第6話 小鬼との戦い
現在[ケルン大森林]と呼ばれる森で絶賛迷子中です。確かに?たくさんの木々に綺麗な川、澄んだ空気。前の世界では決して見ることができなかった光景。御伽話の中の世界そのものだ。
だが感動したのは過去の話。
もう歩きすぎて見飽きました。
ゴブリンなんて全然いないし!巣はすぐに見つかるとのことだったが、全くわからない!!
「ここはどこだー!!」
大声で何度も叫んでいた。
【ケルン大森林】
いちいち鑑定が反応してきた。
若干鑑定相手にイライラしていた。
その時だった。
近くでザザッという音が聞こえた。
必死にキョロキョロと探していると
【スキル[探知Lv1]を獲得しました】
何かスキルを覚えたらしい。
すると、さっそく探知が活躍を見せ、目の前の茂みに、何か生き物がいることがわかった。
刀を抜き、恐る恐る近寄って横一線に刃を振った。すると逃げるように何かが急いで逃げていった。
緑の肌。尖った耳が生えた醜い顔。1mほどの低い身長。まさしく絵に描いたような
(あれを鑑定!)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
体力 74/100
魔力 35
知力 94
攻撃 43
防御 11
魔法攻撃 1
魔法防御 2
素早さ 95
スキル??
魔法??
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あれは弱いんだよな??
【熟練度が一定に達したため[鑑定]のレベルが上がりました】
結構使っていたはずなのに、なかなか上がらなかった鑑定のやっとレベルが上がった。
(よっしゃ!もう一度あれを鑑定)
と心で呼びかけると
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[義鬼種]
体力74/100
魔力35
知力94
攻撃 43
防御 11
魔法攻撃 1
魔法防御 2
素早さ 95
スキル[逃げ足Lv1]
魔法無し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
正直一瞬立ち止まってしまうほど驚いた。
レベル2はステータスが判明する程度だったが、レベルが3に上がっただけなのに、情報が一気に増えた。
これなら中々上がらないことにも納得がいく。
せっかくなら色々試したかったが、目の前の
確かにすばしっこいが、こちらの方が早く10秒ほどで決着がついた。
まだ刀の扱いに慣れてなかったため、適当にブンブンと振り回すことしかできない。しかし振り回した刃が、
前世で散々剣の振り方としか調べていたので、頭では刀の仕組みや振り方を理解しているはずなのだが、体が思うように動かない。
知識がなければ何もできなかっただろう.....まさか厨二病のスキルがこんな形で役立つとは。
剣を持つ者として、正直
まぁ僕..........魔導士なんですけど!
やっとひと段落したと思ったが、探知が辺りに10体ほどの生き物を捉えた。これは弱い
しかし悠長なことを考えてる暇はない。まんまと作戦に引っかかってしまい、急に追い詰められてしまった。
数に怯んだ隙に茂みから矢が二本飛んできた。一発はローブに当たり弾かれたがもう一発が太ももに当たってしまった。
苦痛耐性のおかげで幸いにも痛みは画鋲を踏み抜いた程度の痛みだ。
ここで立ち尽くしていたら何もできずに殺されてしまうので、急いで目の前の茂みに走り刀を両手で振りかざし1匹を串刺しにして仕留める。
もう1匹は、弓矢を装備していたため間合いを取ろうと走って下がろうとしていたので、逃すまいと太ももに刺さっていた矢を引き抜き、投げつけた。
投げた矢は、
まだ致命傷ではなかったので、
血の泡を吹きながら
【スキル[投擲Lv1]を獲得しました】
【スキル[毒耐性Lv1]を獲得しました】
そのアナウンスで自身が毒にやられていたことを知り、急いで木の後ろに隠れて、
(現在の自分の体力)
【タイガ Lv15体力265/400】
思った以上に削られていた。とりあえず小回復ポーションを飲んで倒れている
木から飛び出すと探知で感じ取った方向に向けて矢を全て当たりの茂みに投げつけた。三体ほど命中したが、依然探知で10体ほど確認できる。
ソロでの討伐が向かない理由がわかる。今更後悔してもおそいので、必死に考えながら動き回っていた。
【熟練度が一定に達したため【思考加速】のレベルが上がりました】
木の影から見える位置に、ローブを脱ぎ、刀の鞘と木の枝で固定して、それを狙って近づいてきた2匹ゴブリンを奇襲して殺して…正面から襲い殺して…投擲で殺した。
全て片付けるのに、三時間近くかかった。
結局ゴブリンの合計は、40匹にも及んだ。
それらの死体の鼻を全て切り取って袋に詰めた。これらが殺した証になり、換金してもらえる。
血塗れの自分の服を川で洗いつつ、今日の戦闘の反省をした。やはり今回の失敗は1人で挑んだことと攻撃手段の少なさにある。まぁゴブリン程度で苦戦しているとか…先が思いやられるのだが.....
(そーだ。いちいち鑑定頼むのめんどくさいし、モンスター限定で鑑定を自動で行えるか?)
