第9話 hey!Atena!
楽しい飲み会の時間は
酒に酔い潰れザックとメロは机に突っ伏して寝てしまっている。ココに関しては下半身は椅子に座っているのだが、上半身が床に倒れており、ほぼ逆さ吊りの状態でクゥーカァーと可愛らしい寝息を立てながら寝ている。辛くないのだろうか。そもそも倒れて頭を打ちつけた段階で何故起きないのか。流石に寝ているとはいえ、女性の体に触るのがまだ抵抗あるので、そのまま放置している。
僕は毒耐性を切るのを忘れたまま酒を飲んでいたため、かなり飲んでいるのだが全く酔った感覚はない。
こういう時に携帯が欲しくなる。無いものは無いので、机に頬杖をつきながら鑑定に声をかける。とりあえず一通りスキルやステータスを調べよう。
(ステータス及びスキルについてと取得しているスキルの効果全て教えてくれ)
【かしこまりました】
(あ、待ってくれ。こっちの世界ではアスタと名乗ることにしたんだ。名前変えられないか?)
【かしこまりました。アスタに変更します】
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アスタ Lv30[闇属性]
[悪魔種]
[魔道士Lv2]
体力612
魔力874
知力1341
攻撃571
防御606
魔法攻撃580
魔法防御249
属性耐性319
素早さ715
スキル[創造Lv5][嫉妬Lv1]
[名称無しLv1][探知Lv5]
[思考加速Lv3][投擲Lv2]
[苦痛耐性Lv4][毒耐性Lv1]
[快速Lv1][合成Lv1]
魔法[
[
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【スキルとはステータスを上昇させたり、攻撃したり守ったりと、様々な用途がある特殊な力で、任意でオフにしない限り永続的に効果を発揮する
【あらゆる経験や体験をすることでそれに見合った効果のスキルを獲得できますが、取得できる可能性はかなり低いです。
スキルにも魔法や種族と同様にレベルがあり、1が最低で10が最大です。スキルレベルが上がればその分威力や効果が高まり、条件さえ満たせば、より強力な効果を発揮するスキルに進化する場合もあります。
それ以外にも職業の構成や、特定の魔法やスキルを覚えると、取得できる隠し要素も存在します。続いてアスタ様のスキルについてですが】
【スキル[創造]素材さえ揃えればありとあらゆるものを創り出せる能力。それにより武器や防具など多種多様なものを作り出すことが可能で、素材によっては生命すらも作り出せるアルティメットスキル】
【スキル[嫉妬]他者が使用した特殊なものを除く、スキルや魔法を低確率で獲得するアルティメットスキル。また獲得する確率およそ10%前後と推測されます】
【今話してる私は、スキル[合成]により[世界の導き][鑑定][並列思考]を合わせた分類不明スキル】
【[鑑定]の生物や物質の解析をする能力、[世界の導き]によるこの世界の膨大な知識が記憶される能力、それらを[並列思考]によりアスタ様の別人格を生み出し、合成された他のスキルをまとめ上げナビゲートすることで、成り立っており唯一無二のスキルです。そのため、このスキルには名称が存在しません】
(ちょっ、ストップ!)
【はい?】
丁寧に説明してくれているのは、ありがたい。ナレーションの声が、突然流暢に話し始めた事も納得がいった。
僕から生み出された人格なのに、女性の声なのは突っ込みたいところだが、いくらなんでも情報量が多すぎる…
とりあえず整理しよう。
創造のスキルは、全く触れていなかったがとっても有能なスキルらしい。これからたくさん活用していく必要があるな。
嫉妬に関しては、めちゃくちゃ強いと思う。
魔法を取得できたのも、見れば自然と覚えるわけではなくこのスキルのおかげらしい。
解析前から効果を発揮していたのも、とてもありがたい。だけど10%程度で、あれだけ獲得できるとは、僕はそんなに運が良いのか?
名称無しもめちゃくちゃ有能!アシスト性能が高いので、探知と合成も合わせられないであろうか。
(名称無しに、探知と合成も合成できないか?)
【不明ですが…おそらく可能であると思います。スキルを失う可能性もありますが試しますか?】
正直この二つのスキルを失うのは怖い。しかし失敗を恐れていては成功はないっ!
(か、かまわない。やてくれ!)
【スキル[名称無し]に[探知]と[合成]を合成開始…】
(頼む!)
【スキル[探知]及びスキル[合成]の消失を確認[名称無し]への合成が成功しました】
「ふぅ・・・」
思わず安堵感からため息が溢れてしまった。これでスキル名称無しはより強力なものへと進化したのだ。
だが、これだけ有能なスキルの名前が名称無しというのも格好がつかない。何か良い名前はないだろうか?頭が良さそうで…女っぽい名前で…外国っぽい感じがいいな…
クララ? キュリー? ソフィ? ヘレン?
歴史上の偉人から名前を決めようと思ったが、スキルであることも踏まえるとなんか違う。
(よし!名称無しのスキルの名前を
守護神で知恵などを司る女神なので、サポート的な意味で、今後も色々な面で助けられそうだし、このスキルに合っているであろう。
【かしこまりました。スキル名を[
(あ、あの省略してくれませんかねぇ?)
