】
「エレナさん人魚がこっち側にいます」
「わかった」
そういうと、エレナさんは拳を握り締め、突撃してしまった。
「ちょっ!」
急いで刀を構え後を追うと、そこには二匹の人魚の死体があった。どちらも腹部に風穴が空いている。一撃だったのだろう。
「すごいですね!」
「こいつらは、少数では弱いからな」
前に
【さらに20匹ほどの人魚を確認。おそらく巣です】
「ついて来てください。巣を見つけました」
「盗賊系の職業もとっているのか?本当に多彩なことができるな.....わかった」
さっきは良いところを見せられなかったので、今度はエレナさんより早く人魚のところへ突撃した。しかし走る僕の足は一瞬にして止まる。
目に入ってきたのは地獄のような光景だった。口から管を通され、お腹を大きくして、逆さに吊られた全裸の男が10人ほどいた。
「いっ…痛い!痛い!痛い!」
1人の男の管が外れ叫んでいた。見るに耐えない光景だ。今まさにその男の腹部が裂け、数匹の人魚の赤ちゃんが飛び出し、生まれ持った長い爪で吊るされた男性にしがみつきながら元気な産声をあげている。お腹が空いているのだろう。エレナさんが言った通りに下半身へと向かい────
【熟練度が一定に達したため[強靭な神力]を獲得しました】
あまりの光景に全てを忘れ、呆然と立ち尽くしていた。気が狂ってしまいそうな光景だったが、アナウンスとともに少し落ち着いてきた。
でも見てて辛いのは変わらず.....
思わず嘔吐してしまった。
「あ、あれは私でも辛い…アスタ戦えるか?」
後から追ってきたエレナさんが、その光景を見て気を使ってくれた。
【熟練度が一定に達したため[強靭な精神力]のレベルが上がりました】
【熟練度が一定に達したため[強靭な精神力]のレベルが上がりました】
【熟練度が一定に達したため[強靭な精神力]のレベルが上がりました】
4回ほどアテナのアナウンスを聞いたところでやっと動けるようになった。
「すいません。もう大丈夫です」
「よし・・・いくぞ!」
「はい!」
人魚は数匹程度では正直ゴブリンほどの強さしかない。
しかし人魚が持つアルティメットスキルが厄介だ。その名も[群集]
このスキルは、アテナ曰く同じスキルを持つ者同士のステータスをどんどん加算するという者だ。
例えば体力が100の[群れる者]を持つ奴が100匹いれば体力はカンスト値の9999になるというものだ。とても強力なスキルだがその分範囲も狭い。
〈
〈
個々は相変わらず弱く、その割に経験値も美味しいが、数が以上に多かった。
「アスタ畳み掛けるぞ!」
「はい!
〈
夕方ごろまで戦闘が続いた。
その間に約200匹ほどを討伐した。
エレナさんがいなければ負けていたと思う。
それほどエレナさんは強かった。
体力も魔力もかなり減ってしまったが、そのおかげでまた色々と強くなった。
まずレベルが40まで上がった。
それに対してエレナさんは3レベルほどしか上がっていなかった。
これもまた転生者の特権なのだろうか?優遇できないと言っていたあの馬鹿悪魔の説明は本当にあてにならない。
一番大きかったことはレベル40になった時に獲得したスキル[傲慢]だ。
獲得する経験値の増加し、魔法やスキルを覚える確率が上がるというもの。嫉妬と合わせれることで破格の性能だ。
さらに50匹ほどではあるが素材として確保できた。
苦労に見合った成果を得られた感じだ。
「帰りましょっか」
「ふぅ・・・そうだな。さすがに疲れた」
ギルド酒場に戻る頃には、すっかり夜になっていた。
酒場では、ザック達3人もいた。そこに合流して夕食を取ることにした。
全員揃って良かった。隠すつもりだったが、やっぱり言う必要性がある。
今日エレナさんとデートして、もっと仲良くなりたいと思った。ザックとももっと仲良くなりたいし、メロやココとも遊びたい。
4人のことを考えれば考えるほど決意が揺らぐ。僕は魔王にならなくてはいけない。
「なぁみんな。聞いてほしい」
「ん?どうしたアスタ?そんなに改まって」
ザックが泡ひげをつけたアホな姿のまま、不思議そうな顔で僕を見つめる、
「この世界は後四ヶ月もすれば滅びるんだ」
言いたくはなかった。嫌われる覚悟はできている。結果的にこのパーティーを追放されたとしても…
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