【設定が完了しました】
自動化できるようだ。
なら、色々と鑑定する中で需要の高いものだけ自動化を進めていきたい。
(自分のステータスは)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アスカワタイガ Lv18 [闇属性]
[悪魔種][魔導士Lv1]
体力 91/411
魔力 420
知力1020
攻撃 170
防御 120
魔法攻撃 760
魔法防御 500
素早さ 390
スキル[鑑定Lv3][創造Lv1]
[苦痛耐性Lv4][探知Lv2]
[思考加速Lv3][投擲Lv2][毒耐性Lv1]
魔法無し
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
強いのか弱いのかは別として、やっと自分のステータスを全て確認できた....んだよね?
夢中で闘っていたから気がつかなかったが、自身のレベルやスキルレベルが上がっていた。
「知力と魔法攻撃が高めで攻撃と防御が弱い。で、闇属性で悪魔と!」
てか、ステータスの項目の説明もされてないよな?
(ステータスの項目とは?)
あ、一つずつ聞かないとだったかと思い、聞き直そうと思ったが.....
【体力の数値は生命力そのものを指している数値です】
【魔力は魔法やスキルを行使する際に必要な数値です】
【知力は頭の回転率、記憶力を決定する数値です。またこの数値が高ければ魔法やスキルの発動を早められたり、スキルや魔法の取得数の大小を決定します】
【攻撃は斬撃や打撃など、物理で与えるダメージ量を決定する数値で、魔法攻撃は魔法で与えるダメージ量を決定する数値です】
【防御は斬撃や打撃など物理で受けるダメージ量を決定する数値で、魔法防御は魔法で受けるダメージ量を決定する数値です】
【素早さは足の速さを決定する数値です。また反射神経を高める効果もあります】
一つ聞いただけで全部答えてくれた。
「スキルのレベル上がるって最高」
独り言を呟きながら少し乾いた服に袖を通し、再び歩き始めた。
しばらく歩いていると突然開けたところに出た。そこは当たり一帯砂漠だった。後ろを振り返るとそこはさっきまでいたケルン大森林だった。
(ここはどこだ?)
【ケルン大森林】
場所が悪いのか…電波問題か?もっと砂漠地帯の真ん中に移動してもう一度
(ここはどこだ?)
【ケルン大森林】
(この砂漠地帯はどこだ!)
【ケルン大森林】
スキルが壊れたということは無いだろう。
考えられることは二つだ。砂漠も含めてケルン大森林と呼ばれている。それか前世でも問題になっていた砂漠化か?
だがこれだけ広大な森林の隣に砂漠が隣接するなんて有り得ない。この答えは後者だろう。
これだけ広大な砂漠がもともと森林だったと考えるとゾッとする。あと半年で世界が滅びるという事を、はじめて生身で実感した気がした。
帰ろうと振り返った時、鑑定が何かを捉えた。そして.....ゴゴゴと地響きと、轟音が鳴り響いた。急いで音のする方向を振り返ると.....
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
体力 ???
魔力 ???
知力 ???
攻撃 ???
防御 ???
魔法攻撃 ???
魔法防御 ???
素早さ ???
スキル鑑定不可
魔法鑑定不可
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ゴブリンとは訳が違う。
裕に10メートルを超えるであろう大きさで、全人に一才の体毛は無くツヤツヤした砂で汚れた白く縦に蛇腹が入った皮膚。左右に見える赤く小さな6つの目。
どうしよう。そんなことを考えているうちに
だが、恐怖と絶望で動けなかった。
ー終わったー
そう確信し目を瞑った。
「
声が聞こえたので、目を開くとなぜか生きており、そこには謎の少年と真っ二つに斬られたデスワームがいた。
あれだけの化け物を数秒で倒すこの少年は、何者だ?
「すいません。冒険者になったばかりで」
「そうだったのか。ここは種族レベルが高いモンスターが多いから、単独ましてやランクの低い冒険者が立ち寄っていいところでは無い。覚えておけ」
「はい.....」
「ま、運がいいな。俺がいなかったら死んでいたぞ」
「本当に、ありがとうございました」
「あぁ。ところで、名前は?」
困った.....これだけの強さ。
転生者の可能性が高いこの少年に、日本っぽい名前だと転生者だとバレかねない。
バレたからって、何かあるわけでもないが、なんとなく隠しておきたい。
(名前…名前…自分の名前から何かを抜き取るか…)
「ん?どうしたのか?」
そうだ。
「すいません。まだ生きた心地はしなくて頭回らなくて。アスタです」
アスカワタイガの「アス」と「タ」を組み合わせた単純な名前だ。
「すまない男だったか。よろしくなアスタ。俺はクジョウレンだ」
漢字で書くと九条蓮.....とかか?
やはり転生者の日本人らしい。彼は優しく街まで送ってくれて、さらには金貨を三枚もくれた。見た目から、強さから、金回りから、どこを見ても非の打ち所が無かった。全てに恵まれている彼を見て羨ましくて嫉妬した。
それはもう殺したくなるほど…
【スキル[不明]を獲得しました】
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