【…はい】
なんか少し不機嫌な感じの返事だった。
【[思考加速]は知力を上昇させます】
【[投擲]は投げる力が上がります】
【[快速]は素早さを上昇させます】
【[苦痛耐性]は痛みを和らげてくれます】
【[毒耐性]は毒のデバフを喰らう確率を減らし、毒によるダメージも軽減します】
【[異空間]は空間の歪みを発生させどれだけ大きな物でも収納可能で、収納した時の状態のままで保存可能です。スキルは以上】
明らかに喋るスピードが早くなったし声のトーンが低いし、なんか怖い。説明したりするのが好きらしい。今度時間がある時にでも説明あせてあげよう。
(ありがとう・・・)
【・・・はいはい】
人格を持つスキルは厄介だなと感じた。
(そういえば、さっきエクストラスキルとかアルティメットスキルとか言ってたけどそれってなんなんだ?)
【スキルはいくつかの区分に分けられており、生まれ持った種族限定的なスキルやなんらかの動作を繰り返す事で入手できるスキルを[ノーマルスキル]と言い、一番種類も多いスキルです】
【先ほども述べた通り職業の構成や魔法やスキルの構成によって得られる隠しスキルや、限定した種族しか取得できない強力なスキルを[アルティメットスキル]と言います】
【詳細が不明なのが[エクストラスキル]です】
【そしてアルティメットの上に[エクストリーム]があります】
嫉妬以外のアルティメットスキルを入手したいところだが、方法が分からないので保留。
【そしてスキルの効果によって大まかに、ステータスの上昇を促す支援系、ダメージの軽減や属性に対して強くなる耐性系、通常攻撃や属性をのせたダメージの上昇を促す強化系、種族的職業的に持っている弱点である低下系、様々な手段で攻撃をする技系、特殊な条件を達成することで手に入る称号系、それ以外をその他でまとめています】
ほぉほぉ.....
しかしスキル
そういえば、世界の導きの効果も持っているなら世界が滅びる事防ぐ方法を知っているのではないだろうか。せっかく名前も付けたのでこれからはスキル名で呼ぼう。
では、さっそく…
(hey
【すいません。よくわかりません】
まさか、このネタに乗ってくれるとは思わなかった。記憶も共有されているから前の世界のネタも通じるのか。さっき思っていた事を訂正しよう。
人格を持ったスキルは素晴らしい。
【ですが、推測ではありますが方法はあると思われます】
(ほうほう…それは?)
【おそらくこの世界が滅びる寸前になっている原因として、この世界の魔素の極端な減少にあると思われます。
本来自然が生み出す魔素はすべての生物が同時に、消費したとしても耐えられるほどの膨大な量が存在しています。しかし許容範囲を超える人間族の増加。それに伴って破壊されていく自然。それらが原因で需要と供給のバランスが崩れそのために、魔素の極端な減少が起きたと推測します。
その仮説を前提として、一時凌ぎの策として、人間種を大量に殺してしまえばいいのです。根本的な解決には至らなくてもおそらくは、世界が滅びる時間を伸ばす事は可能だと思われます】
前いた世界みたいだ。そう感じた。すぐ滅びるという訳ではなかったが、人口が増え自然が破壊されて、結果として絶滅してしまった種も多くいる。それに海面上昇や異常気象が絶えず、僕の元居た日本もそれら被害を多大受けた結果、日本の領土である多くの島が海の底に沈んだ。そして各地に地下シェルターがあるのが当たり前となっている。教科書で見た昔の日本を見てみたいものだ。
世界中でそのような問題が発生し消滅した国も存在したが、改善しようと全ての戦争や紛争が停戦となり、人類史上初めて本当の意味で世界が一丸となってそれに取り組んでいた。もうあっちの世界に行くことは無いが家族もいることだし、将来的に解決される事を祈るばかりだ。
それに比べてこっちの世界では、誰もそれに気がつかず邪魔なものは徹底して排除して、住居区の拡大のために自然を破壊するような身勝手な連中だ。なんだか腹が立つ。
元人間であるため人を殺すことに抵抗がないといえば嘘になるが、腹を括るしかない。しかし問題は他の転生者だ。以前にレンという転生者にはあったが、そのほかにも49人いる存在。
しかもおそらくは、全員頭がおかしいクラスで強い。やはり焦って行動するのは、自身の死に直結するだろう。二ヶ月ほど自身の強化に時間を費やそう。
そう決めた。
「おい!きーてるのか!俺がこのパーティーのリーダなんりゃぞ!」
決意に水を差すようにザックに背中を叩かれた。酔っ払っており呂律が回らないらしい。突然起きたと思ったらダル絡み.....面倒くさい奴だな。
しかし彼らをみていると、なんだか落ち着く。僕は小学生の時に唯一いた友人が6年生の時に川に流され亡くなって以降、母親と妹以外に笑顔を見せず他人と居て気持ちが落ち着くことなんてなかった。だがこの3人はなんだか違う感じがする。
もしかするとこいつらなら心から笑い合える日が来るかもしれない。もちろん僕のすべき事を考えればそれは甘い幻想にすぎないのだが。
(人間を虐殺することになっても彼らは殺したくないな〜)
そんな事を考えながら僕は、すでに死にかけているザックに無理矢理新しく注文した木のタルのジョッキを持たせ、2人で再び酒を飲み始めた。
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